『Analogue 3D』のライバルとして、早くから注目を集めていたModRetroのNINTENDO64互換機『M64』。本機は、AMD製の16nm世代のFPGA「Artix UltraScale+」を採用し、オリジナルのNINTENDO64用ゲームカートリッジを現代のテレビで楽しめるように設計されたゲーム機です。
●ModRetro M64公式サイト
https://modretro.com/products/m64
リージョンフリー仕様に加えて、メモリー拡張パックの機能も本体に内蔵。コントローラーパック機能についても、今後のアップデートで対応する予定です。純正のNINTENDO64用コントローラーにも対応しており、当時のゲーム環境を現代の技術で再構築しながら、実機に近い感覚で遊べることを目指しています。また、透明なシェルやカートリッジを照らすLEDなど、ModRetroらしい個性的なデザインも見どころのひとつです。
日本では7月29日の深夜に販売が開始されましたが、なんと8月1日には早くも我が家に到着。海外から発送された製品とは思えないほどの早さに驚かされました。

余談ですが、早期割引で少しだけ安く購入できたものの、送料込みの支払額は4万2,920円でした。同時発売された『M64 Pro Controller』は1万5,900円と非常に高価だったため、購入を見送っています。というわけで今回は、ひと通り本機の性能や使い勝手をチェックしてみたので、そのレビューをお届けします!
M64の主なスペックと本体構成
『M64』の中核には、AMD製の16nmプロセスで製造されたFPGA「Artix UltraScale+」が採用されています。『Analogue 3D』に搭載されているインテル製の「Cyclone 10」とはメーカーやアーキテクチャが異なるため単純な比較はできませんが、いずれもFPGA上にNINTENDO64の回路を再現することで、オリジナルに近い動作を目指しているところは共通しています。
本体のファームウェアは、Wi-Fiを利用して更新できるほか、付属のmicroSDカード経由でのアップデートにも対応しています。カラーバリエーションは、いずれも内部が見える半透明仕様で、クリア、パープル、グリーン、レッドの4色が用意されています。なお、本体にはコントローラーやHDMIケーブルが付属していないため、別途用意する必要があります。
| FPGA | 16nm AMD Artix UltraScale+ FPGA |
| カラーバリエーション | クリア、パープル、グリーン、レッド |
| ワイヤレス | Wi-Fi、Bluetooth SCI |
| オーディオ | 48kHz/16ビットPCMオーディオ |
| 対応カートリッジ | NINTENDO64用カートリッジ、M64用カートリッジ |
| リージョン | リージョンフリー(NTSC/PAL) |
| コントローラー | 別売り |
| コントローラーポート | NINTENDO64互換ポート×4 |
| 拡張機能 | メモリー拡張パック相当の機能を本体に内蔵。コントローラーパック機能は今後のアップデートで対応予定 |
| 端子 | HDMI、USBポート×3、microSDカードスロット |
| 本体サイズ | 約216×165×56mm |
| 重量 | 約726g |
| 価格 | 4万500円 |
本体前面には、オリジナルのNINTENDO64と同じ形状のコントローラーポートが4つ用意されています。純正のNINTENDO64用コントローラーに加えて、別売りの『M64 Pro Controller』や、Hyperkin、Retro Fighters、8BitDoなどの対応コントローラーも使用可能です。これは後ほど触れますが、『Nintendo Switch Online』用のNINTENDO64コントローラーについては、接続に別売りのアクセサリーが必要となります。


背面側には、電源供給用のUSBポート、HDMI出力、アクセサリー用のUSBポートがふたつ、microSDカードスロットを搭載。アクセサリー用のUSBポートは、『M64 Pro Controller』の充電などに利用できます。あらかじめ16GBのmicroSDカードが装着されており、ファームウェアや各種データの保存に使用されています。

本体上部には電源ボタンとメニューダイヤルに加えて、NINTENDO64互換機としては珍しいカートリッジのイジェクトボタンを搭載。カートリッジスロットのフラップを開いた状態で固定するためのラッチも用意されており、端子部分を掃除しやすい作りになっています。また、カートリッジのラベルを下側から照らすLEDも内蔵されており、明るさは設定から調整することが可能です。





本体底面側には、とくに拡張端子などは搭載されていません。そのため、周辺機器の『64DD』を取り付けることはできません。まぁ、『64DD』に関しては、『SummerCart64』や、最近発売された『EverDrive-64 PRO』を利用することになりそうですね。
●SummerCart64(日本のアマゾン)
https://amzn.to/3RtiNrt
●EverDrive-64 PRO
https://krikzz.com/our-products/cartridges/everdrive-64-pro.html
ちなみに今回は、『SummerCart64』だけ動作をチェックしましたが、少なくともゲームは問題なく起動してプレイできました。

シンプルだが初心者にもわかりやすいメニュー構成
何もカセットを挿していない状態で電源を入れると、カセットの挿入を促す画面とともに、メニューを呼び出すショートカットキーが表示されます。このときに、本体のメニューコントロールボタンを長押しするか、コントローラーのZボタンとスタートボタンを同時に押すことでメニューが呼び出せます。

メニューは、「ディスプレイ(DISPLAY)」、「コントローラー(CONTROLLER)」、「システム(SYSTEM)」、「実験的項目(EXPERIMENTAL)」、「アバウト(ABOUT)」の5つの項目に分かれています。初回起動時は、「システム」でWi-Fiの設定をした後、「アバウト」からファームウェアの更新をしておきましょう。

「システム」では、Wi-Fiの設定以外にも本体の電源オフやコアの再起動なども行えます。「実験的項目」では、今のところ利用できるのはオーバークロックのみ。また、今後のアップデートで追加予定の項目リストも確認できました。


オーバークロックはオフも含めて5段階で設定可能。たとえば『SummerCart64』ではマスターシステムのエミュレーターも動かせますが、オフの状態ではかなり動作が重かったのですが、オーバークロックを有効にすると多少改善しました。

「コントローラー」の項目では、ワイヤレスコントローラーのペアリングなどが行えます。ワイヤレスコントローラーに限られますが、接続中のコントローラーのファームウェアバージョンなども確認できました。ただし、コントローラーパックなどの周辺機器に関する設定項目が用意されていないのは、残念なポイントです。


「ディスプレイ」は、主に映像表示に関わる部分の設定が行えます。といっても内容は非常にシンプルなものになっていました。「プロファイル」では、映像表示を走査線の追加やブラウン管風に変更できます。その中の「カスタム」を選ぶことで、さらに細かく数値を設定することもできます。


「イメージサイズ」では、デフォルトから「Integer+」に変更すると、輪郭をぼかさないニアレストネイバー方式で映像を拡大・縮小して表示することができます。「イメージフィット」で「ストレッチ」を選ぶと、映像を横方向に引き伸ばし、画面いっぱいに表示できます。また、「レゾリューション」の項目では、表示する解像度を変更することが可能です。



周辺機器への対応にはまだ課題あり
発売されたばかりとはいえ、現時点で気になるのが、主にコントローラーへ接続するタイプの周辺機器への対応です。これは『M64 Pro Controller』も含めてのようですが、現時点でワイヤレスで接続されたコントローラーでは、コントローラーパックや振動機能は使えません。
ちなみに、有線で接続したオリジナルのコントローラーでは、コントローラーパックや振動パックは問題なく動作することを確認しています。もうひとつ、公式で対応を謳っているのが『64GBパック』です。
こちらはゲームボーイとNINTENDO64を連携させるための周辺機器ですが、試しに『ポケモンスタジアム金銀』で、ゲームボーイ版『ポケットモンスター ピカチュウ』を読み込ませたところ、問題なく連携できることを確認しました。


一方、まったく動作しなかったのがVRSユニットです。こちらは、音声認識のための周辺機器で、『ピカチュウげんきでちゅう』と『電車でGO!64』の2本のみ対応しています。
そこで、『ピカチュウげんきでちゅう』を使って動作をチェックしようとしたのですが……そもそもコントローラーポートにさしてもまったく認識されず。残念ながら、現状は使えないことがわかりました。

Analogue 3D用に購入した『8BitDo 64 Bluetooth コントローラー』ですが、こちらは問題なく使用することができます。ただし、先ほども触れたように現状はコントローラーパックや振動機能は使うことができませんでした。
●8BitDo 64 Bluetooth コントローラー
https://amzn.to/4fCjt74

Nintendo Switch Online加入者限定で購入できる『NINTENDO64 コントローラー』は、そのままでは利用できません。しかし、別途『BlueRetro』などのワイヤレスアダプターを用意すれば問題なく使用することができます。
●NINTENDO64 コントローラー
https://store-jp.nintendo.com/item/hardware-accessory/VM_HAC_A_LR3GF
●BlueRetro ワイヤレスコントローラーコンバーター(Aliexpress)
https://s.click.aliexpress.com/e/_c3Phpinz


コントローラーを接続すると、本体のコントローラーポート周囲にあるリングが点灯します。ワイヤレス接続時は紫、有線接続時は白とわかりやすく色分けされているところもいいですね。

一部のゲームはメモリー拡張パック(ハイレゾパック)が必須となっています。これに関しては、本体側で自動的に有効になるため、特にユーザー側が意識する必要はありません。つまり、何も考えずにほとんどのゲームが遊べると思えばいいでしょう。
オリジナルのハードでは、メモリー拡張パックを利用することで、一部のゲームでハイレゾモードで映像が表示できるようになっていました。もちろん、これらも利用することができます。ただ、ハイレゾに切り替えて劇的に変わるかというと微妙な感じもするので、いろいろなタイトルで試してみるといいかもしれませんね!
【ハイレゾ対応ソフトの例】
・バイオレンスキラー
・スター・ウォーズ:エピソード1:レーサー
・スター・ウォーズ 出撃!ローグ中隊
・悪魔城ドラキュラ黙示録
・トップギアオーバードライブ
・ハイブリッドヘブン
・ガントレットレジェンド
・大刀
・バイオハザード2

不具合や未実装機能はあるものの、ハードとしての出来は良好
先ほどの周辺機器や、一部ゲームでは不具合があって上手く動作しないものも存在します。たとえば、公式サイトで「M64の互換性リスト」というものも公開しており、現在上手く動作しないゲームなどもひと目で分かるようになっています。ただし、こちらは日本のタイトルは含まれていないようです。
●M64の互換性リスト
https://modretro.com/pages/m64-compatibility
この互換性リストに掲載されているタイトルについても、いくつか動作をチェックしました。まず、『スター・ウォーズ 出撃!ローグ中隊』を試したところ、途中でフリーズしました。また、『ドンキーコング64』では、デモ画面で綱渡りに失敗してしまうと記載されていましたが、たしかに毎回失敗するのを確認しました。


こうしたゲーム固有の不具合に加えて、コントローラーパックのようにゲームをプレイするうえで重要な機能もあるため、なるべく早いアップデートで改善してもらいたいところです。
最終的な評価は、今後への期待も込めて星4とします。















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