iPhoneでWindows PCゲームを動かす「Madeira 0.1.2」公開。iOS 26でD3D9/D3D11ゲームが再び起動可能に

iPhoneでWindows PCゲームを動かす「Madeira 0.1.2」公開。iOS 26でD3D9/D3D11ゲームが再び起動可能に

脱獄していないiPhone上でWindows PCゲームを動かすことを目指した研究プロジェクト「Madeira」の最新版となる「Madeira 0.1.2」が、2026年10月3日に公開されました。

今回のアップデートでは、iOS 26環境でDirect3D 9およびDirect3D 11を使用するゲームが起動できなくなっていた問題が修正されています。Madeira 0.1.0と0.1.1に影響していた不具合で、該当するバージョンを利用している場合は重要なアップデートとなっています。

●Madeira Releases(GitHub)
https://github.com/willfaust/Madeira/releases

脱獄不要でWindows PCゲームを動かす「Madeira」

Madeiraは、x86/x86-64向けに作られたWindows PCゲームをiPhone上で実行することを目的としたプロジェクトです。

一般的なiOS向けゲームアプリとは異なり、Windows用として作られたゲームを動作させるため、複数の技術を組み合わせています。

CPU命令の変換には「FEX-Emu」、Windows API環境には「Wine」、Direct3D 9~11の描画処理には「DXMT」などが利用されています。FEX-Emuでx86/x86-64向けのコードをARM64向けに変換しながら実行し、Wineを通してWindows向けのソフトウェアを動作させる仕組みです。

また、Direct3Dによる描画についてはMetalへ変換することで、Apple製デバイスのGPUを利用しています。MadeiraではDirect3D 12にも独自のMetal向け実装が用意されています。

さらにSteamクライアントにも対応しており、Steamへサインインして所有しているゲームをインストールし、起動する仕組みも実装されています。

iOS 26でD3D9/D3D11ゲームが起動できない問題を修正

Madeira 0.1.2で修正されたのは、グラフィックス処理に使用されている内部シェーダーライブラリに関する問題です。

Madeira 0.1.0および0.1.1では、このライブラリがMetal 4.1向けとしてコンパイルされていました。しかしMetal 4.1はiOS 27でサポートされるバージョンであるため、iOS 26ではライブラリを読み込むことができませんでした。

その結果、iOS 26では64bitのDirect3D 11ゲームに加え、32bitのDirect3D 9およびDirect3D 11ゲームが起動時に失敗する状態になっていました。

Madeira 0.1.2では、内部シェーダーライブラリのターゲットをMetal 3.1へ変更。これにより、MadeiraがサポートするiOS 26環境でもDirect3D 9/Direct3D 11ゲームを再び起動できるよう修正されています。

わずか3日間で0.1.0から0.1.2まで更新

Madeiraは現在、かなり速いペースで開発が進められています。

最初の0.1.0は10月1日に公開され、その翌日の10月2日には0.1.1、さらに10月3日には今回の0.1.2が公開されています。

0.1.1では、無料Apple IDを利用してサイドロードした環境でゲームが起動しない問題なども修正されました。

無料Apple IDで署名した環境では利用できるアドレス空間が小さくなりますが、その環境でMadeiraのJIT用メモリー設定が失敗し、ゲームを起動できない問題が発生していました。このほかにも32bit/64bitゲームの読み込みや、「AppData\LocalLow」フォルダーを使用するゲームへの対応など、複数の改善が行われています。

App Storeからインストールすることはできない

ただし、Madeiraは通常のiPhoneアプリのようにApp Storeからインストールできるわけではありません。

最新版ではiOS 26以降が必要で、IPAファイルをSideStoreやAltStore、Sideloadlyなどを利用して、自分のApple IDでサイドロードする必要があります。

また、ゲームを実行するにはJIT(Just-In-Time compilation)を有効にする必要があります。Madeiraでは「StikDebug」を利用してJITを有効化する仕組みが採用されています。JITを利用するにはデバッガーの接続が必要になることから、現在の仕組みではApp Storeで配布することはできないと説明されています。

無料のApple IDでも利用できますが、署名の有効期限は7日間となるため、定期的にアプリを更新する必要があります。再インストールを行っても、ゲームやセーブデータなどは保持される仕組みになっています。

まだ研究段階のプロジェクト

iPhoneだけでWindows PCゲームが動作するという点は非常に興味深いところですが、Madeiraは現在も研究段階のプロジェクトです。

開発者側も、すべてのWindowsゲームが正常に動作するわけではなく、ゲームによって互換性やパフォーマンスに大きな差があると説明しています。一部のタイトルはプレイ可能な状態まで到達している一方で、低いフレームレートでしか動かないものや、正常に起動できないものもあります。

また、Windowsゲームで利用されるMicrosoft Visual C++ランタイムのDLLもMadeiraには同梱されていないため、タイトルによっては追加の準備が必要になります。

それでも、脱獄していないiPhone上でWindows用PCゲームを直接実行するという試みはかなりユニークです。今後、対応ゲームやパフォーマンスがどこまで改善されていくのか、注目しておきたいプロジェクトといえそうです。


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