Analogue PocketのN64コア『MIRLO 64 v0.7』公開! セーブステート&スリープ、仮想Transfer Pakに対応

Analogue PocketのN64コア『MIRLO 64 v0.7』公開! セーブステート&スリープ、仮想Transfer Pakに対応

FPGAベースの携帯ゲーム機『Analogue Pocket』向けに開発されている、NINTENDO64用openFPGAコア『MIRLO 64』のv0.7が、2026年10月31日に公開されました。開発を手がけているのはtortugaveloz氏で、今回のアップデートではセーブステートやスリープへの対応に加え、SDカード上のゲームボーイ用データを利用できる「Virtual Transfer Pak(仮想Transfer Pak)」などが追加されています。

当サイトでは10月11日に初版のv0.1、10月24日にv0.4を紹介しましたが、その後も短い間隔でアップデートが続いています。これまではゲームの互換性向上や不具合の修正が中心でしたが、今回はプレイ中の中断・再開やゲームボーイとの連携など、使い勝手に関わる新機能が大きな特徴となっています。

●『MIRLO 64』v0.7リリースページ
https://github.com/tortugaveloz/MIRLO64/releases/tag/v0.7

●『MIRLO 64』GitHubリポジトリ
https://github.com/tortugaveloz/MIRLO64

セーブステートとスリープに対応! ゲームの途中から再開できるように

今回のアップデートで大きいのが、Analogue Pocketに搭載されているスリープ機能と「Memories」への対応です。Memoriesはゲームの進行状態を保存する、いわゆるセーブステート機能で、ゲーム側に用意されているセーブポイントとは関係なく、プレイ中の状態を記録することができます。

セーブステートを作成するときは、Homeボタンを押しながら十字キーの上を押します。保存した状態はメニューから読み込むことができるため、ゲームを中断した場面から再開することが可能です。また、スリープにも対応したことで、携帯ゲーム機としての使い勝手が向上しています。

ただし、NINTENDO64のゲームは扱うデータ量が多く、状態の保存や復帰にはある程度の時間が必要になります。開発者によると、圧縮されたセーブステートのサイズはタイトル画面で約1MB、ゲーム中にメモリーをある程度使用した状態では約3MBになるとのこと。この程度のサイズでは、スリープからの復帰に約17秒かかる場合があると説明されています。

そのため、一般的な携帯ゲーム機のように瞬時に復帰できるわけではありません。それでも、これまで対応していなかったセーブステートとスリープが利用できるようになったことは、大きな進歩といえそうです。

SDカード上のGB/GBCデータを利用する仮想Transfer Pakを追加

もうひとつの注目機能が、新たに追加された「Virtual Transfer Pak」です。

NINTENDO64には、対応ソフトとゲームボーイ用カートリッジを連携させる周辺機器「Transfer Pak」が存在しました。『MIRLO 64』は以前からAnalogue Pocketのカートリッジスロットに装着したゲームボーイ用カートリッジを利用する方式に対応していましたが、今回追加されたのはSDカード上のファイルを使用する仮想方式です。

対応するのは、最大3MiBまでのゲームボーイ用.gbおよびゲームボーイカラー用.gbcファイルです。NINTENDO64のゲームを起動する前に「Load Virtual Transfer Pak 1」から使用するファイルを選び、「Controller 1 pak」を「Virtual Transfer Pak」に設定することで利用できます。

さらに、コントローラー2側にも仮想Transfer Pakを設定できるようになりました。「Controller 2 pak」で仮想Transfer Pakを有効にし、「Load Virtual Transfer Pak 2」から別のファイルを指定する仕組みです。ただし、ゲーム側が起動時にコントローラーの構成を確認するため、これらの設定はNINTENDO64のゲームを開始する前に行う必要があります。

なお、ゲームボーイ用のセーブデータについては注意が必要です。v0.7のリリースノートでは、コントローラー1側の保存先がSaves/n64/common/<N64ゲーム名>.gbsav1、コントローラー2側が.gbsav2になると説明されており、既存のゲームボーイ用.savファイルをコピーして利用する手順が案内されています。

一方、GitHubの最新READMEでは、ゲームボーイ用コアが使用するSaves/gb/common/やSaves/gbc/common/内のセーブデータを直接読み込む方式が説明されています。両者の記述には違いがあるため、利用するバージョンの仕様を確認し、既存のセーブデータは必ずバックアップしておいたほうがよさそうです。

また、仮想Transfer Pakはセーブステートやスリープにも対応していますが、実物のゲームボーイ用カートリッジを使用した場合は扱いが異なります。後者では復帰時にTransfer Pakが取り外された状態として認識されるため、同じように利用できるわけではありません。

GameSharkコードに対応! 音声やグラフィックの不具合も修正

このほか、NINTENDO64用の改造コード「GameShark」を利用できる機能も追加されました。

新たに用意された「Enable Gameshark codes」を有効にすることで、あらかじめ設定したコードをゲーム中に適用する仕組みです。コードはAssets/n64/common/gameshark/フォルダーにテキストファイルとして保存し、ゲームの識別IDに合わせたファイル名を付ける必要があります。

この機能は初期状態では無効になっており、有効にした場合はファイル内に記述されたすべてのコードが実行されます。個別のコードをメニューから選択する仕組みではないため、使用するコードは事前に整理しておく必要があります。

また、音声や映像に関する不具合も修正されています。音声については、ゲームの実行中にROMからデータを読み込む際、処理が一時的に停止することで発生していた音の途切れやノイズへの対策が行われました。開発者は『Pilotwings』で音声のひび割れが解消されたことを確認しており、ほかのゲームでも改善が期待できるとしています。

グラフィック関連では、画面の右端に別の部分の画像が縦線として表示される問題が修正されました。具体的には『マリオテニス64』に相当する海外版『Mario Tennis』で、オープニング中に発生していた縦線が、画面のクロップ設定を使用しなくても表示されなくなったとのことです。

v0.7はGitHubからダウンロード可能。導入時の注意点は?

『MIRLO 64』v0.7は、GitHubのリリースページから無料でダウンロードできます。配布ファイル「tortuga.Mirlo64_0.7.zip」を展開し、Analogue PocketのSDカードのルートにコピーして、既存のフォルダーと統合する形で導入します。

NINTENDO64用ゲームのROMファイルは、ビッグエンディアン形式の.z64に対応しており、配置先はAssets/n64/common/です。導入後はopenFPGAメニューから「Console」→「Nintendo 64」を選択して起動します。

なお、ゲームデータ自体は配布ファイルに含まれていないため、別途自分で用意する必要があります。また、コア本体と実行用ファイルn64rt.sysは組み合わせて動作するため、必ず同じv0.7のZIPに含まれるものへ更新してください。

現時点の『MIRLO 64』は、あくまでも開発途中のプレリリース版です。すべてのNINTENDO64用ゲームが正常に動作するわけではなく、タイトルによっては起動しなかったり、音声やグラフィックに問題が発生したりする可能性があります。また、仮想Transfer Pakについても、ゲームごとの互換性が十分に確認されているわけではありません。

さらに、本コアはAnalogueや任天堂が提供する公式機能ではなく、有志の開発者による非公式プロジェクトです。

初版の公開からわずか3週間ほどですが、『MIRLO 64』はゲームの動作改善だけでなく、セーブステートやスリープ、仮想Transfer Pakといった実用的な機能も備えるようになりました。まだ完成版とはいえないものの、Analogue PocketでNINTENDO64のゲームを楽しむための環境が着実に進化していることがうかがえます。今後の互換性や動作の安定性の向上にも期待したいところです。

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