PS1～PS3のゲームを実機で遊ぶときの最適環境と注意点は？

ソニー・インタラクティブエンタテインメントの最新ゲーム機『PlayStation 5』。PS4との互換性が99パーセントあると言われていますが、そうなってくるとPS3の初期型があるだけでPS1～PS5までのすべてのPlayStationゲームが遊べる環境が出来上がりますよね。

とりあえずPS5の話しはおいといて、ちょうどいいタイミングということもあり、実機でPlayStaionシリーズのゲームを遊ぶための最適環境を調査してみました。

PS2とPS3の下位互換について

PS2には、PS1のメインCPUとして使われていた『MIPS R3000』と呼ばれるRISCプロセッサが、I/Oプロセッサとして採用されていました。もちろんこれは、下位互換性を持たせるという意味もあったのだと思いますが、それ以外の部分についてはエミュレーターで開発されています。このあたりの詳細については、PS1互換エミュレーターを担当したぼん くぼ氏がSTORYS.JPで公開しているので、そちらを参照してみてください。

●SCEでPS1互換エミュレータを開発した（ぼん くぼ氏）
https://storys.jp/story/3458
https://storys.jp/story/3524
https://storys.jp/story/3533
https://storys.jp/story/3565
https://storys.jp/story/3572

PS3では映像出力にHDMIが採用されたということもあり、現在のテレビやディスプレイで遊ぶのにもほとんど問題はない環境となっています。しかし、PS1とPS2では複数の選択肢があるため、どれを選べば良いのかわからないという人もいることでしょう。以前の記事で、そちらについて詳しく調査をしているので興味があるかたは参考にしてみてください。

関連記事

関連記事PS1とPS2を遊ぶためのベストな映像出力ケーブルは？それぞれの違いと特徴についてがっつり調べてみた

PS1とPS2は、MIPS系のアーキテクチャーがベースとなっていましたが、PS3ではPowerPC系に変更されています。そのため、下位互換性を保つためのエミュレーターは、ソフトウェアで書かれています。

初期モデルの20GBと60GBモデルには、PS2のメインCPUである『Emotion Engine』とGPU『Graphics Synthesizer』をワンチップ化した『EE+GS』が搭載されており、互換性を高めていました。しかし、以降に発売されたモデルではこのチップは省略されてしまいPS2との互換性も失われてしまっています。

オリジナルのゲーム機と互換機能での再現性

ということで、PS1とPS2の実機と、PS2とPS3初期型を使い、それぞれのソフトウェアを比較してみました。PS1の映像はアナログRGBを、PS2はD端子をそれぞれ使用しフレームマイスター経由でキャプチャーしています。PS3はHDMIですが、プロテクトがかけられたHDPC信号が含まれているため、解除用にスプリッターを間に挟んでいます。

PS1：ファイナルファンタジーVIII

PS1の比較では『ファイナルファンタジーVIII』のゲームプレイ画面をチョイス。こうして比べてみると、PS3はなかなかいいなと思っていたものの、PS2のほうが絵がくっきりしておりいい感じですね。

PS2：ワイルドアームズ アドヴァンスドサード

PS3とPS2の比較も同様に、ややPS2（実機）のほうが絵が鮮やかな感じに見えます。

PS2で動かすときに問題があるPS1のゲーム

ソニー・インタラクティブエンタテインメントの公式サイトには、PS2でPS1のゲームを動かすときに不具合のあるゲームのリストが公開されています。同じPS1であっても、製造時期によって不具合が出るモノと出ないモノがあるようです。まずはそれぞれのタイトルと、ご自身がお持ちの機種をチェックしてみましょう。

ということで、不具合リストに掲載されているものの中から、『ナムコミュージアム VOL.2』と『ナムコミュージアムアンコール』でチェックしてみました。使用した機種は、SCPH-70000とSCPH-90000。『ナムコミュージアムアンコール』の『ワンダーモモ』と『ローリングサンダー』は、どちらの機種でもたしかにゲーム速度が遅くなっていました。

『ナムコミュージアム VOL.2』の『ゼビウス』は、SCPH-70000では速度が遅くなりましたが、SCPH-90000では普通に遊ぶことができます。

ためしにPS3の初期モデルでこのふたつのゲームをプレイしてみたところ、こちらはまったく問題なく遊ぶことができました。

PS3初期モデルにおける設定項目

アップコンバート機能

初期型のPS3では、単にPS1とPS2のゲームが動かせるというだけではなく、いくつかの設定項目がシステムで用意されています。設定の「ゲーム設定」の中にある「PS/PS2 – アップコンバート」では、480p、480iといったSD解像度のゲーム画面を、HD解像度である1080p、1080i、720pに引き上げることができるアップスキャンコンバーターの機能が利用出来ます。

設定項目は全部で3種類用意されています。「切」を選ぶとアップコンバート機能が自体が無効になります。「ノーマル」では、画面サイズに合わせて引き延ばされます。「フル」は縦横比を変更し、画面いっぱいになるように引き延ばされた映像で出力されます。気のせいか、アップコンバートをフルにしたときよりも、切った状態のほうが映像が鮮明に見えますね。アスペクト比を維持したいときは、ノーマルがオススメです。

スムージング機能

「アップコンバート」とは別に「スムージング」という項目もあります。こちらは、「入」にすることで、画像の荒さを抑えることができます。思ったほどの効果がなかったり、「入」にすることで画像が乱れる場合もあるのでお好みで選択するのがいいでしょう。

PS3における下位互換機能の不具合

2006年11月11日に発売された、PS3。その初期モデルだけはPS2との互換性があります。ちなみに、PS1のソフトは3290本、PS2のソフトは2654本が発売されていましたが、PS3のローンチ時点では、そのうちの803本（PS1が511本、PS2が292本）のゲームに、なにかしらの不具合があることが発表されていました。

●PS3、互換性に不具合のPS2ソフトが200タイトル（CNET Japan）

以前はこうした情報をまとめた「PlayStation3初期不良まとめwiki」というサイトがありましたが、残念ながら現在は消滅しておりアーカイブだけで見られるようになっています。チェックしてみたところ、一応ゲームのリストは確認できるようになっていたので、プレイ前に見ておくといいかもしれません。

●PlayStation3初期不良まとめwiki（アーカイブ）

PS3の下位互換性はほとんど問題ないレベル!?

PS3で実行すると不具合が発生するといわれているソフトについて、実際に手持ちのゲームで調べてみました。PS1は『パラッパラッパー』『ファイナルファンタジー IV』『クーロンズ・ゲート』『ルパン３世 カリオストロの城 -再会-』『BIOHAZARD2』をチェック。実際に不具合のようなものが見られたのは、この中の『ルパン３世 カリオストロの城 -再会-』だけでした。

また、PS2は『グランツーリスモ4』『トロと休日』『鬼武者』『真・三國無双3』をチェックしましたが、いずれも不具合と思われるような症状は確認することができませんでした。

まとめ：初期型のPS3が手に入らないならPS2の最後期版と合わせるのがオススメ

いろいろと調査した結果、PS3初期型の下位互換性については一部不具合の出るゲームもありますが、気にするほどのレベルではないかもしれません。利便性を考えるとほかにアップスキャンコンバーターなどを挟まずに、HDMIでハイレゾな映像で過去のゲームが遊べるのは魅力的です。

しかし、筆者の環境ではPS3はゲームを動かしていると、ファンの騒音が大きすぎてプレイに集中しにくくなります。また、本体自体もいつまで無事に動いてくれるのか、怪しいところもあります。

PS3の初期型以外も選択肢に入れるとすると、PS2の90000番台などの最後期のモデルと組み合わせるのがよさそうです。とくにPS2はD端子で映像を出力すると、かなり見栄えの良い絵でゲームを楽しむことができます。

ABOUT US

高島おしゃむ

ライター/編集者。コンピューターホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。 現在はゲームやホビー、IT、XR系のメディアを中心に、イベント取材やインタビュー、レビュー、コラム記事などを執筆しています。