なんとも意外な組み合わせが実現しました。初代Xboxエミュレーター「xemu」をPlayStation 5向けに移植した「XPSemu」のAlpha 1が一般公開されています。
今回公開されたAlpha 1は、XPSemuとして初めて一般ユーザーが利用できるパブリックビルドです。すでに『Halo 2』や『Forza Motorsport』『Fable: The Lost Chapters』などをPS5実機上で動作させたテスト結果も公開されています。
なお、Xbox用ゲームがPS5上で直接ネイティブ動作するようになったわけではありません。XPSemu自体がPS5向けのネイティブアプリとして動作し、その上で初代Xboxをエミュレーションする仕組みです。
●XPSemu公式GitHub
https://github.com/ZiZc3/XPSemu
初代Xboxエミュレーター「xemu」をPS5に移植
XPSemuは、WindowsやmacOS、Linuxなどで利用されているオープンソースの初代Xboxエミュレーター「xemu」を、PS5向けに移植したプロジェクトです。
単純なlibretroコアやラッパーではなく、XboxのCPUをQEMUのTCG JIT、NV2A GPUをxemuのVulkanレンダラーで処理するなど、エミュレーター全体がPS5アプリとして動作する構成になっています。グラフィックスには、PS5上で動作するオープンソースのVulkanドライバー「RADV」が利用されています。
さらにPS5向け独自機能として、DualSenseで操作しやすいXbox風ダッシュボードも搭載されています。ゲームごとの設定やカバーアート、最近遊んだゲーム、プレイ時間、ゲームパッチ、パフォーマンス表示などにも対応しています。
『Halo 2』は標準設定で30fps動作
Alpha 1では、開発者自身によるPS5実機での動作テスト結果も公開されています。
なかでも『Halo 2』は「Good」と評価されており、標準状態では30fpsで動作します。60fps化パッチを使用した場合は、オープニングで51~60fps、実際のゲームプレイでは36~50fpsという結果が報告されています。
『Crash Bandicoot: The Wrath of Cortex』については「Great」と評価され、スムーズに動作するとされています。
一方、『Forza Motorsport』はメニューやイントロでは上限の30fpsで動作するものの、レース中は15~21fps程度まで低下します。『Fable: The Lost Chapters』も多くの場面で22~30fpsとなっていますが、負荷の高い場所では10~20fpsまで低下するとされています。
現時点ではGPUよりCPU側がボトルネックになっているようで、開発者によるとXbox CPUを処理するスレッドの使用率は85~97パーセントに達する一方、PS5のGPUには比較的余裕があるとのことです。そのため内部解像度を上げても、ゲームによってはフレームレートへの影響が小さいとされています。
内部解像度は最大4倍まで設定可能
XPSemuではゲームごとに内部解像度を設定することができ、1倍の480pから最大4倍まで変更できます。
そのほか、4:3や16:9といった画面比率、スムージング、音量、パフォーマンスオーバーレイなどをゲームごとに設定できます。Xbox本体側のワイドスクリーンや480p、720p、1080iといったビデオ設定もエミュレーター上から切り替えられます。
また、Jay’s Magic Patch形式のゲームパッチにも対応しています。ISOそのものを書き換えるのではなく、ゲーム読み込み時にメモリー上で適用する仕組みです。
ただし、すべてのパッチ機能が利用できるわけではありません。現時点では追加コードを実行ファイルに付加するタイプのパッチなどには未対応です。
利用には脱獄済みPS5が必要
当然ながら、通常の市販状態のPS5にXPSemuをインストールして利用できるわけではありません。
XPSemuを動作させるにはHomebrewアプリを実行可能な脱獄済みPS5が必要になるほか、XPSemu Toolsやkstuffなどの環境も必要です。公式READMEでは、ShadowMountPlusなどを利用してアプリをインストールまたはマウントする方法が紹介されています。
さらに、初代XboxのMCPX boot ROMやBIOS、HDDイメージもユーザー側で用意する必要があります。ゲームについてもXISO形式のイメージを利用する仕組みで、これらのXbox由来のファイルやゲームデータはXPSemuには一切含まれていません。
開発者は、BIOSやROM、ゲームなどについて、自分で所有している機器やソフトから適法にダンプしたものを利用するよう明記しています。
まだAlpha 1。セーブステートなどは未実装
今回のAlpha 1は、あくまでも開発初期段階のバージョンです。
ゲームによって動作速度に大きな違いがあるほか、Xboxのメモリーは現在64MBに固定されており、128MBのデバッグキットモードには対応していません。また、セーブステートやセーブデータ管理機能も現時点では実装されておらず、ゲームのセーブは実機Xboxと同じようにHDDイメージへ保存されます。
それでも、PS5上で初代Xboxエミュレーターが実際にゲームを起動できるところまで到達し、さらに一般公開ビルドが登場したことは興味深い動きです。
とくに『Halo 2』が標準設定で30fps動作していることや、PS5のGPUにはまだ余力が残されているという点を見ると、今後のCPU側の最適化によってどこまでパフォーマンスが改善されていくのかにも注目したいところです。















ダンジョンズ&ドラゴンズ ビジュアル大全 半世紀を超えるその歴史とアート









ゲームコンソール2.0