Android向けPS3エミュ『PS3Native』にフレーム生成を内蔵。30fps→60Hz、60fps→120Hzを狙う実験版が公開

Android向けPS3エミュ『PS3Native』にフレーム生成を内蔵。30fps→60Hz、60fps→120Hzを狙う実験版が公開

Android向けPS3エミュレーター「PS3Native」の実験的なコミュニティビルド「Community Preview 5」が公開されました。今回の大きな特徴は、DIS(Dense Inverse Search)方式を利用したフレーム生成機能がアプリ本体に組み込まれたことです。

これまで利用できたLossless Scaling Frame Generationに加えて、新たに「DIS Frame Generation」を選択できるようになっています。DISでは外部の「Lossless.dll」を必要とせず、PS3Native単体でフレーム生成機能を利用できます。GitHubで公開されているリリースノートによると、Vulkan Computeを利用したオプティカルフロー処理によって中間フレームを生成する仕組みです。

●PS3Native Community Preview 5 — GitHub Releases
https://github.com/thecrixux/PS3Native/releases/tag/Community_Preview_5

外部DLL不要のDISフレーム生成を新たに搭載

今回追加されたDISは、「Dense Inverse Search」と呼ばれるオプティカルフローアルゴリズムを利用したものです。画面内の動きを解析し、実際に描画されたフレームとフレームの間に補間用の映像を生成することで、より滑らかな表示を狙っています。

DISには「Fast」「Balanced」「Quality」という3種類の品質設定が用意されています。品質を上げるほどオプティカルフローの処理解像度が高くなり、そのぶん処理負荷も増える仕組みです。

また、フレーム生成エンジンは、従来の「Lossless Scaling Frame Generation」と今回追加された「DIS Frame Generation」から選択できるようになっています。

とくに大きな違いは、DISでは外部DLLを用意する必要がないところです。新規インストールした状態でも利用できるようになっており、フレーム生成機能そのものがPS3Nativeの機能として組み込まれ始めた点は興味深いところです。

30fps→60Hzや60fps→120Hzでの表示を想定

Community Preview 5では、フレーム生成そのものだけではなく、生成したフレームをどのタイミングで表示するかというペーシング処理についても手が加えられています。

新しいフレームタイム推定処理や、フレーム時間が大きく乱れた際のヒッチ処理、入力側と出力側のリフレッシュレートのマッチングなどが改善されました。開発側では具体的な利用例として「30 FPS→60 Hz」「60 FPS→120 Hz」、さらに高リフレッシュレートのAndroidディスプレイなどを挙げています。

ただし、ここで注意したいのは、PS3ゲームそのものが30fpsから60fpsで動作するようになるわけではないという点です。ゲーム側から出力されたフレームをもとに中間フレームを生成し、60Hzや120Hzのディスプレイ上でより滑らかに見せるための機能となっています。

そのため、元のゲームが30fpsで動いている場合でも、ゲーム内部の処理そのものが60fps化されるわけではありません。また、操作レスポンスやエミュレーション自体の処理性能が単純に2倍になる機能でもありません。このあたりは一般的なフレーム生成技術と同様です。

あくまでもテスト向けの実験的なコミュニティビルド

今回公開されたCommunity Preview 5は正式版ではなく、「Experimental Community Pre-release」と位置付けられた非公式のコミュニティビルドです。

最近のRPCS3側の変更も取り込まれている一方で、リリースノートでは不具合の再発や端末固有の問題が発生する可能性についても注意が呼び掛けられています。

Redditでも同ビルドの公開が告知されており、フレーム生成なし、Lossless Scaling方式、DISの各品質モード、30→60 FPSや60→120 FPSといった条件での実機テストが呼び掛けられています。

端末やSoC、GPU、Androidのバージョン、GPUドライバーなどによって結果が変わる可能性があるため、現時点ではすべての環境で効果が得られる機能というよりも、今後に向けた検証段階と考えたほうがよさそうです。

それでも、Androidスマートフォン上でPS3をエミュレーションするだけではなく、エミュレーター側にフレーム生成まで組み込まれるようになってきたというのは、なかなか面白い動きです。高リフレッシュレートに対応したAndroid端末も増えているだけに、今後実用性がどこまで高まっていくのか注目したいところです。

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