『Escape from the Planet of the Robot Monsters』のMiSTer FPGAコアが公開! 2基の68010と音声回路をFPGA実装

『Escape from the Planet of the Robot Monsters』のMiSTer FPGAコアが公開! 2基の68010と音声回路をFPGA実装

Atari Gamesが1989年に発売したアーケードゲーム『Escape from the Planet of the Robot Monsters』を再現する、MiSTer FPGA向けコアが公開されました。

●Arcade-Escape_MiSTer
https://github.com/spoonelli/Arcade-Escape_MiSTer

GitHubユーザーのspoonelli氏が公開した「Arcade-Escape_MiSTer」では、MiSTer用のRBF「Arcade-Escape_20260830.rbf」と、「Escape from the Planet of the Robot Monsters (set 1).mra」が配布されています。

今回のコアで特に興味深いのが、オリジナル基板が採用していたデュアルCPU構成です。単に処理速度を合わせるのではなく、2基の68010を実際に並行動作させる形でFPGA上に実装されています。

2基の68010が並行して動作

『Escape from the Planet of the Robot Monsters』は、ふたり同時プレイにも対応したクォータービューのアクションシューティングゲームです。今回公開されたコアの基盤となっているのが、spoonelli氏の「Atari-Dual-68k」プロジェクトです。

コアでは2基の68000系CPUを搭載したオリジナルの構成を再現しており、デフォルトでは68010が2基、それぞれ同時に動作します。共有RAMを介したCPU間の通信やハンドシェイクについても実装されています。

なお、実際のアーケード基板には68000を搭載した個体も確認されていることから、コア側でも68000と68010を切り替えられるようになっています。

初回起動時には「Waiting for Second Processor」という画面が数秒間表示されますが、これは不具合ではなく、オリジナル基板の動作を再現したものとのことです。

スプライトからTMS5220音声合成まで再現

映像部分では、アルファ、プレイフィールド、モーションオブジェクトという3つのレイヤーに加えて、ラインバッファー方式のスプライトエンジンを実装しています。

音声システムもAtariのJSA-Iを再現しており、6502に加えてYM2151、さらに音声合成用のTMS5220を搭載。ゲーム中の音楽や効果音だけではなく、音声合成についても動作するようになっています。

操作系では、オリジナルで採用されていたホール効果スティックをモデル化。ゲーム内に用意されているスティックのキャリブレーション画面にも対応しています。

さらに、高得点やオペレーター設定を保存し、電源を切ったあとも保持できるようになっています。

Analogue Pocket版と同じマシンRTLを使用

このプロジェクトでは、MiSTer版に先駆けてAnalogue Pocket向けのopenFPGAコアも公開されています。

今回のMiSTer版は、まったく別に作り直されたものではなく、Analogue Pocket版と同じマシンRTLを使用しています。共通部分の開発は「Atari-Dual-68k」リポジトリで進められており、「Arcade-Escape_MiSTer」はMiSTer向けの配布用リポジトリという位置付けです。

そのため、先行して公開されたAnalogue Pocket版をMiSTerにそのまま移植したというよりも、共通のハードウェア再現部分をそれぞれのFPGA環境へ展開していると考えたほうが近そうです。

「behaviorally accurate」だがcycle-exactではない

開発者は今回のコアについて「behaviorally accurate」と説明していますが、「cycle-exact」な再現ではないことも明記しています。

CPUにはTG68Kが使用されており、命令レベルでの正確性を重視している一方で、すべての命令について実際の68010とまったく同じクロック数で動作するわけではありません。

また、オリジナル基板では複数のサブシステムがそれぞれ独立したバスを利用していましたが、MiSTer版ではSDRAMを利用する都合から、その部分の構成もFPGA向けに再設計されています。

一方で、CPUクロックや画面タイミング、メモリーマップ、デュアルCPU構成などについては実機の回路図を基準に実装されており、開発者は実際のアーケード筐体や基板、MAMEなどを使用して検証を行っているとしています。

つまり、回路のすべてを1クロック単位で複製することを目指したコアではなく、実際のゲームの挙動やタイミングを重視して再現したFPGAコアという位置付けです。

RBFとMRAはGitHubで配布中

MiSTer版は「Arcade-Escape_MiSTer」リポジトリ内のreleasesフォルダーから入手できます。手動で導入する場合は、「Arcade-Escape_20260830.rbf」をMiSTerの「_Arcade/cores/」へ、MRAファイルを「_Arcade/」へ配置します。また、Downloader/update_all向けのカスタムデータベースも用意されています。

ゲームの起動にはMAMEのepromセットに対応したROMが必要で、ROMデータそのものはコアには含まれていません。

なお、このプロジェクトはLLM/AIの支援を受けながら開発されていることも明記されています。Atari GamesやMiSTerによる公式製品ではなく、有志によって開発されている非公式FPGAコアです。

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