これ1本であらゆるスーファミのゲームが起動できるEverDriveのマルチカートリッジ『FXPAK PRO』レビュー

これ1本であらゆるスーファミのゲームが起動できるEverDriveのマルチカートリッジ『FXPAK PRO』レビュー

今回レビューするのは、EverDriveから発売されているスーパーファミコン用マルチカートリッジ『FXPAK PRO』です。以前は『SD2SNES』や『SUPER EVERDRIVE』というような名称で呼ばれていましたが、現在はこちらが最新版になります。

EverDriveを簡単に紹介しておくと、ゲームのROMデータをカセットのなかに複数入れておくことができ、それをメニューから選んで起動できるようにするという感じの特殊なカセットです。ゲームのROMデータ自体は別途用意する必要がありますが、オリジナルのN in 1カセットが作れるようなイメージといえばわかりやすいでしょうか。

これ1本であらゆるスーファミのゲームが起動できるEverDriveのマルチカートリッジ『FXPAK PRO』レビュー

起動して真っ先に驚いたのは、他のEverDrive製品とは大きく異なり、グラフィカルなメニューが表示されることでした。ゲームのROMを入れるMicroSDカードは、最大200GBまでテスト済。残念ながらexFATはサポートされていないため、FAT32でフォーマットする必要があります。

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▲『FXPAK PRO』ではグラフィカルなUIが採用されています。

ROMの高速ロードと高速なメニューナビゲーションを実現。ディレクトリー内のファイルは、自動で並べ変えられます。長いファイル名を表示するために、高解像度メニューを採用。リアルタイムクロックにも対応しています。

最大128MBitのROMサイズをサポートしていますが、実際は96MBitまでしか使われていません。一部を除いて、特殊チップのゲームやサテラビューのソフトにも対応しています。

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▲上部にはSDカードスロットの他、USBポートも用意されています。USBはファイルのやりとりなどには使えず、RTCのセットや開発などで活用されているようです。

公式サイトから最新OSを入手

というわけで、まずは最新のOSとファームウェアを入手するために公式サイトにアクセスしてダウンロードしましょう。ファイルを入手したら解凍して、SDカードのルート上に「sd2snes」フォルダーをコピーします。それ以外のゲームのROMは、自分が管理しやすいようにフォルダわけして入れておくといいでしょう。

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特殊チップ&サテラビューの起動にはBIOSファイルが必要

スーパーファミコンのゲームのなかには、ゲーム内の機能を拡張するために特殊なチップを搭載したものが含まれています。たとえば3Dグラフィックが印象的だった『スターフォックス』には、「SuperFX」という3Dグラフィックのためのチップが搭載されているといった感じです。

そのため、こうした特殊チップを搭載したゲームが。互換機やエミューレータなどでは上手く動かないことも少なくありません。

問題は、これらのBIOSファイルをどうやって入手あるいは吸い出すことができるのか? ということですが……これについては、全くのミッシングリンク状態になっており、どこを探しても違法ファイルをダウンロードする以外の方法を見つけることができませんでした。

というわけで、『FXPAK PRO』でサポートしている特殊チップのゲームは、以下の通りです。

・DSP-1 / 1B
・DSP-2
・DSP-3
・DSP-4
・ST-010
・Cx4
・S-RTC
・SuperFX
・SA-1
・MSU-1(オーディオをCD並のサウンドにできるもの。ほぼ海外タイトル向け)
・OBC-1(『Metal Combat: Falcon’s Revenge』でのみ使用されているスプライト操作用のチップ)

非対応はSPC7110、『森田将棋』シリーズで使われているST011とST018で、S-DD1に関しては特に記載はないものの、問題なく遊ぶことができました。DSP関連とST010のゲームを起動するには、それぞれに対応したBIOSを「sd2snes」フォルダーに入れておく必要があります。

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▲対応しているはずの『スーパーマリオカート』も、なぜかこの画面から進まず!?

ちなみにST-010は、『エキゾースト・ヒートII』でしか使われていないため、そちらのゲームを遊ぶとき以外はなくても問題ありません。DSP関連は、主に以下のゲームで利用されています。どうやらこうした仕様になっているのは、著作権的な問題があるのが理由のようです。

●必要なBIOSファイル
dsp1.bin
dsp1b.bin
dsp2.bin
dsp3.bin
dsp4.bin
st0010.bin

ゲーム名特殊チップの種類メーカー
装甲騎兵ボトムズ ザ・バトリングロードDSP-1タカラ
バイク大好き!走り屋魂DSP-1日本コンピュータシステム
ファイナル・ストレッチDSP-1ロジーク
マイケル・アンドレッティ インディーカーチャレンジDSP-1ビーピーエス
パイロットウイングスDSP-1任天堂
首都高バトル’94 土屋圭市 ドリフトキングDSP-1ビーピーエス
首都高バトル2DSP-1ビーピーエス
スズカエイトアワーズDSP-1ナムコ
スーパーエアダイバーDSP-1アスミック・エース
スーパー3DベースボールDSP-1ジャレコ
スーパーF1サーカス外伝DSP-1ニチブツ
バトルレーサーズDSP-1バンプレスト
スーパーマリオカートDSP-1/1B任天堂
エースをねらえ!DSP-1A日本テレネット
ダンジョンマスターDSP-2JVC
SDガンダムGXDSP-3バンダイ
プラネットチャンプ TG3000DSP-4ケムコ

同様に、サテラビュー関連のゲームを遊ぶ場合も、BS-X BIOSを「bsxbios.bin」という名前に変えて「sd2snes」フォルダーに入れておく必要があります。

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スーパーゲームボーイ2にもβながら対応

2020年7月16日に、スーパーゲームボーイ2のβ版も公開されました。こちらはGitHubから「sgb04」というファイルを落として「sd2snes」に上書きするほか、sgb2_boot.binとsgb2_snes.binというファイルも「sd2snes」フォルダーに入れておく必要があります。

実際にゲームを遊んでみましたが、スーパーゲームボーイ2らしさが出ておりなかなかいい感じでした。

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メニュー

『FXPAK PRO』を起動するとグラフィカルな画面が立ち上がりますが、そこからXボタンを押すことでメインメニューのウインドウが表示されます。「Recent game」は自分がプレイしたゲーム履歴を表示。そこからゲームを起動することも可能です。

「System Infomation」では、『FXPAK PRO』の状態をチェックすることができます。

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上記のふたつよりも、メインとなるのは「Configuration」の項目です。こちらでは、かなり細かい設定が行えます。

・Set Clock・・・・・・・・・・・RTCの時間を設定します
・BS-X Settings・・・・・・・サテラビューの時間設定ができます
・Brower Settings・・・・・ソートやスクリーンセーバーの設定ができます
・Chip Option・・・・・・・・・特殊チップのCX4とSuperFXのスピードアップやMSU-1のボリュームブースの設定が行えます
・In-game Settings・・・・インゲームメニューに関する設定のほか、チートのオン・オフ、自動リージョンパッチ、1Chipスーファミに関する輝度修正などが行えます
・SuperCIC Settings・・・マルチリージョンカートリッジとして機能させることができる、SuperCICの設定が可能です。これにより、CIC保護されたS-DD1、SA1などの特殊チップを搭載したゲームがリージョンに関係なくプレイ可能になります

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セットアップにひと手間かかるものの相対的な完成度は高め

一通りいじってみて感じたことは、ほかのEverDriveのカセットと比較するとひと手間セットアップに時間がとられるものの、マルチカートリッジとしての完成度はそこそこ高めといった印象でした。実機はもちろんのこと、AnalogueのSuper Ntとの相性もいいようなので、それらと組み合わせることで最高のユーザーエクスペリエンスが得られるのではないでしょうか。

●project sd2snes – …SD cards? In my SNES?
https://sd2snes.de/blog/

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ABOUT US
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高島おしゃむ
ライター/編集者。コンピューターホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。 現在はゲームやホビー、IT、XR系のメディアを中心に、イベント取材やインタビュー、レビュー、コラム記事などを執筆しています。