『AYANEO Pocket S』の予約が本日より開始!『AYA Space 3』は年末の『AYANEO 3』に搭載予定!?――「AYANEO新製品発表会」レポート

AYANEOと天空が共同で、5月30日にコモレ四谷でメディア向けの「AYANEO新製品発表会」を開催した。同発表会では、初来日したAYANEO社CEOのAuther Zhang氏が登壇。新製品である『AYANEO Pocket S』の発表や、同社のこれまでの歩みかこれからの展望などの説明も行われた。

●AYANEO Pocket S(アマゾンのリンク)

ちなみにAuther氏は小さい頃から日本のゲームとゲーム機が好きで、ファミコンやゲームボーイなども所有している。昨日は秋葉原にゲームを見に行ったそうだが、残念ながらハードはそれほど扱っていなかったので、その点は残念だったとゲーマーぷりをアピールしていた。

ということで、こちらの記事では今回行われた発表会の模様をレポートしていく。

▲AYANEO社CEO Auther Zhang氏。

真のゲーマーが設立した企業のAYANEO

AYANEOは。2020年に世界中のプレイヤーに最高のポータブルゲーミングデバイスを提供することをミッションに設立された企業だ。現在は、大きく分けてWindowsハンドヘルド、Androidハンドヘルド、ミニPCの3つの分野に注力している。

先ほども少しエピソードを紹介したが、CEOのAuther氏は自身を「真のゲーマーである」とアピールする。そうしたこともあってか、同社の事務所には様々なレトロゲームが揃えられている。

Auther氏は、AYANEOを設立する前に、デジタル製品と電磁気同社に関するふたつのメディアを経営するという実績を持つ。

AYANEOの理念は、Auther氏が身に付けているTシャツにも書かれているが、「真のゲーマーがゲーマーを知っている」だ。AYANEOは、このようにAuther氏の個人的な情熱で生まれた企業なのである。

AYANEOが提供する製品は通常と異なり、どちらかというとマニア向けだ。しかし、優れたプランドデザインを生み出す能力を持っており、様々な賞も受賞してきた。ハードウェアのみならず、そのデバイス上で動かすためのソフトウェアについても、多くのコストを投入している。このソフトウェアのエンジには10人以上いるという。

ちなみに、プロモーション用で公開している動画は、すべて自社で制作したものだ。また、深センにある本社では、サプライチェーンを統合する能力も持っている。これは日本ではかなりブラックな話だが、本社の社員はこの1年ほどんど休みがなかったと打ち明けていた。

『AYA Space 3』は年末発売のデバイスに搭載予定

AYANEOから最初に発売されたデバイスは、2021年3月だ。その後、翌年にはSteam Deckが、さらにその翌年にはROG Allyが後を追うように製品をリリースし、ゲーミングUMPCという新たな市場を切り開いていった感がある。こうした状況についてAuther氏は、ライバルはいずれも大手企業だがリスペクトしていると語る。

当初リリースしたデバイスには、『AYA Space』のような専用のソフトウェアは用意されていなかった。そこで、2021年に『AYA Space』の開発を開始している。現在『AYA Space』は、基本的な機能に加えて、様々なことが行えるようになっている。今後も製品に合わせた特別な機能などをリリースしていく。また、もう少し先の話になるが、今年の年末に発売される『AYANEO3』に『AYA Space 3』が搭載される予定である。

AYANEOでは、主要な製品をリリースするときに必ずマーケティングの一環としてクラウドファンディングのINDIEGOGOを利用している。過去に行ったクラファンもいい実績を残している。

今年の売上予測の半分はWindowsマシン

AYANEOの強みのひとつが、世界的なトップメーカーと直にやりとりをしているため、いち早く最新の技術を製品に投入することができるところだ。独創的なデザインのデバイスも同社の特徴だが、Auther氏のスマホには毎日新しいデバイスの画像が送られてくるため、それを見ているという。

同社とAMDは昔から良好な関係を持っている。そうしたこともあり、最新のチップを搭載したWindowsデバイスも今後リリースされる予定だ。また、今年はQualcommとの協力し、このイベントでも発表された『AYANEO Pocket S』をリリースする。

AYANEO製品は、Wkindowsハンドヘルド機とAndroidハンドヘルド機、ミニPCに加えてゲーマー向けのアクセサリーを含む4つのラインで製品を提供している。AYANEOは新製品が多すぎると思われがちだが、これは同社の開発能力の表れであるとAuther氏はいう。ちなみに、今年の製品売上高予測は半分がWindowsハンドヘルドだ。それに続き、Androidのデバイスも多数登場する予定である。

売上げの比率では、中国国内は全体の34パーセント程度で、残りはグローバルである。そのうち15パーセントは日本市場だ。Auther氏はマルチビザを作るほど、日本市場を重要視ししている。昨年9月には「東京ゲームショウ2023」に出展するなど、世界中でプロモーション活動にも力を入れている。

Auther氏は最後に「本物のゲーマーはゲーマーを知る」という会社の理念を元に、今後も製品をリリースしていきたいと締めくくった。

Snapdragon G3x Gen 2を搭載したAndroidマシン『AYANEO Pocket S』

続いて天空の代表取締役の山田拓郎氏より、今回の発表会のメインでもある新製品『AYANEO Pocket S』の紹介が行われた。

▲天空 代表取締役 山田拓郎氏。

AYANEOが始まったのは2020年で、ちょうどコロナ渦の時期と重なっていた。そうした中で、ゲーマーの意見を取り入れながら新製品がリリースされてきている。最初に発売された『AYANEO 2021』は、プロトタイプから型を作り直して操作性を大幅に改善。さらにソフトウェアが必要ということで、『Aya Space』を搭載した形でリリースされている。山田氏は、「これが『ROG Ally』の原型になったことは間違いない」と断言する。

そこから、ホールスティックジョイスティックを採用した『AYANEO NEXT』を2022年に発売。同じ年にOLEDディスプレイを採用した『AYANEO AIR』と全面フロントガラスの『AYANEO 2』を発売している。

2023年には『AYANEO AIR Plus』、『AYANEO 2S』、『AYANEO AIR 1S』、『AYANEO KUN』をリリース。今年に入ってからも、『AYANEO SLIDE』や『AYANEO FLIP DS』を発表している。

このように、WIndowsハンドヘルドに関しては、AYANEOが他社に先駆けてリリースしているものが多いことがわかる。そして、今回発表されたのが『AYANEO Pocket S』だ。

『AYANEO Pocket S』はAndroid端末ではあるが、LTEは内蔵されておらずWi-Fi専用となっている。そもそも、スマとしても使われているAndroidのゲーミングデバイスは必要なのか? という疑問もあるかもしれない。最近は『原神』など高品質なタイトルも増えてきたが、スマホで遊んでいると通知が届いて邪魔に感じることがある。

そこで、スマホの機能をすべてゲームに注ぎ込むことができるのが、専用デバイスの魅力だと山田氏はいう。また、どうしても本体が高熱になりがちだが、冷却ファンが内蔵されているところもポイントだ。

Windowsハンドヘルドとの違いという意味では、バッテリーが長持ちなところである。Windowsマシンではせいぜい2~3時間がいいところだが、『AYANEO Pocket S』の場合は最高8時間ぐらい遊ぶことができる。

『AYANEO Pocket S』に採用されているSoCは、Snapdragon G3x Gen 2は、Snapdragon 8 Gen 2を、よりゲームに特化されたものだ。少しクロックスも上がっており、ベンチマーク上でも少し上回る性能を持っている。

もちろんSoCだけではなく、高周波メモリや高速フラッシュストレージなど、全体的なパフォーマンスに影響する部分も手抜かりなく作り込まれている。

『AYANEO Pocket S』のユニークな機能に、側面に「ターボキー」と呼ばれるボタンが用意されていることだ。こちらで、ゲームのシーンに合わせて3つのモードを切り替えることができる。

「フルスロットルモード」は、最大18Wのパフォーマンスを最大限に出すためのモードだ。「ゲーミングモード」は、スマホゲームやレトロゲームなどを遊ぶときに、バッテリーの寿命とパフォーマンスのバランスが取れた使い方ができるモードである。「バランスモード」は、レトロゲームやインディゲームなど、比較的動作が軽いゲームでより長く遊びたいときにモードだ。

固化的な冷却を実現するために、5180mm2VCヒートスプレッサーや7053mm2ヒートフィン、大型アクティブ冷却システムが採用されており、非常に静かに動作させることができる。なによりも、本体が薄さ14mm、重量350gと、超軽量でスリムなところも魅力である。

ボディはCNCアルミニウム合金ミッドフレームを採用。美しさだけではなく、丈夫で耐久性のあるボディに仕上げられている。

カラーはシンプルな「アイスソウルホワイト」と「オブシディアンブラック」の2色で展開される。ボタンにはクリスタル透明ボタンが採用。こちらは二色射出成形プロセスで一体型成型になっており、文字が消えてしまったり色褪せてしまったりといった心配も不要だ。

クラファンで人気が高かったのはレトロゲームのプレイに最適な6インチ1440PボーダレスIPSミラースクリーンのモデル

ディスプレイは2種類のモデルが用意されている。クラウドファンディングで最も売れたのが、6インチ1440PボーダレスIPSミラースクリーンのモデルだ。こちらは、解像度的にレトロゲームで一般的に採用されていた240Pのちょうど6倍となっており、ドットバイドットで表示できるところが魅力だ。

もうひとつは、6インチ1080P IPS True Colorスクリーンバージョンで、一般的なスマホゲームなどを遊ぶのに適したモデルである。

Andoridのゲームを遊ぶときは、ジョイスティックに対応している場合はそのまま遊ぶことが可能だ。たとえジョイスティックに対応していない場合でも、画面上のボタンを押す場所をキーに割り当てることができる「マッピング機能」が採用されている。

たとえばAndroid版の『原神』はなぜかコントローラーに対応していないが、そうした場合でも「マッピング機能」を利用すればキーボードで問題なく遊べるようになるといった感じだ。

▲マッピング機能で、ボタンもコントローラーに割り当て可能。普段は見えなくできるほか、押しっぱなししたり、感度の調整も行える。

こだわりのトリプル振動を初サポート

本機のかなりこだわってる部分のひとつが、振動モードが3種類搭載されているところだ。ひとつは「SoundTAPMagicサウンド機能」だ。こちらは、レトロゲームなどでなっている音を解析し、自動的に振動を加えるというものである。それに加えて、通常のXinputの振動や本体振動なども用意されている。

ネットワークはWi-Fi7とBluetooth5.3に対応。USB Type-Cは、DP Altモードを含むフル機能になっているため、ディスプレイに接続して映像出力することも可能だ。

本体と同時発売で、人間工学に基づいた一体型保護ケースも発売される。こちらは快適な着け心地を実現しており、これだけあればケースなど不要で安心して持ち歩くことができる。

『AYANEO Pocket S』の先行キャンペーンが、5月30日から6月13日9時59分まで開催中だ。こちらは、世紀の値段よりも1万円弱値引きされて購入することができる。また、予約購入特典として、液晶保護フィルムもプレゼントされる。

●AYANEO Pocket S(アマゾンのリンク)

今回の発表会の内容とは直接関係ないが、先日発表されたばかりの『AYANEO POCKET MICRO』の実機を、Auther氏がチラ見せするという場面もあった。こちらもかなりコンパクトで期待が持てそうだ。

▲ゲームボーイミクロ風の『AYANEO POCKET MICRO』もチラリと披露。
▲実際に会場に置かれていた実機を触って見たが、たしかにこれならほしくなってしまうかもしれないと思わせる魅力があった。
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高島おしゃむ
ライター/編集者。コンピューターホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。 現在はゲームやホビー、IT、XR系のメディアを中心に、イベント取材やインタビュー、レビュー、コラム記事などを執筆しています。