日本でも発売以降、かなり盛り上がっている印象のゲーミングUMPC『Steam Deck(スチームデック)』。本機は携帯ゲーム機でありながら、PCゲームが遊べるところが大きな特徴ですが、そこに採用されているSteamOSはウィンドウズではなくLinuxがベースとなっているため、やや情報の混乱を巻き起こしているようです。
その中のひとつが、「『Steam Deck』はSteamで配信されているゲームしか遊べない」というもの。しかし、これは大きな間違いです。
『Steam Deck』ではもうひとつ、「Proton」と呼ばれる変換レイヤーが採用されています。Linuxにはウィンドウズのアプリをネイティブに動かせるようにするための変換レイヤーである「Wine」がありますが、この「Proton」はそちらをカスタマイズしたものとなっています。
互換性については制限はあるものの、この「Proton」のおかげで快適にPCゲームが遊べるようになっています。
実際のところ、他のゲームサービスで『Steam Deck』で遊べないゲームは、互換性の部分よりもDRMなどの制限によるものが多いようです。
『Steam Deck』で遊べるPCゲームはネイティブとクラウドに分けられる
『Steam Deck』で遊べるPCゲームは、大きく分類するとネイティブとクラウドに分けることができます。ネイティブは通常のアプリを本体にインストールして遊ぶタイプです。Steamで配信されているゲームを遊ぶ場合はこちらになります。
クラウドは、いわゆるストリーミングで遊ぶタイプのゲームで、端末側の性能自体はパフォーマンスに影響しません。それよりも、ネット環境で快適に遊べるかどうか決まります。
Steam外のPCゲームはクラウドしか遊べないというわけではなく、ブリザード・エンターテイメントが提供している『Battle.net』や『Epic Games』、『GOG.com』などはネイティブのゲームをインストールしてプレイが可能です。
ただし、これらのサービスはそれぞれが提供しているアプリ内で展開されているような作りになっています。
PCゲームの配信サービス大手といえば、やはりはずせないのがマイクロソフトの『Xbox Game Pass』でしょう。しかし、こちらは残念ながらネイティブではプレイ出来ず、ベータ版として提供されている『Xbox Cloud Gaming (Beta)』を介してプレイすることになります。
ということで、『Steam Deck』でプレイ可能な外部のPCゲーム配信サービスをいったんまとめておきます。
サービス名 | ネイティブでの動作 | クラウドでの動作 |
---|---|---|
Battle.net | ○ | × |
Epic Games | ○ | × |
GOG.com | ○ | × |
Xbox Cloud Gaming | × | ○ |
Battle.net
ブリザード・エンターテイメントが提供しているゲーム配信サービスの『Battle.net』。元々は、『ディアブロ』や『スタークラフト』などのオンラインゲームのマッチングサーバとしてスタートしていますが、現在は同社のPCゲームを配信するプラットフォームになっています。
こちらでは、『オーバーウォッチ2』や『ディアブロ』シリーズ、『スタークラフト』シリーズ、『ウォークラフト』シリーズ、『ハースストーン』などのゲームが配信されており、『Steam Deck』でも設定さえすればプレイ可能です。
Epic Games
米国を拠点に活動しているゲーム会社のEpic Gamesが提供している配信プラットフォームです。『フォートナイト』などの自社製の人気ゲームだけではなく、他社のPCゲームも数多く配信しています。また、Steamに対抗するためか、無料でPCゲームを配布しまくっていることでも有名ですね。
Epic Gamesで入手したゲームも『Steam Deck』でプレイすることができますが、サードパーティ製のランチャーソフトを介してのプレイとなるため、動くゲームは動くけど動かないものは動かないという状況のようです。
GOG.com
GOG.comは、『サイバーパンク2077』や『ウイッチャー』シリーズでおなじみのCD Projektが提供しているゲーム配信プラットフォームです。どちらかというと最新のPCゲームというよりも、90年代以降にリリースされたゲームをDOXBOXを利用して遊べるようにしたタイトルが多いといった印象ですね。こちらも『Steam Deck』でプレイ可能ですが、タイトルによってはProtonが対応していないのかうまく動かないものもあります。
Xbox Cloud Gaming (Beta)
マイクロソフトが提供している、サブスクのゲーム配信プラットフォームに『Xbox Game Pass』がありますが、その最上級のプランである「ULTIMATE」ユーザーが利用出来るサービスが『Xbox Cloud Gaming (Beta)』です。
こちらはクラウド経由で『Xbox Game Pass』で配信されているゲームが遊べるというもので、『Steam Deck』でも利用が可能となっています。ちなみに『Steam Deck』で『Xbox Cloud Gaming (Beta)』を利用する方法も、マイクロソフト自身が公開している情報となっており、ストリーミングサービスでありながら意外にも快適にゲームを遊ぶことができます。
EA App
エレクトロニック・アーツが提供しているPCゲーム配信プラットフォーム。以前は『Origin』という名前でサービスが提供されていましたが、2022年10月以降はこの『EA App』に統合されています。
Ubisoft Connect
Ubisoftが提供しているPCゲームプラットフォームが『Ubisoft Connect』です。こちらもBattle.net同様に、個別に専用アプリをセットアップしていくことでSteam Deckでも同サービスのライブラリをダウンロードして、ゲームがプレイ出来ます。