GAMEBANK-web.comより、2024年6月12日に発売されたレトロダンパー PCエンジン用『PCE V1 8Mbit フラッシュカートリッジ』。こちらは、PCエンジンのゲームデータを書き込んで実機で遊べるフラッシュカートリッジになっています。
●PCE V1 8Mbit フラッシュカートリッジ(アマゾンのリンク)
今回発売されたものは8Mbitまでに対応した製品となっていますが、マルチカートリッジの『Turbo EverDrive PRO』などと異なるところは、ひとつのフラッシュカートリッジに1本のゲームソフトしか書き込むことができないというところです。そのため、こちらを使うシーンもかなり限られたものとなっています。
この記事を書いている2024年6月23日の時点では売り切れていますが、発売と共に入手して色々と試してみました。こちらでは、そのレビューをお届けします。
トラブルで書き込みができず!?
ということで手元に届いたので、軽く動作チェックをしてみることに。どんなソフトが対応しているのかまったくわからなかったため、最初に試したのは『カトちゃんケンちゃん』にしてみました。
ちなみにこの『PCE V1 8Mbit フラッシュカートリッジ』は単体では使用できず、べっとダンパーも必要になります。ダンパーは以前入手しておいた『PCEダンパー V3』が手元にあったので、そちらを利用しています。
吸い出し自体はダンパーをPCに接続するだけでできますが、フラッシュカートリッジへの書き込みにはクライアントソフトが必要です。そこで、公式サイトより最新版を入手しておきます。ただし、後ほど触れますが、記事執筆時は2024年5月23日に更新されたものが最終版となっていますが、それではうまく動かすことができませんでした。
まず、ダンパーを使って『カトちゃんケンちゃん』を吸い出し、ROMチェッカーで正しく吸い出せているかチェック。その後、『PCE V1 8Mbit フラッシュカートリッジ』に書き込みを行ってみました。
しかし、何度やってもうまく書き込むことができず。その後、いろいろと公式でやりとりした結果、最新のクライアントの場所を教えてもらい、そちらを使ったところ書き込みができることを確認できました。
●クライアントソフトの入手先(2024年6月18日版)
http://gamebank.jp/dumper/dl/MultiDumper_full_win_20240618-test.zip
ちなみにクライアントソフトを使う場合は、最初に「Update」を押してファームウェアの更新をしておくことをオススメします。
実際にフラッシュカートリッジにROMを書き込むときは、クライアントを起動して左のメニューから「PCE」を選択。右のメニューから「Flash」をクリックしてROMのファイルを選択すると書き込みがスタートします。
正しく書き込みが行われているかチェックするために、「Verify the data after writing.」にチェックを入れておくといいでしょう。
ストリートファイターIIダッシュはサイズオーバーで書き込めない?
そもそも『EverDrive』など複数のROMデータを入れておけるマルチカートリッジではなく、たった1本のソフトを入れ替えながらしか使えないフラッシュカートリッジを使うメリットはあるのでしょうか?
じつはこちらを選んだ理由は、POLYMEGAで読み込むことができるのか確かめたかったからです。ご存じの人もいると思いますが、POLYMEGAは『EverDrive』のようなマルチカートリッジは読み込むことができません。しかし、かなり前より単体のフラッシュカートリッジなら読み込めるという報告がありました。
実は以前NINTENDO64のシングル専用のフラッシュカートリッジ『PicoCart64』を入手して確かめたたことがありましたが、こちらは残念ながらPOLYMEGAで読み込むことはできませんでした。
HuCARDの主なサイズ
PCエンジンでリリースされたHuCARDは、1Mbit(128KB)から20Mbit(2.5MB)まで7種類のサイズのものが用意されています。正確にいうと、『ポピュラス』は4Mbit(512KB)ではあるものの、それに加えてSRAM(32KB)が追加されており、それを分けると8種類ということになります。
最大容量のHuCARDは、『ストリートファイターIIダッシュ』の20Mbit(2.5MB)ですが、容量的には『PCE V1 8Mbit フラッシュカートリッジ』はそれ以外のタイトルに対応しているということになります。
■1Mbit(128KB)のHuCARDを採用したゲームの一例
・コラムス
・上海
・倉庫番ワールド
・ハットリス
・ブロディア
■2Mbit(256KB)のHuCARDを採用したゲームの一例
・R-TYPE IとII
・カトちゃんケンちゃん
・THE 功夫
・邪聖剣ネクロマンサー
・ビックリマンワールド
・ボンバーマン
・モトローダー
■3Mbit(384KB)のHuCARDを採用したゲームの一例
・ガンヘッド
・ダンジョンエクスプローラー
・ネクタリス
・ニュートピア
・ファイヤープロレスリング コンビネーションタッグ
■4Mbit(512KB)のHuCARDを採用したゲームの一例
・源平討魔伝 巻ノ弐
・スーパースターソルジャー
・ゼロヨンチャンプ
・ソルジャーブレイド
・麻雀学園 東間宗四郎登場
・マジカルチェイス
■4Mbit(512KB)+ SRAM(32KB)のHuCARDを採用したゲーム
・ポピュラス
■6Mbit(768KB)のHuCARDを採用したゲームの一例
・F1サーカス ’92
・スーパー桃太郎電鉄II
・ダライアスプラス
・ニュートピア II
・パワーリーグ ’93
・桃太郎伝説II
・雷電
■8Mbit(1MB)のHuCARDを採用したゲームの一例
・1941 Counter Attack
・オルディネス
・大魔界村
・パロディウスだ! ~神話からお笑いへ~
・PC原人3
・ファイヤープロレスリング 3 Legend Bout
・ボンバーマン’94
■20Mbit(2.5MB)のHuCARDを採用したゲーム
・ストリートファイターIIダッシュ
ためしに『ストリートファイターIIダッシュ』をダンプしてフラッシュカートリッジに書き込もうとしたところ、やはりサイズエラーが出てしまいました。
PCE V1 8Mbit フラッシュカートリッジはPOLYMEGAで読み込むことができるのか?
ということで、ある意味最大のポイントとなりますが、この『PCE V1 8Mbit フラッシュカートリッジ』に書き込んだゲームのROMデータは、問題なくPOLYMEGAで読み込めることが確認できました。
ためしたのは、最初にダンプした『カトちゃんケンちゃん』。こちらはHuCARDとしては一般的な2Mbit(256KB)となっています。
そこで、ほかのサイズのHuCARDのゲームについてもフラッシュカートリッジへの書き込みとPOLYMEGAで読み込むことができるのかチェックしてみることにしました。手持ちのゲームを調べてみたところ、以下のゲームを持っていることを確認。残念ながら6Mbit(768KB)だけはなかったので、今回は割愛しています。
・上海(1Mbit)
・カトちゃんケンちゃん(2Mbit)※チェック済み
・ファイヤープロレスリング コンビネーションタッグ(3Mbit)
・ポピュラス(4Mbit)
・パロディウスだ! ~神話からお笑いへ~(8Mbit)
上記のゲームを吸い出した後フラッシュカートリッジに書き込み、POLYMEGAに読み込ませていきました。その結果、少なくともここで紹介しているソフトについてはすべてPOLYMEGAで認識されることがわかりました。
PCエンジンスーパーグラフィックスもイケる?
もうひとつ気になったのが、通常のPCエンジンのゲームだけではなくPCエンジンスーパーグラフィックスもイケるのか? ということでした。ということで、手元にある『大魔界村』で確かめてみることに。
この『大魔界村』は、HuCARDとしては8Mbit(1MB)と同じ扱いです。つまり、容量的には問題なしということでROMを吸い出したあと、フラッシュカートリッジに書き込んでみることに。
ということでPOLYMEGAに読み込ませてみましたが、問題なく認識することがわかりました。
まとめ
最後に情報をまとめると、『PCE V1 8Mbit フラッシュカートリッジ』と『PCEダンパー V3』の組みあわせで書き込めるROMは、『ストリートファイターIIダッシュ』以外のHuCARDのゲーム。PCエンジンスーパーグラフィックスの『大魔界村』を含めて、POLYMEGAで読み込ませることができるということになります。
POLYMEGAは別にしても、少なくとも8Mbitのフラッシュカートリッジが何に対応しているのかわかっただけでも、大きな収穫だったかもしれません。