ニンテンドーDS向けのFPS『メトロイドプライム ハンターズ』を、WindowsやLinuxでネイティブ動作させるプロジェクト「MetroidPrimeHuntersRecomp」。その一般向けアルファ版となる「v0.3.0-alpha」が、2026年8月15日にGitHubで公開されました。
本バージョンでは、キーボードとマウスによるFPSスタイルの操作に加えて、フルリマップ可能なゲームパッド操作や最大21:9のワイドスクリーン表示にも対応しています。
●MetroidPrimeHuntersRecomp
https://github.com/mstan/MetroidPrimeHuntersRecomp
●v0.3.0-alpha
https://github.com/mstan/MetroidPrimeHuntersRecomp/releases/tag/v0.3.0-alpha
エミュレーターではなくゲームのコードを事前変換
『MetroidPrimeHuntersRecomp』は、一般的なニンテンドーDSエミュレーターとは少し異なる仕組みで動作します。
本プロジェクトでは、ニンテンドーDS用の静的リコンパイラー「ndsrecomp」を使用。ゲーム内のARMコードを事前にCへ変換し、PC用のネイティブアプリケーションの一部として実行します。
●ndsrecomp
https://github.com/mstan/ndsrecomp
「ndsrecomp」は、ARM7TDMIとARM946E-SというニンテンドーDSのふたつのCPUに対応。変換済みのコードをネイティブ実行しながら、CPUのスケジューリング、メモリーバス、グラフィック、サウンド、タッチ入力といったニンテンドーDS特有のハードウェア機能を専用ランタイム側で再現する仕組みです。
なお、実行中にRAMへ書き込まれるコードなど、一部ではインタープリターも併用されています。そのため、単純に「エミュレーターを使わずにすべてをネイティブ実行している」というわけではありませんが、通常のニンテンドーDSエミュレーターでROMを起動する構成とは大きく異なります。
最大21:9のワイドスクリーン表示に対応
オリジナルのニンテンドーDSは、上下ともに256×192ドットの画面を搭載していました。それに対して『MetroidPrimeHuntersRecomp』では、上画面に表示される3Dゲーム画面を最大21:9まで拡張できます。
単純に元の映像を横方向へ引き伸ばすのではなく、ゲーム内の描画範囲を左右に広げるアダプティブワイドスクリーン方式が採用されています。HUDについても、画面の左右や中央へ配置し直す仕組みが実装されています。
ただし、ワイドスクリーン表示は現在も検証中です。場面によってはHUDの位置がずれるほか、ムービー、フェード、エフェクト、画面の切り替えなどが正しく表示されない可能性があります。
WIPのMetroid Prime Huntersのリコンパイルをテスト中。知る限り初のNintendo DSのリコンパイルで、まだ開発中でも、ワイドスクリーン、マウスとキーボードのサポートなどが追加され、とても良好に動作します
キーボード/マウスとゲームパッドの両方に対応
オリジナル版『メトロイドプライム ハンターズ』では、十字ボタンなどでサムスを移動させながら、下画面のタッチ操作で照準を動かす独特な操作方式が採用されていました。
今回の再コンパイル版では、WASDキーで移動し、マウスで照準を操作する一般的なPC向けFPSに近い操作が可能です。マウスカーソルを使ったタッチスクリーン操作にも対応しています。
最新版のv0.3.0-alphaでは、ゲームパッドへの対応も強化されました。初期設定では左スティックで移動、右スティックで照準操作、RTで射撃、Aボタンでジャンプ、Bボタンでモーフボール、R3でスキャンバイザーといった操作が割り当てられています。
これらのボタン配置はランチャーから変更可能です。また、マウスとゲームパッドを同時に使用することもできます。
Wiimmfiへの接続にも実験的に対応
『メトロイドプライム ハンターズ』は、アドベンチャーモードだけではなく、最大4人で遊べる対戦モードにも力が入れられていた作品です。
ニンテンドーDS向けの「ニンテンドーWi-Fiコネクション」は2014年に終了していますが、『MetroidPrimeHuntersRecomp』では代替オンラインサービスの「Wiimmfi」に接続する機能が実験的に組み込まれています。
現時点では、Wiimmfiへの認証を行い、Friends/Rivalsロビーへ到達できるところまで確認されています。また、v0.3.0-alphaでは、Wiimmfi上で使用するプレイヤー名をランチャーから設定できるようになりました。
ただし、実際にほかのプレイヤーと対戦できることまでは保証されていません。マッチへの参加に失敗する、途中で切断される、ゲームの同期がずれるといった問題が発生する可能性があります。
WindowsとLinux向けのバイナリーを配布
v0.3.0-alphaは、Windows x64用のZIPファイルと、Linux x86_64用のAppImageが用意されています。
Windows版はファイルを展開し、所有している北米版『Metroid Prime Hunters』のROMデータを実行ファイルと同じフォルダーへ置いて起動します。Linux版も、ROMデータをAppImageと同じ場所へ置く構成です。
対応しているのは、北米版の初期リビジョン「AMHE/USA revision 0」のみ。別地域版や異なるリビジョンのROMを使用した場合は、ランチャー側で拒否される仕組みになっています。
ROMデータは同梱されていないため、自身が所有しているゲームカードから用意する必要があります。一方、標準の起動方法ではFreeBIOSと生成されたファームウェアを使用できるため、ニンテンドーDS本体から吸い出したBIOSやファームウェアは必須ではありません。
現状は不具合を前提としたアルファ版
今回公開されたものは、完成したPC移植版ではなく、テストを目的とした初期アルファ版です。
開発者は、クラッシュ、フリーズ、グラフィックやサウンドの不具合、入力の問題、セーブやネットワークのトラブルが発生する可能性があると説明しています。アドベンチャーモードについても、最初から最後まで問題なく遊べることは確認されていません。
とはいえ、ニンテンドーDS向けに設計されたFPSが、ワイドスクリーン、マウス操作、デュアルスティック操作を備えたPCアプリケーションとして動き始めたことは、なかなか興味深いところです。
「ndsrecomp」自体もまだ非常に初期の研究段階ですが、今後ほかのニンテンドーDS作品に応用されていくのか注目したいですね。















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