レトロゲームを最新の4Kテレビで遊びながら、昔のブラウン管テレビで見ていたような映像を楽しむことができるようになりそうです。
Pixel FXは、レトロゲーム向け4Kアップスケーラー『Morph 4K』の新ファームウェア「v4」をベータ版として公開しました。海外メディアのRetroRGBが10月22日に報じたもので、今回は映像処理の仕組みそのものが大幅に刷新されています。
特に注目したいのが、ブラウン管テレビの映像を再現する「Retro FX」の強化です。単純にスキャンラインを表示するだけではなく、ゲーム機から出力される映像信号がケーブルを通り、テレビの内部で処理されて画面に映し出されるまでの仕組みを再現することを目指しています。
●Pixel FX公式:Morph 4K Firmware v4: Simulating the Physics of Retro Video
https://www.pixelfx.co/post/morph-4k-firmware-v4-simulating-the-physics-of-retro-video
●『Morph 4K』公式製品ページ
https://www.pixelfx.co/morph4k
鮮明なHDMI映像を、あえて昔のコンポジット映像風に!
そもそも『Morph 4K』は、レトロゲーム機などから出力される低解像度の映像を、最大4K解像度にアップスケーリングするための機器です。標準ではHDMI入力に対応しており、別売りの拡張モジュール「Analog Bridge」を組み合わせることで、RGBやコンポジットなどのアナログ映像も入力できるようになります。
今回のv4で面白いのが、新たに追加された「Analog Path Simulation(APS)」です。これは、昔のゲーム機から出力された映像信号が、コンポジットケーブルやRF接続を経由してテレビに表示されるまでの過程を再現する機能です。
たとえば、HDMIやRGBから入力した鮮明な映像に対して、あえてコンポジット接続特有の色のにじみや、細かな模様が混ざり合うような表現を加えることができます。RF接続で見られたノイズやゴーストなども再現できるようになっています。
昔のゲームでは、細かなドットを交互に配置することで、コンポジット接続時に色が混ざり合って見える性質を利用した表現も使われていました。Pixel FXの公式ブログでは、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』の滝の表現などを例に、RGB、コンポジット、RFそれぞれの映像の違いが紹介されています。
単に映像をぼかすのではなく、ゲーム機側の映像信号の生成方法や、テレビ側で行われる信号処理までシミュレーションしているところが、今回の大きな特徴です。

画面の曲がり方や発光、ブラウン管特有のクセまで再現
ブラウン管テレビらしい映像を再現するための機能も、大幅に強化されています。たとえば「Curvature」では、ブラウン管特有の画面の湾曲を再現。単純に映像全体を曲げるのではなく、スキャンラインも画面の曲面に沿って描画される仕組みになっています。
また、映像の明るさに応じてスキャンラインの太さが変化する「Dynamic Scanlines」や、ブラウン管内部の蛍光体が発光する際の光の広がりを再現する「Phosphor Glow」なども用意されています。

さらにユニークなのが「Tube Sag」です。昔のブラウン管テレビでは、画面が急に明るくなると、内部の電圧変化によって映像がわずかに膨らむことがありました。この機能では、そうしたブラウン管特有の挙動まで再現しています。
このほかにも、画面の周辺部で赤・緑・青の表示位置が微妙にずれる現象や、ブラウン管の蛍光体の配列、テレビの外枠への光の反射など、細かな部分まで調整できるようになっています。新たに搭載された仮想ブラウン管「PDM-20」では、こうした機能を組み合わせ、20インチのブラウン管テレビを模した映像を楽しめます。

縦画面ゲームへの対応やスムージング機能も強化
今回のアップデートでは、CRTの再現機能以外にもさまざまな改良が加えられています。
そのひとつが、映像を90度回転させる機能です。縦画面のアーケードゲームやTATEモードに対応したゲームを、テレビの向きに合わせて表示できるようになりました。対応するMiSTerのコアでは、ゲームに合わせて自動的に表示方向を切り替える「Auto Rotation」も利用できます。
また、インターレース映像をプログレッシブ映像に変換する処理も刷新されています。動きのある部分の輪郭を滑らかにする「Edge Smoothing」に加えて、映画や一部の30fpsゲームで使われる映像の規則性を検出し、元のフレームを復元する「Film(Auto)」モードも追加されました。
映像の拡大処理については、新たに「Super-xBR」に対応。主に480p以上の映像や初期の3Dゲームなどで、輪郭のギザギザを滑らかにすることを狙った機能です。
なお、v4では用途に応じて映像処理の仕組みを切り替える「Processing Engine」も導入されています。CRT再現やスムージングなどの機能は、選択したエンジンによって利用できるものが異なります。
現在はベータ版! 導入時には注意も必要
今回公開されたv4は、現時点では正式な安定版ではなく、ベータ版として提供されています。Pixel FXの公式導入ガイドによると、『Morph 4K』のファームウェア更新チャンネルを「Beta」に設定し、アップデートを確認することで導入できます。
更新チャンネルなどの設定は「System → Firmware」から確認できます。なお、v4では映像処理用の「Processing Engine」をSDカードに保存する仕組みが採用されているため、アップデート時にはSDカードを本体に挿入しておく必要があります。
従来のプリセットはSDカードに残りますが、映像設定はv4の初期値から始まるほか、プリセットの自動読み込みも初期状態では無効になります。また、公式ガイドでは、まれにHDMI出力に赤い点が表示されて音声が途切れる問題や、一部のMiSTerコアで映像に乱れが発生する問題なども報告されています。
現時点ではテスト段階のため、安定した動作を重視する場合は、正式版の公開を待つ方がよさそうです。
『Morph 2K』や『RetroGEM』にも今後展開予定
Pixel FXによると、今回刷新されたv4の仕組みは、今後『Morph 2K』や『RetroGEM』にも展開していく計画です。
ただし、現時点でv4が公開されているのは『Morph 4K』向けのみです。また、ほかの製品については、まず既存機能を新しいフレームワークに移行し、その後ハードウェアの余力に応じて機能を追加していく方針が示されています。
正式版の公開時期についても、現時点では具体的な日程は明らかになっていません。
近年は『Analogue 3D』や『M64』などでもCRTフィルターが注目されていますが、今回の『Morph 4K』は、映像信号の処理からブラウン管の発光や形状まで再現しようとしているところが興味深いポイントです。
昔のゲームを単純に高画質化するだけではなく、当時のテレビで見ていた映像を最新のディスプレイ上でどこまで再現できるのか。正式版の公開とともに、実際の映像がどのように変化するのかにも注目したいところです。
via.RetroRGB


















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