PS Vitaの通信改善ツール『vitals』v2.0公開。SSLライブラリを独自実装に全面刷新

PS Vitaの通信改善ツール『vitals』v2.0公開。SSLライブラリを独自実装に全面刷新

PS Vita向けの非公式通信改善ツール『vitals』v2.0が、2026年11月3日6時31分(日本時間)に公開されました。開発を手掛けるnyirsh氏(Davide Villa)らによると、今回のアップデートではソニー製のSSLライブラリを独自実装の『vitals-ssl』に置き換え、HTTPS通信の基盤となる仕組みが大きく変更されています。

『vitals』は、PS Vitaのブラウザーやゲーム、アプリが利用する古い通信機能を改善するための非公式ツールです。当サイトでは10月29日の記事で、v1.5におけるHTTPライブラリの独自実装化や、PlayStation Store(PS Store)への対応を紹介しました。今回はさらに、その下層で暗号化通信を処理するSSLライブラリにも大きな変更が加えられた形です。

●『vitals』v2.0配布ページ(GitHub Releases)
https://github.com/nyirsh/vitals/releases/tag/2.0

●『vitals』仕様・導入時の注意事項(GitHub)
https://github.com/nyirsh/vitals

SSLライブラリも独自実装に。HTTPとの役割分担を見直し

v1.5では、ソニー製のHTTPライブラリ『SceLibHttp』を独自の『vitals-http』に置き換える仕組みが導入されました。一方、今回のv2.0ではソニー製SSLライブラリも独自の『vitals-ssl』に置き換えられ、HTTPとSSLの両方が独自実装となっています。

これに合わせて『vitals-http』の内部構成も変更されました。これまではHTTPライブラリ側に暗号化通信を扱うMbed TLSが組み込まれていましたが、v2.0ではそれを取り除き、ほかのPS Vita向けモジュールと同じようにSSLライブラリを利用する方式に整理されています。暗号化通信の処理は『vitals-ssl』側が担当する形となり、基盤となるMbed TLSもバージョン4.2.0へ更新されました。

つまり、v1.5がHTTP通信を担当する部分の置き換えだったのに対し、v2.0ではHTTPSの暗号化処理を担う部分まで刷新されたことになります。なお、HTTPプロキシへの対応は直前のv1.6で追加されたもので、今回新たに搭載された機能ではありません。また、この内部変更によって接続できるWebサイトやゲームがどの程度増えたのかについては、現時点で実機による検証はできていません。

対応ファームウェアは3.60/3.65のみ。導入時は慎重に

『vitals』を利用できるのは、ファームウェア3.60または3.65でtaiHENが導入された改造済みのPS Vitaです。ソニーによる公式のシステムアップデートではなく、未改造の本体にそのままインストールできるものではありません。

導入時には、システム領域のvs0:やプラグイン設定ファイルのur0:tai/config.txt、証明書ストアなどに変更が加えられます。また、競合する『iTLS-Enso』『reAuth』『tls_fixer』が導入されている場合、関連するプラグインや設定を削除する処理も含まれています。『vitals』をアンインストールしても、こうした既存プラグインが自動的に再インストールされるわけではありません。

開発元は、現在の『iTLS-Enso』で問題なく通信できている場合、新しいという理由だけで『vitals』へ移行しないよう注意を呼び掛けています。導入を検討する際は本体や設定ファイルをバックアップし、プラグインを無効にして起動する方法や、トラブル発生時の復旧手順を確認しておく必要があります。

今回のv2.0は、PS Vitaの通信機能を支える内部構造に踏み込んだアップデートです。ただし、実際の接続状況や安定性がどこまで改善したかは別途検証が必要であり、現状の環境に不具合がなければ、急いで乗り換える必要はなさそうです。

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