H700携帯機でゲームキューブ/Wiiを動かす「Dolphin Rt v11.5.00」公開。muOS向け設定・管理を強化

H700携帯機でゲームキューブ/Wiiを動かす「Dolphin Rt v11.5.00」公開。muOS向け設定・管理を強化

Allwinner H700を搭載した携帯ゲーム機向けに、ゲームキューブ/Wiiエミュレーター「Dolphin」の動作環境を調整した「Dolphin Rt v11.5.00」が公開されました。対応OSは、AnbernicのRG35XXシリーズなどでも利用されているカスタムファームウェア「muOS」です。

今回のv11.5.00は、単純にDolphinのバージョンを更新したものではありません。開発者によると、従来のコアをベースにしたアップデートではなく、muOS上でDolphinを起動・設定・管理するための仕組みを全面的に書き直したものとなっています。

●GitHub Release
https://github.com/SilverCrow2323/Dolphin-Core-for-MuOS/releases/tag/v11.5.00

H700でゲームキューブ/Wiiを動かすためのDolphin環境

Allwinner H700は、RG35XX HやRG40XX H、RG CubeXXなど比較的手頃な携帯エミュレーター機で採用されているSoCです。一方でゲームキューブやWiiのエミュレーションは負荷が高く、本来H700にとって余裕のある処理とはいえません。

Dolphin Rtは、そうしたH700搭載機で少しでもゲームキューブ/Wiiタイトルを動かしやすくするために、Dolphinの設定やタイトルごとの調整、muOSとの連携部分をまとめたプロジェクトです。

v11.5.00ではCPUやグラフィックまわりの設定に加えて、ゲームごとに適したプロファイルを割り当てられる仕組みなどが用意されています。ただし、ゲームキューブ/Wiiの全タイトルが実用的な速度で動作するという意味ではありません。

手軽に使える「Comfort Zone」

v11.5.00では、基本となる構成として「Flavour I: Comfort Zone」が用意されています。

Comfort Zoneが重視しているのは、細かな設定画面を操作するのではなく、muOSのContent Explorerからプロファイルを割り当て、そのままゲームを起動する「assign and play」というスタイルです。

また、従来環境で問題となっていたゲーム終了時の操作も改善されており、START+SELECTでDolphinを終了してmuOSに戻れるホットキーが追加されています。

さらに、ゲームごとの設定やBloom/Depth of Field関連の調整なども組み込まれており、H700という限られた性能の中で動作を改善するための工夫が盛り込まれています。

上級者向けの「Bash Arsenal」も登場

9月30日には、Comfort Zoneよりも細かな管理や調整が行える「Flavour II: Bash Arsenal」も公開されました。

Bash Arsenalでは、rtboost、rtprime、rtpureといったプロファイルについてLite/Standard/Maxの3段階から設定を選択可能。単純に設定値を自由に変更するのではなく、あらかじめ検証された複数の構成から選ぶ仕組みになっています。

このほか、muOSのTask Toolkitから利用できる管理機能も大幅に追加されています。

・Lite/Standard/Maxのプロファイル切り替え
・7カテゴリー、30本以上の管理スクリプト
・FPSやVPSなどの表示切り替え
・MOD ScannerによるMOD管理
・ゲームキューブ/Wiiのセーブデータ管理
・設定やログの確認
・端末上で確認できる13ページの技術マニュアル

といった機能がまとめられており、ゲームごとに設定を追い込みたいユーザー向けの構成といえそうです。

現在のGitHub Releaseでは、Dolphin本体を含んだ「Full Standalone」版と、すでにComfort Zone v11.5.00を導入している環境へBash Arsenalの機能を追加する「Expansion Patch」版の2種類が公開されています。

そのため、新規環境ではFull Standalone版から導入することも可能です。一方、Expansion Patch版を利用する場合は、先にComfort Zone v11.5.00を導入しておく必要があります。

H700の性能限界には注意

かなり作り込まれた環境ではあるものの、H700自体のCPU/GPU性能が向上するわけではない点には注意が必要です。

開発者自身も、H700は本来Dolphinを快適に動かすためのハードウェアではなく、本プロジェクトを技術的な試みとして位置付けています。タイトルによって動作状況には大きな差があり、軽いタイトルと負荷の高い3Dタイトルではフレームレートにもかなりの違いがあります。

公式の互換性データベースでは、実際にH700搭載機でテストしたゲームについて、起動状況やフレームレート、推奨プロファイル、既知の問題などを確認できるようになっています。

Dolphin Rtを試す場合は、「H700ならゲームキューブ/Wiiがすべて快適に遊べる」と考えるのではなく、プレイしたいタイトルがどの程度動くのか、あらかじめ互換性情報を確認しておくのがよさそうです。

低価格帯の携帯ゲーム機でゲームキューブ/Wiiという、本来かなり厳しい組み合わせをどこまで実用レベルに近付けられるのか。H700搭載機を持っている人にとっては、今後の改善も含めて気になるプロジェクトとなりそうです。

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