セルフホスト型のROM管理・ブラウザープレイ環境「RomM」の最新正式版となる「5.3.0」が公開されました。GitHub Releasesでは「21 Sep 15:07」と表示されており、現在は「Latest」のリリースとして配布されています。タイムゾーンについてはページ上で明示されていないため、日本時間への換算は控えています。
当サイトでは9月20日に、開発版となる「RomM 5.3.0-beta.1」を紹介したばかりです。そちらでは、通信エラーなどでサーバーへ送信できなかったセーブデータやセーブステートをブラウザー側に保持し、あとから再送する仕組みを中心に取り上げました。今回のポイントは新たな大型機能がひとつ追加されたというよりも、alphaやbetaとして開発が続けられてきた5.3.0系列が、いよいよ正式版としてリリースされたことにあります。
●RomM 5.3.0 — GitHub Releases
https://github.com/rommapp/romm/releases/tag/5.3.0
ROMがなくても所持している物理ゲームをライブラリーに登録
RomM 5.3.0系列では、ゲームの管理機能そのものが大きく拡張されています。そのひとつが、ROMデータを持っていない物理カートリッジやディスクもライブラリーに登録できる機能です。
ゲームタイトルを入力するほか、カメラを使ってパッケージのバーコードを読み取ることでゲームを検索し、通常のROMと同じようにメタデータ付きでライブラリーへ追加できます。デジタル化したROMだけではなく、実際に所有しているゲームソフトの管理にもRomMを利用できるようになった形です。
さらに、ゲームごとにウォークスルーを登録する機能も追加されています。自分で用意した攻略情報をアップロードできるほか、GameFAQsのURLを指定してテキストとして取得することも可能です。ユーザーごとに読み進めた位置を記録し、進行状況を表示する機能も用意されています。
多数のゲーム機からTitle IDを直接取得
ゲームの識別機能も強化されました。PSX、PS2、PS3、PSP、PS Vita、Nintendo Switch、ニンテンドー3DS、Wii、Wii U、ゲームキューブ、ドリームキャスト、Xbox、Xbox 360などでは、ゲームデータからネイティブのTitle IDを直接取得できるようになっています。
これにより、ファイル名を変更したりファイルを移動したりした場合でもゲームを識別しやすくなり、セーブデータやコレクションとの関連付けにも活用されます。ROMのファイル名だけに依存しないライブラリー管理へと強化されたのも、5.3.0系列の大きな変更点です。
Windows 3.x/9xやPICO-8もブラウザーからプレイ可能に
ブラウザープレイについても対応範囲が広がっています。Windows 3.x/9x向けゲームは「js-dos」とDOSBox-Xバックエンドを利用して起動できるようになったほか、PICO-8の「.p8」「.p8.png」形式のカートリッジもFAKE-08経由でプレイできます。
なお、Windows 3.x/9x向けjs-dos環境で作成したセーブデータはブラウザー内に保存され、RomMサーバー側には同期されない仕様です。PICO-8ではキーボードやマウスに加えて、ゲームパッドやタッチ入力にも対応しています。
EmulatorJSを利用したブラウザープレイでは、ゲーム内セーブをサーバーへ自動同期する仕組みも5.3.0系列で導入されています。セーブが作成されると数秒後にサーバーへ送信され、バージョン履歴や保存時のスクリーンショットも管理できます。前回紹介したbeta.1では、ここからさらに通信失敗時のデータをブラウザー側へ保持して再送する仕組みが追加されていました。
ストリーミングやマルチディスクゲームも大幅強化
エミュレーターストリーミング関連も大きく手が入っています。ストリーミング中に作成したセーブデータやセーブステートをRomMのライブラリー側へ戻し、履歴やサムネイル付きで管理できるようになりました。
マルチディスクゲームではディスク交換にも対応し、セーブしたときに使用していたディスクをロード時に再びマウントする仕組みも導入されています。PS2とゲームキューブについては個別のセーブファイルだけではなく、メモリーカード全体を同期することも可能です。EmulatorJS側でもマルチディスクゲームをまとめて渡し、エミュレーターのメニューからディスクを切り替えられるようになっています。
既存環境からのアップデートはconfig.ymlに注意
ただし、既存のRomM環境を5.3.0へ更新する場合は注意が必要です。今回のリリースノートでは、冒頭に「Breaking changes」として設定方法の変更が案内されています。
特に重要なのがライブラリーのファイル構造です。5.3.0では従来のようにRomM側がフォルダー構造を自動判別するのではなく、config.ymlのfilesystem.structureで構造を明示的に設定する必要があります。これが設定されていない場合、RomMは起動しません。また、旧設定で使われていたfilesystem.roms_folderとfilesystem.firmware_folderも削除されており、これらが残っている場合も起動を拒否する仕様になっています。
エミュレーターストリーミングの設定方式も変更され、従来の「エミュレーターごと」ではなく「コンテナごと」に設定する方式になりました。そのため、すでにストリーミング環境を構築している場合は、5.3.0へ更新する前にconfig.ymlを書き換える必要があります。単純にDockerイメージなどを最新版へ差し替えるだけでは正常に起動しない可能性があるため、既存ユーザーは公式のアップグレード情報を確認してから更新したほうがよさそうです。
物理ゲームの管理、ブラウザープレイ、セーブ同期、エミュレーターストリーミング、ライブラリー構造のカスタマイズなど、多数の変更が盛り込まれてきたRomM 5.3.0系列。これまでalphaやbetaを試していたユーザーだけではなく、正式版を待っていたユーザーにとっても、ひとつの大きな節目となるリリースといえそうです。















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