RetroTINK LLCは2026年10月2日、『RetroTINK-4K Pro』『RetroTINK-4K CE』『RetroTINK-6X CE』向けの実験版ファームウェア「Experimental Firmware Version 1.93.0」と「Version 1.93.1」を公開しました。
今回の大きな変更点は、9月30日に追加されたばかりの「True VRR」とBFI(Black Frame Insertion/黒挿入)が同時に利用できるようになったことです。さらにVRRの互換性改善や、対応するディスプレイでALLMを自動的に有効化する機能も追加されています。
なお、今回公開されたものは正式版ではなく、あくまでもExperimental Firmware(実験版)です。公式でも正常な動作は保証されておらず、機能が開発途中である可能性があると注意喚起されています。
●RetroTINK-4K / 6X Experimental Firmware
https://retrotink-llc.github.io/firmware/4k-experimental.html
1.92で追加された「True VRR」がわずか2日で進化
今回のアップデートを理解するうえでポイントになるのが、直前のVersion 1.92.0です。
9月30日に公開されたVersion 1.92.0では、『RetroTINK-4K Pro』『RetroTINK-4K CE』『RetroTINK-6X CE』に「True VRR」が追加されました。
VRRはVariable Refresh Rateの略で、ディスプレイ側のリフレッシュレートを映像信号に合わせて変化させる仕組みです。Version 1.92.0ではHDMI OutputメニューからFreeSyncまたはVESAを選択することでTrue VRRを利用できるようになりました。
公式ではTrue VRRについて、低遅延を維持しながら解像度変更時の乱れを抑え、安定したクロックを実現するものと説明しています。また、VRRに対応していないディスプレイでは自動的に従来のVRRフラグを利用した動作へフォールバックする仕組みも用意されています。
ただし、Version 1.92.0の段階ではひとつ大きな制限がありました。それがBFIとの併用です。
公式の変更履歴でも「Currently does not support BFI」と明記されており、True VRRを利用している状態ではBFIを利用できませんでした。
Version 1.93.0でTrue VRRとBFIの同時利用に対応
その制限が、わずか2日後の10月2日に公開されたVersion 1.93.0で解消されました。
Version 1.93.0ではTrue VRRがBFIに対応し、Gen Lock利用時と同様に両方の機能を組み合わせられるようになっています。あわせてVRRの互換性についても改善が行われました。
BFIは、フレーム間に黒い映像を挿入することで液晶や有機ELディスプレイなどで発生する残像感を軽減し、CRTに近い動きの見え方を狙う機能です。
『RetroTINK-6X CE』でも、可変MPRTによるBFIは製品の特徴のひとつとして搭載されています。True VRRとBFIを同時に利用できるようになったことで、VRRによる映像出力の追従性と、BFIによる動画の見やすさを組み合わせられるようになった形です。
もちろん実際の効果や動作については、接続しているテレビやモニター側のVRR対応状況などにも左右されます。すべてのディスプレイで同じように利用できるとは限らない点には注意が必要です。
1.93.1ではTrue VRRをさらに調整。ALLMも自動有効化
同じ10月2日には、続けてVersion 1.93.1も公開されています。
Version 1.93.1ではTrue VRR生成処理について、さらに調整が行われました。
また、新たにディスプレイ側が対応していることを通知した場合、ALLM(Auto Low Latency Mode)が自動的に有効化されるようになっています。
ALLMは、対応するテレビやモニターに対して低遅延モードの利用を自動的に促すための仕組みです。対応機器との組み合わせでは、ゲーム用にテレビ側の設定を切り替える手間を減らせる可能性があります。
ただし、こちらもテレビやモニター側がALLMに対応し、その対応情報を正しく通知していることが前提となります。接続する機器によって動作が異なる可能性があるため、導入後は実際の表示設定などを確認したほうがよさそうです。
1.92と1.93の違いを整理
今回の一連のアップデートをまとめると、Version 1.92.0でTrue VRRそのものが初めて追加され、Version 1.93系列ではその機能をさらに実用的にする改良が行われたことになります。
Version 1.92.0では『RetroTINK-4K Pro』『RetroTINK-4K CE』『RetroTINK-6X CE』でTrue VRRが利用可能になった一方、BFIとの同時利用には対応していませんでした。
その後のVersion 1.93.0ではTrue VRRとBFIの併用が可能になり、VRRの互換性も改善。そしてVersion 1.93.1ではTrue VRR生成処理のさらなる調整と、対応ディスプレイでのALLM自動有効化が追加されています。
特に1.92.0から1.93.0まではわずか2日しか空いておらず、True VRRの実装直後から機能の拡張と調整が進められていることがわかります。
『RetroTINK-4K』だけではなく『6X CE』も対象
今回のTrue VRR関連機能は、『RetroTINK-4K Pro』だけではなく『RetroTINK-4K CE』と『RetroTINK-6X CE』も対象になっています。
『RetroTINK-6X CE』は、同じ映像処理フレームワークを採用しながら最大2560×1440p出力に対応したアナログ入力中心のビデオプロセッサーです。HDR10やCRTシミュレーション、BFIなどにも対応しています。
本サイトでは以前、2026年8月28日に公開されたExperimental Firmware Version 1.77.0について紹介しました。このアップデートで『RetroTINK-6X CE』用のFPGAイメージが追加され、同機種が『RetroTINK-4K』シリーズと共通する実験版ファームウェアの更新対象に加わっています。
導入する場合はExperimental版であることに注意
True VRRの追加からわずか2日でBFIとの併用まで可能になるなど、『RetroTINK-4K/6X』向けファームウェアはかなり速いペースで機能改善が進められています。
特に今回のVersion 1.93系列は、単にTrue VRRを追加するだけではなく、BFIとの組み合わせやディスプレイとの互換性、ALLMとの連携まで踏み込んだアップデートとなっています。
一方で、配布されているのはあくまでも実験版ファームウェアです。公式サイトでも正常動作は保証されておらず、開発途中の機能が含まれる可能性があるとされています。
安定性を重視する場合は無理に更新せず、利用しているテレビやモニターとの互換性情報なども確認したうえで導入を判断したほうがよさそうです。















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