Anbernicより、同社の新型携帯ゲーム機『RG ARC-D』をレビュー用にご提供していただきました。少し前から話題になっていましたが、本気はセガサターンのコントロールパッドに液晶を取り付けたようなデザインになっており、それだけでも思わず食指が動かされてしまうという人も多いのではないでしょうか?
気になるのはそのパフォーマンスですが、主にセガサターンのタイトルを中心に軽くチェックしてみましたので、今回はそちらを合わせて本気の魅力と特徴についてご紹介していきます。
目次
- デュアルOS対応の『RG ARC-D』とシングルOSの『RG ARC-S』
- 扱いやすいLinux側のメニュー
- セガサターンを中心にゲームのパフォーマンスをチェック
- ファミコンやPCエンジンのゲームが快適に感じるのは十字キーが優れているから
- HDMI出力ではひと味違った楽しみ方も?
- オマケ:ソニックのコントローラースタンドとの相性もバッチリ
- レトロゲームを遊ぶための環境としては最高の1台
デュアルOS対応の『RG ARC-D』とシングルOSの『RG ARC-S』
まずは基本的な情報から触れておきましょう。今回同社から発売されたのは、大きく分けて『RG ARC-D』と『RG ARC-S』の2種類です。末尾に「-D」や「-S」といった文字が付けられていますが、『RG ARC-D』はAndroidとLinuxのデュアルOSに対応。『RG ARC-S』はLinuxのみのシングルOSとなっています。
定価は『RG ARC-D』が1万4699円で『RG ARC-S』は1万1699円で、送料は1699円ほどになるとのこと。
このふたつの機種は、Androidに対応しているかしていないかによってタッチスクリーンを採用しているなどの違いはあるものの、RAMやメモリー関係を除いてスペック的には概ね同等といった感じです。もうひとつ、カラーバリエーションが機種ごとに異なっているので、スペックよりも色の好みで選びたいモデルが限られてしまうかもしれません。
モデル | RG ARC-S | RG ARC-D | ||
カラー | クリアブラック/クリアブルー | ブラック/グレー | ||
OS | Linux | Android 11、Linux | ||
スクリーン | 4.0-インチ IPS全視野角、ゼロ距離 OCA全密着/ 640×480 | |||
タッチスクリーン | 無し | マルチタッチ | ||
CPU | RK3566 Quad-Core 64 bit Cortex-A55、メイン周波数 1.8GHz | |||
RAM | LPDDR4 1GB | LPDDR4 2GB | ||
メモリー | 16G TF | 16G TF+eMMC 32GB | ||
WIFI/Bluetooth | 2.4/5G WIFI 802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.2 | |||
ゲーム | 一部のPC移植ゲームとその他20種類以上のゲームに対応 | Androidと一部のPC移植ゲーム、その他20種類以上のゲームに対応 | ||
ソフトウェア | 有線ハンドル機能 | ワイヤードハンドル機能(Linux) マルチメディアネットワークプレイに対応(Android) ゲームフロントエンド (Android) | ||
言語 | 多言語(日本語対応) | |||
スピーカー | ハイファイ デュアル ステレオ スピーカー | |||
バッテリー | リチウムポリマーバッテリー、容量3500mAh、6時間持続使用可能、C2C充電に対応 | |||
TFカード | 最大512GBまでのデュアルmicroSDカードに対応 | |||
他の機能 | 内蔵WIFIオンラインペアリング、Bluetoothハンドル機能、HDMI、振動モーター、3.5mmステレオヘッドフォンが対応され、省エネ設定、輝度ディスプレイ、その他の機能特性の設定に対応される | |||
付属品 | USB充電ケーブル、ボックス、説明書、スクリーン プロテクター | |||
外観 | 絶妙な外観、快適な感触 | |||
ボックス仕様 | 長さ 21.2cm | 幅 12.4cm | 高さ 4.1cm | 重量0.44kg |
本体仕様 | 長さ 19.1cm | 幅 8cm | 高さ 2.2cm | 重量 0.242kg |
見た目はまんまセガサターンコントロールパッドといった感じの『RG ARC-D』ですが、オリジナルと比較してみると若干横に広くなっています。しかし、ボタンのカラーなどはオリジナルをそのままリスペクトしたようなスタイルになっており、このあたりもセガファンの心がくすぐられるのではないでしょうか?
ちなみに今回提供していただいた『RG ARC-D』はデュアルOSですが、デフォルトでは左側のスロットにmicroSDカードがささっています。この状態で起動するとLinuxが立ち上がります。microSDカードを左側から抜いて右側にさし込み再起動することで、Androidに切り替えることが可能です。
Androidならではの特徴としてストアからアプリが入手できるなどのメリットもありますが、Linuxのほうが使い勝手がいいように感じたため、今回はそちらをメインにご紹介していきます。
扱いやすいLinux側のメニュー
Linux側で起動するとメニューが表示されます。こちらは十字キーの左右やL1、L2、R1、R2などのキーで切り替えることができます。APPSなどでアプリを追加することができますが、エミュレーターとしてメインとなるのが「Emulators」と「RetroArc」のふたつです。
ゲームのROMデータは、元のSDカードに入れてもいいですが、容量的に心配であったため、もうひとつのスロットに入れています。ちなみに1度空のmicroSDカードをさしてゲーム機を起動すると自動的にエミュレーターのROMを入れるためのフォルダが作られていたので、そちらに該当するROMを入れておきましょう。
新たにROMを追加したときは、スタートボタンを押してメニューを表示して、「ゲームシステム設定から「ゲームリストを更新」を選びましょう。追加したROMが表示されない場合は、1度再起動することをオススメします。
あとは「Emulators」または「RetroArch」から目的のエミュレーターとROMを選んで起動することでゲームを遊ぶことができます。
セガサターンを中心にゲームのパフォーマンスをチェック
ということでセットアップは基本的にデフォルトに近い状態で、エミュレーターのパフォーマンスをチェックしてみることに。最初に試したのは、やはりセガサターンでした。手始めにセガサターンの顔ともいえるタイトルの『バーチャファイター』をチェック。
起動すると、おなじみのサターンのサウンドロゴと映像が流れ、思わずおっ! と思わせてくれます。しかも、デフォルトの状態でベゼルが表示されており、レトロゲーム感もかなり出ており、いい雰囲気になっていました。
……が、肝心のパフォーマンスはいまひとつで、『バーチャファイター』は遊べはするものの、少し動作が重たい印象です。同様に『パンツァードラグーン』も試してみましたが、こちらもゲーム自体は遊べるものの、やはり少し動作が重たい感じでした。
とりえあずサターンはいったんおいといて、ドリームキャストの『セガラリー』を起動してみたものの、こちらはフレームレートが低すぎて遊べるような状態ではないことがわかりました。どうやら3Dでグリグリ動かすようなタイトルはあまり得意でなさそうということが判明。
また、この見た目でセガサターンのゲームが遊べないのはさすがにどうかとも思ったため、3Dでグリグリではなさそうなタイトルを選んでチェックしてみることに。すると……
なんということでしょう!? ものによってはかなり快適に動くではあーりませんか!
『せがた三四郎 真剣遊戯』が快適に動くことがわかったあと、SEGA AGESシリーズの『アフターバーナーII』や『アウトラン』、『スペースハリアー』などを遊んでみましたが、いずれも快適にプレイ出来ることがわかりました。また、3D系のソフトではあるものの、『デイトナUSA』はメニューではフレームレートは落ちるものの、ゲームプレイ中はさほど気にならないレベルで遊べることもわかりました。
比較的動作が軽そうなイメージだった『森高千里 「渡良瀬川/ララ サンシャイン」』は、オープニングは快適に動いていたものの……起動すると画面がおかしなことに。しかも動画の再生ではMPEGの影響からか分かりませんが、音も出ず途中でフリーズしてしまいます。
いくつかのタイトルはたしかにパフォーマンスがでないものもありますが、それは必ずしも自分が遊びたいゲームが快適に遊べないということを意味しているわけではないので、いろいろと試してみる価値はありそうです。
ファミコンやPCエンジンのゲームが快適に感じるのは十字キーが優れているから
もうひとつ、『RG ARC-D』でゲームを遊んでいて気が付いたことがあります。それは、妙にファミコンやPCエンジンなどのゲームが遊びやすく感じることでした。画面がそこそこ大きくて見やすいというのもありますが、やはりなんといっても十字キーの操作性がかなり優れているというのが大きく影響しています。
最近はすっかりとアナログスティックになれてしまいましたが、そちらに付いている十字キーの多くはオマケで付いているような印象で、それほど使い勝手がいいわけではありません。考えてみれば、ファミコンやPCエンジンの時代は十字キーしかなかったので、そうしたゲームを遊ぶのにこの『RG ARC-D』は理にかなっているのかもしれませんね。
HDMI出力ではひと味違った楽しみ方も?
本機には、上部にミニHDMI端子が付けられており、そのまま映像をディスプレイなどに表示することができます。こちらもゲーム機でのプレイ同様にベゼルが表示されるのですが、少しだけ表示範囲が広い分ベゼルの表示領域も広くなっていることに気が付きました。
これらのベゼルはデフォルトで設定されているものですが、設定で表示する装飾を選ぶことも可能です。
ちなみに、AndroidでもHDMIから映像の出力はできるのですが……設定がおかしかったのか、なぜか横画面になってしまい、アスペクト比自体もおかしなことに。もしかしたらこの辺りは調整することで、正しく表示することができるかもしれません。
もうひとつ、セガサターン系のゲームをHDMI経由表示しよと思ったときに気が付いたのですが、「RetroArc」を選んだときは正しく映像を出力することができませんでした。しかし、「Emulators」から起動したときは問題なく出力できたことを確認。ただし、ベゼルはなぜか表示されない状態になっていました。このあたりは、少し調査してみる必要がありそうです。
オマケ:ソニックのコントローラースタンドとの相性もバッチリ
このレビューに合わせて、FrogPortより『ソニック・ザ・ヘッジホッグ スマホ・コントローラーホルダー ケーブルガイ(ソニック)』というコントローラーホルダーを入手してみました。アマゾンでも同じ物が過去に売られていたようですが、現在は残念ながら品切れとなっています。
これが想像以上のピッタリサイズとなっており、かなり驚きました。ちょっと飾っておきたいときにもオススメのアイテムです。
レトロゲームを遊ぶための環境としては最高の1台
パフォーマンス的にはもうひとつ抜け出てほしいというところもありますが、十字キーでの操作のしやすさやベゼルなども含めた雰囲気の良さなどもあり、レトロゲームを遊ぶ環境としては最高の1台といえるのではないでしょうか。
なによりも、見た目がかなりとんがっているので、それだけでも持っておいて損はないマシンといえます。