はじめに
発売から40年近く、任天堂の修理サポート終了から17年が経った、『ディスクシステム』。どんなに良い状態を保っていても、どうしても年月劣化してしまう部分があります。その中のひとつが、「ゴムベルト」です。筆者も久々に新品の状態に近い本機を引っ張り出してみましたが、やはり動作しませんでした。
そこでインターネットで情報を集め、自力でゴムベルト交換にチャレンジしてみることに。実際にやってみると、ゴムベルト交換そのものはあまり難しくなかったものの、その後の調整部分で苦労することになりました。その原因のひとつとなっているのが、多くのサイトで省略されていた「ギア部分の調整」です。
参考になったのは、こちらのサイト。チェック用に安めの中古『ディスクシステム』を仕入れて、そちらを修理してみたところ、見事にすべてのゲームが動かせるようになりました。
そこで、こちらではその手順をご紹介していきたいと思います。
①最初に準備しておくもの
まず始めに必要なものを準備しておきます。道具としてプラスドライバー(中サイズ)と小さめの六角レンチ、ピンセット、ネジを無くさないように閉まっておくケース。ドライバー2本写っていますが、大きい方は磁石付きで使い勝手が良かったため利用しています。このほか、1ヵ所だけマイナスドライバーを爪を起こすときに使います。また、こびりついたゴムを取り除くのに、無水エタノールもあると便利でしょう。
交換用のゴムベルトは、アマゾンで売られていた『【MA-9438】Famicom Disk System Belt / FC ディスクシステム交換用ベルト』という商品。5本ほどはいっており、値段は480円です。
②ドライブを取り出す
準備ができたら『ディスクシステム』を裏返して、ネジを6本外していきます。穴が細めのため、中サイズ程度のプラスドライバーを利用する必要があります。
ネジが外れたらふたたび本機をひっくり返し、上側のふたを外します。ふたが外れたら、ドライブ自体を固定している4本のネジと、電池ボックスを固定している2本のネジを外します。
ネジが外れたら、ドライブと繋がっているハーネスを外します。初めて外すときは若干固く感じるかもしれません。
ケースはしばらく使わないので、よけておきましょう。
これでドライブの取り出しが完了しました。
③ドライブの黒いフタを外していく
続いてゴムベルトの交換作業に入っていきます。ドライブを裏返し、赤丸の3つのネジを外しましょう。個体差で立て付けが悪いものもある部分のため、ネジが固めでバカになりがちなので、注意が必要です。
続いて固定用のバネ3本を外していきます。このバネはなくしやすいため、ピンセットで慎重に外していく必要があります。筆者の場合は、指で抑えながら、バネがどこかに飛んでいかないようにしながら作業をしました。
バネが外れたら、ドライブ正面のネジを2本外しフタを取り除きます。
ドライブの黒いフタを外していきます。黄色いイジェクトボタンを中に押し込んでいく途中で切れ目があるので、その場所までずらしながら外しましょう。写真の①部分を持ち上げて、②のところをよく見ながらイジェクトボタンを押し込んでいってください。
もしイジェクトボタンが押し込まれていた場合は、黄色いイジェクトボタンを押す進行方向付近に白い爪があるので(黒いフタの下)、ピンセットなどで外してあげることで元に戻すことができます。
これで黒いフタを外すことができました。
④ゴムベルトの交換
この時点で中を見てみると、このようにゴムベルトが切れていることが確認できると思います。まずはこれを取り除いていきましょう。ゴムは年月劣化でねっとりとこびりついていることがおおいため、無水エタノールなどを使って拭き取ってあげると綺麗に落とすことができます。
ゴムベルトが切れていることが確認できたら、表に戻し、ピックアップ部分を六角レンチで回して外します。ワッシャーも付いているので、なくさないようにしておきましょう。
黒いケーブルが爪で止められていますので、マイナスドライバーなどで起こしておきます。
ドライブを裏返して、ネジを外していきます。基板部分は4本ですが、そのうち紫の丸で囲った部分はほかとネジの形が異なるため、外す前に覚えておきましょう。
また、3角のギア部分のネジも外しておきます。
ギア部分を取り外します。さらにこのギアはコの時に組み合わさっていますので、それも取り外します。
切れたゴムベルトを綺麗に取り除いたら、新しいゴムベルトを取り付けていきます。写真のような位置にベルトを引っかけて、先ほど分離したギア部分に戻していきましょう。
ここでドライブにギアを取り付ければOK……といいたいところですが、まだ重要な項目が残っています。
⑤ギア位置の調整
ドライブにギアを取り付ける前に、ギア位置の調整をします。写真の位置になるように、位置を調整して取り付けましょう。
ギア調整が終わりゴムベルトを取り付けたら、ネジを締め直します。
⑥ヘッド位置の調整
いよいよ最終ステップです。最後にヘッド位置の調整を行います。ギア部分を反時計回りに回していきましょう。
するとヘッドが上下に移動します。ヘッドの位置が上側に来たときに、急に「ガチャン」と音がするところがあるので、そこがヘッド位置になります。その状態が動かないように、ギア部分を指で固定しましょう。
六角レンチを使ってヘッドの角度を下側に向くように調整します。
これで調整は完了。あとは元に戻していき、動作チェックをしてみましょう。問題がある場合は、ギア位置とヘッドの調整部分をやり直してみることをオススメします。
ちなみに2台連続で調整しましたが、1台目は一発ですべてのゲームが読めるようになりました。2台目は相変わらずエラーが出るため、再度調整してみる必要がありそうです。
追記:再度ギア位置とヘッドの調整を行ったところ、もう1台も無事すべてのゲームが読み込めるようになりました。
ディスクシステムのエラーコード一覧
ERR.01 ディスクカードがない
ERR.02 ディスクユニットの電源が足りない
ERR.03 ディスクカードのツメが折れている
ERR.04 メーカIDが違う
ERR.05 ゲーム名が違う
ERR.06 バージョン番号が違う
ERR.07 A,B SIDE ERR.07 サイド番号が違う
ERR.08 ディスク番号1が違う(新・鬼ヶ島などで使用)
ERR.09 ディスク番号2が違う
ERR.10 ディスク番号3が違う
ERR.20 許認画面のデータが異なる
ERR.21 ディスクヘッダブロックの一部(*NINTENDO-HVC*)が違う
ERR.22 ディスクヘッダブロック識別番号#$01が読み取れない
ERR.23 ファイル数保存用ブロック識別番号#$02が読み取れない
ERR.24 ファイルヘッダブロック識別番号#$03が読み取れない
ERR.25 ファイルデータブロック識別番号#$04が読み取れない
ERR.26 ディスクカードに正しくSAVEできない
ERR.27 ブロック終了マークが見つからない
ERR.28,ERR.29 ディスクユニットと同期が取れない
ERR.30 ディスクカードにSAVEできる残りの部分が無い。
ERR.31 ディスクカードのデータ数が実際と合わない。
(5chより)
text.レトロゲームライター 高島おしゃむ