バンダイのPS1用ゲーム『魔女っ子大作戦』はなんでこんな作品になったのか? 開発者が「最も奇妙なゲーム開発体験だった」と語る誕生の経緯

バンダイのPS1用ゲーム『魔女っ子大作戦』はなんでこんな作品になったのか? 開発者が「最も奇妙なゲーム開発体験だった」と語る誕生の経緯

先日、つい目に止まったゲームがあります。それが、1999年2月4日にバンダイより発売されたPlayStation用ゲームの『魔女っ子大作戦』です。キャラクター的にもてっきりライト層向けの内容で、きっと『対戦ぱずるだま』のようなポップな作品なのかな? と思いつつゲット。さっそく遊んで見たところ、そのあまりのギャップに驚いてしまいました。

なんと、ゲーム内容は思わず「大戦略か!」と叫んでしまいそうになった、ターン制のシミュレーションゲーム。たとえば『魔法使いサリー』のシナリオの場合、サリーやカブ、ポロンといったキャラクターたちに加えて、よっちゃんやすみちゃんまで、出撃させることができちゃいます。

▲ボイス付きで物語が進んでいく。ここまでは良かったが……。
▲ん? ユニットを配置?
▲よっちゃんやすみちゃんも出撃!

この『魔女っ子大作戦』のさらにユニークなところは、バトルシーンです。通常、この手のゲームのバトルといえば、ターンでRPGのようなコマンドを選んでいくものがほとんどですが、なんと本作ではリアルタイムの3Dアクションバトルを採用! あまりにも内容がぶっ飛びすぎてて脳みそが付いていけないまま、ゲームは進んでいきます。

最終的に、敵の拠点にいるボスキャラを倒すことができるとステージクリアになります。ま、ゲームとしてはつまらないわけでは無いものの、それよりも気になったのが……

何でこんなゲーム性になったのか?

ということでした。そこで、少しだけ調べてみることに。

▲敵拠点のボスを倒すとクリアに。

『SDガンダム』のハズが別のIPのゲームに

この『魔女っ子大作戦』の元となったのは、トイズ・フォー・ボブ社が1998年に発売した『The Unholy War』というPlayStation用のゲームでした。惑星クサラを舞台に、ふたつの勢力があらそうといった設定のゲームでした。

2011年にMatt Barton氏のYouTubeチャンネルに出演したトイズ・フォー・ボブ社共同創業者のPaul Reiche III氏は、『The Unholy War』の戦闘がお気に入りだったことから、まだまだその可能性があると考えていたと当時を振り返ります。

そのときに思い出したのが、過去に遊んだ『SDガンダム』のゲームです。そのとき、「単に戦闘を見守るのではなく、実際にロボット同士で戦うことができるゲームがある」と思ったそうです。そこで、バンダイからライセンスを取得するチャレンジするというアイデアを思いつきます。

▲Matt Barton氏によるインタビュー動画。

当時の社長は、「バンダイの人達のことは知っているから実現できるよ」と、ポール氏に告げます。その後、バンダイからも「『The Unholy War』のことは大好きで素晴らしいアイデアだと思う」と返事をもらったものの、その時点で何を作るのか正確にはわかっていないまま契約を結んでしまいます。

その時点でトイズ・フォー・ボブ社側がとにかく大量にやらねばいけなかったことが、画像の作成でした。そして、そこでようやく今作っているゲームが60年代から80年代までのアニメキャラクターたちが登場するものだったことに気付きます。

関係者の話によると、当初は『セーラームーン』と『キューティーハニー』が登場するゲームだったものの、いつのまにやら『セーラームーン』ではなくなり、『キューティーハニー』を含めた最終的なラインナップに決まったそうです。

肝心のバンダイからは、レベルデザインを設計するための素晴らしい資料が送られてきたものの、それらは全て日本語で書かれていたため彼らは読むことができませんでした。さらに、バンダイで唯一英語を話すことができた人物が途中で退社。その後、ゲームが完成するまでの長い期間、お互いの言葉をあまりよく理解しないままやりとりが続いていきます。その間、開発メンバーの妻が日本語ネイティブだたっため、ときおり何を話しているのか教えてくれる程度だったといいます。

開発者たちは、それぞれのキャラクターのストーリーを把握していたわけではなく、バンダイ側が何をしてほしいのかということについても、正確にははあくしていませんでした。さらに、バンダイ側から全く情報がもらえなかったもののひとつが「敵が誰なのか?」ということだったといいます。そこで彼らは、『The Unholy War』や『Pandemonium(邦題:マジカルホッパーズ)』からのキャラクターを流用して登場させています。

開発サイクルの終盤、特に家庭用ゲーム機向けのタイトルではバグの内容が技術的なものになっていきます。たとえば、コントローラーを抜き差ししながらメモリーカードを抜き差しするといったものなどです。そこで彼らはバンダイ側に事実だけを教えてもらうようにしたものの、日本語でバグ報告が流れてくるようになります。Paul氏によると、最終的に彼らはそれらを無視して、ゲームの開発を終えたのでした。

インタビュー動画の最後に、『魔女っ子大作戦』について「今でも最も奇妙なゲーム開発体験だった」と当時を振り返っていました。

▲英語のタイトルとして「LITTLE WITCHING MISCHEFS」と付けられていますが、パブリッシャー側の人間がこの名所を呼んでいるところを見たことがないため、Paul氏はその意味について知らないそうです。

●参考サイト:役に立たないゲーム雑学:Star Control vs Little Witches
https://web.archive.org/web/20090212183530/http://forums.selectbutton.net/viewtopic.php?t=18451

参考サイト:これらのゲームを覚えている3人は、これが非常に興味深いと思うでしょう
https://web.archive.org/web/20090201063703/http://www.aeropause.com/2009/01/the-three-of-you-who-remember-these-games-will-find-this-intensely-interesting/

●参考サイト:おもちゃは一体どうやって作られているのでしょうか?
https://web.archive.org/web/20121124002359/http://www.destructoid.com/merging-toys-and-videogames-together-with-skylanders-236668.phtml

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