PS1とPS2を遊ぶためのベストな映像出力ケーブルは?それぞれの違いと特徴についてがっつり調べてみた

PS1とPS2を遊ぶためのベストな映像出力ケーブルは?それぞれの違いと特徴についてがっつり調べてみた

PlayStation 3以降は映像出力がHDMIになり、現代のゲームプレイ環境にマッチした状況になっています。しかし、それ以前に発売されていたPlayStation(以下PS1)とPlayStaion 2(以下PS2)では、接続できる映像出力端子の種類も多く、今となってはユーザーとしてもわかりにくいものになっていますよね。

ということで、今回はPS1とPS2の様々な映像出力ケーブルについて、その違いと特徴を調査してみました。どの映像が綺麗かというのは数値で示しにくいため、ある程度は主観になってしまいますが、参考程度にしてみてください。

また今回の調査は完璧ではないかもしれませんが、新たな発見もありました。またアップデート情報があった場合は、随時追加・修正していきたいと思います。

映像出力ケーブルの種類

意外と複数の選択肢がある、PS1とPS2の映像出力ケーブルたち。まずは、その種類と特徴を把握しておきましょう。

■コンポジット(RCA)端子

対応機種:PlayStation、PlayStation 2

コンジット映像信号(黄色)と、ステレオ音声信号(赤と白)の3色ケーブル。最大でSD画質の480iまで伝送が行えます。最近はすっかり対応した映像機器が減ってしまいましたが、その取り回しの良さと扱いやすさから、一時はテレビの入力端子など様々なAV機器に使われていたため、日本ではかなり普及していました。

映像用に使われる黄色いケーブルは、Y(輝度)とC(色)の信号を混合したものを送るために使われています。しかし、このY(輝度)とC(色)がうまく分離できない場合、色の輪郭付近でドットの斑点やクロスカラー(虹色のにじみ)などが発生してしまいます。

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■S端子

対応機種:PlayStation、PlayStation 2

コンポジット映像信号を、輝度信号と色信号の2系統にSeparte(分離)することから、S端子と呼ばれています。最大でSD画質の480iまで伝送が行えます。コンポジットと比較すると、より鮮明が映像になります。

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■コンポーネント

対応機種:PlayStation 2

日本ではあまりなじみがありませんが、海外では昔からよく使われていた映像ケーブルがコンポーネントです。iにのみ対応可能なY-Cb-Crと、1080iのみに対応しているY-Pb-Pr、480i、480p、1080iに対応したY-Pb/Cb-Pr/Crがあります。基本的にはS端子を発展させたもので、輝度と同期信号、色差信号に分離して映像の出力が行われます。アナログRGBと混同されることがありますが、それとはまったく異なり、どちらかというとD端子に近く日本ではそちらのほうが普及しました。

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■D端子

対応機種:PlayStation 2

コネクターの形が「D」に見えることから名付けられた端子。デジタルという意味に捉えられがちですが、アナログ信号です。コンポーネント端子の3本をひとつにまとめた、日本独自の企画です。そのため、海外ではほとんど普及していません。D1~D5の種類があり、それぞれ対応する映像の解像度が異なります。PlayStation 2ではD1~D5のすべてに対応していますが、実際に使われているのはD1~D3までです。

D端子の規格480i480p1080i720p1080p
D1端子××××
D2端子×××
D3端子××
D4端子×
D5端子
出典:http://www.satellite.co.jp/picture-t.html
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■アナログRGB

対応機種:PlayStation、PlayStation 2

赤、青、緑と同期信号をすべて分離してデータを送信するため、クリアな映像が表示できるのが特徴。ただし、PlayStation向けの映像出力ケーブルとして見た場合は、残念ながら480pや1080iといった高解像度には対応しておらず、これ1本ですべてまかなえるわけではありません。

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PlayStationの映像出力

今となっては特殊すぎるRF端子をのぞけば、PS1で対応しているのは、コンポジットとS端子、アナログRGBの3種類です。今回の検証では、フレームマイスターで入力された映像信号の情報を元にチェックを行っています。結果的にいうと、PlayStationの場合はメニューや動画では480i、ゲーム中は240pで表示される場合がほとんどでした。同じ解像度の映像でも、ケーブルによって見え方が大きく異なります。

体感的な映像の美しさでは、コンポジット<S端子<アナログRGBです。

出力端子映像出力
コンポジット720×480i
720×240p
S端子720×480i
720×240p
アナログRGB720×480i
720×240p
RF未検証
▲左がコンポジット(RCA)で右がS端子。
▲左がS端子で右がアナログRGB。輝度はやや落ちるものの、映像の鮮明さはRGBのほうが上。

240pと480iの違いは?

ちょくちょく登場する「240p」や「480i」という数字ですが、最初に登場する数字はそのフォーマットの垂直解像度のことを表しています。それに続く「p」または「i」という文字は、プログレッシブスキャンインターレースの略語です。

インターレースは、奇数ラインと偶数ラインの2回に分けて描画を行うという方式です。それに対して、プログレッシブスキャンでは1回ですべてのラインを表示します。最近のディスプレイやアップスキャンコンバーターは、こうした元の映像を拡大して表示しており、結果的にインターレスではちらつきが発生したり映像がぼやけてみることがあるのです。

PlayStation映像出力のベストチョイスはアナログRGB

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ということで、PS1の映像出力端子のベストは、アナログRGBです。時点としてS端子もそこそこのクォリティがあるので、検討するのもいいでしょう。今回はフレームマイスターに接続してチェックしましたが、1~2フレームの遅れや、240pと480iなど解像度が切り替わり時にラグが発生する場合があるそうなので、OSSCとの組み合わせが良さそうです。OSSCもキャプチャーカードやディスプレイなどとの相性があります。アナログRGBにしろS端子にしろ、最終的にHDMIで出力するには何かしらの機材を間に挟む必要があるため、実際はそれぞれの環境に合わせたチョイスをしていくのがいいでしょう。

ちなみにOSSCは直接アナログRGBの接続はできないため、RGBをSCARTに変換するケーブルを間に挟む必要があります。

PlayStation 2の映像出力

PS2では、コンポジットとS端子、アナログRGBに加えて、D端子とコンポーネントに対応しています。PS2リナックスに対応したVGAもありますが、今回は検証していません。

コンポジットとS端子の映像は、それなりといった感じです。コンポーネントとD端子はほぼ同じハズですが、今回はコンポーネントはOSSCに、D端子はフレームマイスターにそれぞれ接続してチェックしたこともあり、D端子のほうが鮮明な映像に見えました。

また、アナログRGBとD端子を比べてみたところ、やはりこちらもD端子のほうがよく見えます。

PS2の映像出力の基本は、480iです。これとは別に、480pのプログレッシブモードと『グランツーリスモ4』の1080iモードがあり、これらに対応しているのはD端子またはコンポーネントでアナログRGBでは出力することができません。

ちなみに、「コンポーネント映像出力」の項目で「RGB」が選ばれているときは、PS1とPS2規格のソフトのみが対応しています。DVDソフトを見るときは、自動的に「Y Cb/Pb/ Cr/Pr」に切り替わります。

映像信号のチェックはフレームマイスターで行っていますが、コンポーネントのみOSSCを利用しています。表記はOSSCで表示されたものですが、基本的には括弧内の数字となっており、D端子とコンポーネントは同じと考えて問題ないでしょう。

出力端子映像出力コンポーネント映像出力
コンポジット720×240p
720×480i
480p(プログレッシブモード)と1080iは非対応
設定不要
S端子720×240p
720×480i
480p(プログレッシブモード)と1080iは非対応
設定不要
D端子720×240p
D1:720×480i
D2:720×480p(プログレッシブモード)
D3:1920×1080i(GT4の1080iモード)
Y Cb/Pb/ Cr/Pr
コンポーネント263p(240p)
525i(480i)
525p(480p)
1125i(1080i)
Y Cb/Pb/ Cr/Pr
アナログRGB720×240p
720×480i
480p(プログレッシブモード)と1080iは非対応
RGB
VGA未検証。プログレッシブモードとPS2 Linuxのみ対応?不明
▲左がコンポジット(RCA)で右がS端子。
▲左がコンポーネントをOSSC経由で取り込んだもの。右はD端子をフレームマイスターで取り込んだもの。中間機器の違いはあるものの、コンポーネントはやや明るく、D端子は落ち着いた映像ながら絵が鮮明といった印象。
▲アナログRGBとD端子の比較ですが、アナログRGBのほうが輝度は高いものの、やはり映像の鮮明さではD端子に軍配が上がりそうです。

PS2のPS1エミュレーター

PS2には、下位互換を持たせるためにPS1が動かせるエミュレーターが搭載されています。そこで、それぞれの映像出力ケーブルを接続したときのチェックを行いました(※VGAはのぞく)。

PS2でPS1のゲームを起動すると、基本的にはオリジナルの本体同様480iまたは240pで動作します。事前の予想では、D端子とコンポーネントは240pの表示ができないかと思われましたが、結果的には問題ないことがわかりました。

下記のケーブルはすべてこれらの解像度には対応しているため、あとはディスプレイやアップスキャンコンバーター、キャプチャーカードなどがその解像度に対応しているかどうかという問題になってきます。

出力端子映像出力
コンポジット720×480i
720×240p
S端子720×480i
720×240p
D端子720×480i
720×240p
コンポーネント720×480i
720×240p
アナログRGB720×480i
720×240p

プログレッシブモードの480pと525pは同じ?

PS2のプログレッシブモードで、ちょくちょく目にするのが「480p」と「525p」という数字。2種類の解像度があるのか? と思いきや、実はこのふたつは同じ意味なんです。正確には、走査線の総本数が525本で、そのうちの有効走査線数が480本であることから、こうした表記が行われている模様。つまり、実質的には480pなので、頭の中でそちらに統一しちゃってもいいのかもしれませんね!?

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▲ソフトによってはメニューから切り替えられるものも。
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▲マニュアルでは525pと書かれていますが、480pと意味は同じです。

プログレッシブモードへの切り替え:ゲーム起動時に△ボタン+×ボタンを同時押し

一部のゲームはメニューから切り替えることができますが、多くのゲームはゲーム起動時に△ボタンと×ボタンを同時に押すことでプログレッシブモードに切り替えることができます。なかには、マニュアルや外箱には記載されていないにもかかわらず、プログレッシブモードに切り替えられるものがあるのだとか・・・・・・。

以前は、こうした情報を集めていた「プログレクラブZ」というサイトがあったようですが、現在はすでに消滅しておりアーカイブに残っているのみの状態になっています。すべてのページは残念ながら見ることができませんでしたが、一部の情報は確認できました。それに加えて、独自に調べたものを追加してこちらに掲載しておきます。

PS1とPS2を遊ぶためのベストな映像出力ケーブルは?それぞれの違いと特徴についてがっつり調べてみた

●プログレクラブZ(アーカイブ)

■プログレッシブモード対応(未確認のものも含む)
機動戦士ガンダムSEED DESTINY 連合vs.Z.A.F.T. II PLUS
ヴァンパイア ダークストーカーズコレクション
機動戦士Ζガンダム エゥーゴvs.ティターンズ
アーバンレイン
I/O
ARIA The NATURAL ~遠い記憶のミラージュ~
インタールード
We Are*
ヴァルキリープロファイル2 シルメリア
バイオハザード4
家族計画 ~心の絆~
片神名~喪われた因果律~
Kanon ベスト版
CAPCOM FIGHTING Jam
学園ヘヴン おかわりっ! BOY’S LOVE ATTACK!
3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!
3年B組金八先生 伝説の教壇に立て! 完全版
ザ・キング・オブ・ファイターズ 2002
ザ・キング・オブ・ファイターズ 2003
ザ・キング・オブ・ファイターズ’94 RE-BOUT
ザ・キング・オブ・ファイターズXI
Dance Dance Revolution SuperNOVA2
ツーリスト・トロフィー
鉄拳4
鉄拳5
花帰葬
はるのあしおと -Step of Spring-
BURNOUT2 POINT OF IMPACT
バーンアウト3テイクダウン
バーンアウト リベンジ
My Merry May with be
マグナカルタ
魔女っ娘ア・ラ・モード 唱えて、恋の魔法!
マビノ×スタイル
Memories Off #5 とぎれたフィルム
夜明け前より瑠璃色な ~Brighter than dawning blue~
ラジアータ ストーリーズ
ラチェット&クランク2 ガガガ!銀河のコマンドーっす
リアライズ -Panorama Luminary-
ロックマンX8
ワンダと巨像(要確認)
トゥームレイダー: レジェンド
セガエイジス2500 Vol.28 テトリスコレクション
グランツーリスモ4

1080iモード

『グランツーリスモ4』では、プログレッシブモード(480p)に加えて1080iの解像度で映像を出力することができます。通常の映像ケーブルでは、こちらに対応しているのはD端子またはコンポーネントのみです。そのほかのケーブルでは、映像が表示されませんでした。

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▲1080iでは、やや横幅が狭まって見えます。

PlayStation 2で240pのゲーム!?

先ほど、ほとんどのPS2のゲームは480iで動作すると書きました。そこで、とりあえず手持ちのソフトがプログレッシブモードに切り替えられるかチェックしていたところ・・・・・・なんと1本だけ240pで動作するゲームを発見しました。それが『ICO』です。

本作の裏話については調査していないため、なぜこれが240pなのかは謎ですが・・・・・・PS1時代に開発されていたのでしょうか!?

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▲『ICO』はなんと、PS1と同じ240pモードで起動。

HDMIコンバーター(PS2用) コロンバスサークル

アマゾンでは、1391円とそこそこお手軽なお値段で販売されているPS2用のアップスキャンコンバーターHDMIコンバーター(※)、コロンバスサークルの『(PS2用)HDMIコンバーター – PS2』です。別途USBで電源供給は必要なものの、プラグアンドプレイでお手軽にHDMI出力できるところが魅力です。

ちなみにPS2専用でPS1のゲームには対応していません。カタログスペック上は、480i、480p、576i(PAL)の解像度に対応していると書かれてるため、単純にPS1の240pに対応していないということなのでしょう。そのためか、PS2のゲームであっても240pで動く『ICO』は映像を映すことができませんでした。

※アップスキャンコンバーターの機能なはいとのご指摘があっため。たしかに!

PS1とPS2を遊ぶためのベストな映像出力ケーブルは?それぞれの違いと特徴についてがっつり調べてみた

・・・・・・と、ちょっと残念なことばかり書いていますが、実は今回のテストで驚いたことがありました。それがなんと、『グランツーリスモ4』の1080iに対応していたことです。D端子またはコンポーネントでしか映し出すことができない解像度ですが、なんとカタログスペック上にない解像度のゲームもこれでも出せるとは(サポート外かもしれないけど)・・・・・・いやはや、参りました!

また、対応していないと言われているPS1のゲームですが、480iで動く『RIDGE RACERハイスペック Ver.』(R4 RIDGE RACER TYPE 4のオマケディスク)などは、問題なくプレイ出来ます。

PS1とPS2を遊ぶためのベストな映像出力ケーブルは?それぞれの違いと特徴についてがっつり調べてみた

追記:コロンバスサークルよりPS1とPS2に対応したコンバーター『(PS2/PS1用)HDMIコンバーター – PS2 PS1』が登場

コロンバスサークルより、PlayStationとPlayStation 2に対応したHDMIコンバーター『(PS2/PS1用)HDMIコンバーター – PS2 PS1』が、2022年7月下旬より発売されます。価格はオープンプライス(アマゾンでは7480円)。ためしていませんが、おそらく240pにも対応したモノだと思われます。これなら上記のコンバーターで映すことができなかった『ICO』などもいけるのではないでしょうか。

●(PS2/PS1用)HDMIコンバーター – PS2 PS1の販売ページ(アマゾン)

PlayStation 2映像出力のベストチョイスは

PS1とPS2を遊ぶためのベストな映像出力ケーブルは?それぞれの違いと特徴についてがっつり調べてみた

PS2の映像出力まわりはやや状況が複雑で、通常の480iに加えて、高解像度の480pと1080iというモードがあります。また、PS1プレイ時の240pも重要な要素です。そうした対応解像度の高さや映像の鮮明度などを加味して選んだ結果、ベストチョイスはD端子ということになりそうです。

ということで、今回の企画はいわば前菜という感じでPS1とPS2の映像端子による比較を行ってきました。次回は、PS1~PS3までを含めた、ベストなゲームプレイ環境について調査を行っていく予定ですので、お楽しみに!