XREALの最新ARグラスの上位モデル『XREAL Air2 Pro』が11月17日に発売されました。今回は『Meta Quest3』のときのようにならないように、事前にヨドバシカメラで予約。あいにく外出中ではありましたが、無事発売日に受け取ることができました。
今回はゲーマー視点で見たときの使い勝手を中心に、本機のレビューをお届けします。
目次
- 3段階でレンズの明るさを調整できる「エレクトロクロミック調光」を搭載
- 専用のインサートレンズを作ればメガネも不要
- 直接接続できるのはDP Altモード対応のUSB Type-C搭載デバイス
- XREAL Adapterで接続できるデバイスを拡張
- PS5やNintendo Switchなどのゲーム機も快適にプレイ
- まさに持ち歩ける大型ディスプレイ
3段階でレンズの明るさを調整できる「エレクトロクロミック調光」を搭載
まずは、『XREAL Air2 Pro』の性能について触れておきましょう。基本的な部分については、通常モデルの『XREAL Air2』とほぼ同じです。SONYセミコンダクタソリューション社製のMicro-OLEDパネルを搭載しており、低消費電力でありながら、500Nitsと以前のモデルと比較して25パーセント以上も明るさが向上しています。リフレッシュレートは120HzでフルHD(1920×1080)での映像出力ができるなど、もはやゲーミングディスプレイ並の性能といえます。
超線形スピーカーはテンプル部分に搭載されており、こちらは指向性サウンドデザインが採用されています。これはなにかというと、ARグラスをしようしている本人には明瞭なサウンドが聞けるようにしながら、電車や機内など回りに音を配慮しなければいけないようなとこころでも、最小限に音漏れを防ぐことができます。
これは全く外部から音が聞こえなくなるというわけではないため、電車などの人混みで使用する際はイヤホンなどを併用することをオススメします。
性能面でもアップグレードされた部分が大きいですが、前モデルから約6パーセントも軽量化が行われており、本体重量も75グラムに抑えられています。またほ、重量バランスが1:1になるように改善されているため、鼻への負担も掛かりにくく長時間使用していても疲れないような配慮がされています。
通常版の『XREAL Air2』と『XREAL Air2 Pro』の価格差は7000円ほどですが、唯一上位モデルのみが搭載している機能が「エレクトロクロミック調光」です。こちらは、レンズの透過率を0パーセント、35パーセント、100パーセントと3段階で切り替えることができる機能となっています。
ARグラスの最大の弱点は明るさで、特に屋外ではほとんど見えないということが起きてしまいがちですが、そんなときは透過率を100パーセントにすることでサングラスのように暗くすることができ、映像に集中することができます。その逆のシチュエーションでは、透過率を0パーセントに切り替えて回りの状況も把握することができるといった感じです。これらはホタンで簡単に切り替えられるため、別途シェードなどを付ける必要もありません。
調光 | 3段階エレクトロクロミック調光技術 |
カラー | ダークグレー |
重さ | 75グラム(ノーズパッド抜き) |
FOV | 46 |
PPD | 49 |
フレッシュレート | 120Hz |
ディスプレイ | SONYセミコンダクタソリューション社製の最新の0.55インチMicro-OLEDパネル |
明るさ | 最大500nit |
PPI | 4032 |
3Dof | 対応 |
その他 | 各種軽量化、柔軟性の向上 |
専用のインサートレンズを作ればメガネも不要
普段メガネをかけている人は、メガネonメガネの状態になってしまい、正直こうしたARグラス系は非常に使いにくい物になります。しかし『XREAL Air2 Pro』自体にはピントを調整するような機能はないため、なにかしらの手段を用意する必要がありますが、そのひとつがインサートレンズの使用です。
日本では銀座にあるJUN GINZAで専用のレンズを作ってもらうことができます。価格も1万5000円ほどとそれほど高いわけではありません。今回は11月1日に店舗に直接行って度数を測ってもらい、11月13日に発送が行われました。
直接接続できるのはDP Altモード対応のUSB Type-C搭載デバイス
『XREAL Air2 Pro』は、本体に付属のUSB Type-Cケーブルをさし、もう片方をデバイスに接続して映像をARグラス越しに見られるようにするものですが、直接接続できるのは「DP Altモード」対応のUSB Type-C搭載デバイスのみとなっています。
この「DP Altモード」とは、DisplayPort代替モードとも呼ばれUSB Type-Cで接続することで外部ディスプレイなどに映像が出力できるものと思えばいいでしょう。しかし結構その種類は限られており、一般的なものとしてはゲーミングUMPCの『Steam Deck』や『ROG Ally』、一部のAndroid端末、Thunderboltを搭載したMacなどがあります。
また、最近発売されたばかりのiPhone 15にも対応しており、そちらに直接接続することで『XREAL Air2 Pro』で映像を楽しむことも可能です。
ためしに手持ちの『Steam Deck』に接続して、XBOX Gaming Cloud経由で『龍が如く7外伝 名を消した男』を1時間ほどプレイしてみましたが、かなり快適に遊ぶことができました。布団の中に入りにながらプレイしたのですが、通常の携帯ゲーム機のように手に持ったデバイスの画面を覗く必要がなく、楽な姿勢でゲームを遊ぶことができるところも素晴らしい体験でした。
なによりも『Steam Deck』自体の画面よりも大きいフルサイズでゲームを楽しむことができるというところもポイントといえます。『Steam Deck』ならば、直接USBで接続するだけですぐにゲームをプレイできるので、このふたつを持ち歩いて屋外の明るいところなどでもゲームを遊びたいと言うときも最適な組みあわせとなりそうです。
XREAL Adapterで接続できるデバイスを拡張
『XREAL Air2 Pro』を直接説できるデバイスはそれほど多くありませんが、より多くのデバイスが利用できるようにするための周辺機器もいくつか用意されています。その中のひとつが『XREAL Adapter』です。こちらを利用することで、ゲームなどHDMI出力された映像を、そのまま『XREAL Air2 Pro』に表示できるようになります。
また、iPhone 14シリーズまでのLightningを搭載したスマホを接続してYouTubeやNetflixといった映像を楽しみたいときは、『XREAL Adapter』に加えて別途『Apple Lightning – Digital AVアダプタ』を入手することで、簡単に実現することができます。
●Apple Lightning – Digital AVアダプタ(アマゾンのリンク)
『XREAL Adapter』+『Apple Lightning – Digital AVアダプタ』の組みあわせは、ややかさばるもののまったく問題なく機能します。DRMで保護されている『Netflix』や『Amazonプライムビデオ』なども、まったく問題なく楽しむことができました。
PS5やNintendo Switchなどのゲーム機も快適にプレイ
『XREAL Adapter』と一緒に同梱されているHDMIアダプタを利用することで、PlayStation 5やNintendo Switchなどのゲーム機を接続して表示されることが可能です。『XREAL Air2 Pro』はリフレッシュレート120Hzに対応しており、まさにゲームを遊ぶときに最適なデバイスです。実際にいくつかゲームをプレイしてみましたが、ラグも全くなく映像もハッキリと見えるためかなり快適にゲームをプレイすることができました。
ちなみにPlayStation 5では、HDCPを有効にすることでBlu-rayなどのコンテンツも楽しむことができますが、こちらも問題なく再生可能です。映像回りは配信で観ることが多いですが、購入したソフトを楽しむ場合もこの組みあわせはかなりいい感じです。
『XREAL Adapter』便利だが構造的な問題点も
『XREAL Adapter』はかなり便利なアイテムですが、構造的な欠陥といえるものもあります。本デバイスを利用するためにはUSB Type-Cポートから充電しておく必要があるのですが、使用中は『XREAL Air2 Pro』を接続しているため、使いながら給電するといったことができません。そのためだいたい2時間ほどしか連続して使うことができないのです。
そこで用意したのが、サードパーティ製のアダプターであるLemoreleの『HDMI TO USB-C Adapter』です。こちらはType-Cで給電しながら使えるため、時間を気にせずゲームをプレイすることができます。実際にPlayStation 5でも試してみましたが、ゲーム自体はラグも無くプレイすることができました。
●Lemoreleの『HDMI TO USB-C Adapter』(アマゾンのリンク)
ひとつだけ注意点があるのが、こうしたサードパーティ製のデバイスを利用するときに、音ができない場合があるということです。そんなときは、『XREAL Air2 Pro』の輝度ボタンを長押しして音が2回鳴るまで待って離します。これでモードを切り替えることができ、音が聞こえるようになります。
Rokid HUBでNintendo Switchを接続
Nintendo SwitchもPlayStation 5などと同じように接続して使用することができますが、それらに加えて『Rokid HUB』と呼ばれる別メーカーから販売されている周辺機器も試してみました。こちらは、Nintendo Switch本体に直接さすことでドッグモードでARグラスが利用できるというデバイスです。
注意点としては、ドッグモードではそのままの状態でコントローラーは使えないため、Joy-Conを切り離して遊ぶか、別途プロコンのようなものを用意する必要があります。また、音が出ない場合は先ほどご紹介したモードを切り替える必要があります。
この『Rokid HUB』のメリットも、USB Type-Cで電源を取りながら使えるところになります。やはり長時間『XREAL Air2 Pro』を使いながらゲームをしたいときにもオススメです。ただし、現在は物がなくなってきているのか、アマゾンでも売り切れの状態が続いているようです。
まさに持ち歩ける大型ディスプレイ
というわけで、ひと通りいろいろとチェックしてきましたが、かなり実用的に使えることがわかりました。ゲームのみならず、Macなどを使うことで外出先でも複数の画面で作業がおこなえるところも魅力です。また、まわりの環境に影響されず、最適な映像をいつでもどこでも観られるところも魅力といえるでしょう。
環境によっては、なかなか大きなディスプレイでゲームをすることができないということもありますが、ARグラスならそうした心配も一切ありません。バーチャルとリアルを融合することで、そうした煩わしさから解放してくれるのも、この『XREAL Air2 Pro』の魅力といえるでしょう。