『シェンムーI&II』の解析コードがGitHubで公開! ドリームキャスト版からPC版まで、長年の研究成果を一般公開

『シェンムーI&II』の解析コードがGitHubで公開! ドリームキャスト版からPC版まで、長年の研究成果を一般公開

ドリームキャストを代表する名作アドベンチャーゲーム『シェンムー』と『シェンムーII』。そのゲームプログラムを解析し、再実装するプロジェクト『Shenmue I & II』が、2026年10月26日にGitHubで一般公開されました。

公開したのは、2018年から『シェンムー』シリーズの解析に取り組んできた開発者のLemonHaze氏です。今回公開されたのは、オリジナルのゲームプログラムを解析し、C++で再構築したコードや関連ツールなど。ドリームキャスト版だけではなく、PC版や開発途中のバージョンなども研究対象となっています。

単純にゲームをPCで動かすことを目的としたものではなく、長年にわたって調べられてきた『シェンムー』の内部構造が、ほかの開発者も利用できる形で公開されたという点が、今回の大きなポイントです。

●『Shenmue I & II』:GitHub
https://github.com/LemonHaze420/shenmue

ドリームキャスト版だけじゃない! デモやベータ版なども解析対象に

今回のプロジェクトで興味深いのが、解析対象となっているバージョンの多さです。

GitHubの説明によると、ドリームキャスト版『シェンムー』『シェンムーII』に加えて、プロモーション用に制作された『What’s Shenmue』なども含まれています。また、LemonHaze氏は約14種類の実行ファイルを研究対象としていることを明らかにしています。

海外ゲーム専門サイト『SEGA SATURN, SHIRO!』が公開した開発者への取材記事では、さらに詳しい内容が紹介されています。それによると、ドリームキャスト版の日本・北米・欧州向けバージョンに加え、『シェンムーII』のXbox版、両作品のPC版、さらには開発途中のベータ版なども解析対象になっているとのことです。

なかでも注目したいのが、製品版だけではなく、デモやベータ版まで対象になっているところでしょう。これらを比較することで、製品版では変更された処理や、開発途中に存在していた機能などを調べる手がかりになる可能性があります。

ただし、約14種類の実行ファイルを研究しているからといって、それぞれのバージョンがすべて同じ完成度で再実装されているというわけではありません。

2018年から続く解析プロジェクト! 独自ツールを使いながら研究を継続

LemonHaze氏が『シェンムー』シリーズの解析を始めたのは2018年のことです。この年には『シェンムーI&II』のリマスター版が登場しており、同氏は当初、ゲームの改造に利用するツールの開発などを目的として解析を進めていました。

開発者への取材によると、解析には『IDA』や『Ghidra』といったツールが使われています。これらは、実行ファイルの中身を調べ、プログラムがどのような処理を行っているのかを分析するためのものです。

また、LemonHaze氏は独自に作成したスクリプトを使い、関数の解析や名前付けなどを効率化してきたと説明しています。こうした作業を長年積み重ねながら、PC版だけではなくドリームキャスト版などにも研究対象を広げていったそうです。

今回GitHubで公開されたC++コードも、もともとは2018年に始まったC言語のデコンパイルプロジェクトをベースにしたものです。

デコンパイルとは、ゲームの実行ファイルなどを解析し、人間が読みやすいソースコードとして再構築する技術のことです。元のプログラムがどのような仕組みで動いていたのかを調べることで、ゲームの改造や不具合の修正、別の環境への移植などにも応用できる可能性があります。

今回のプロジェクトでは、複数のバージョンに共通する処理をできるだけ共有しながら、オリジナルのゲームとの互換性を維持することも目指しています。

今回のコードを使えば『シェンムー』が新しいPC版として遊べるようになる?

さて、ここで気になるのが、今回公開されたコードを利用することで、『シェンムー』シリーズを新たな環境で遊べるようになるのかという点です。

GitHubにはWindows向けのビルド手順が掲載されており、『shenmue1_asi』『shenmue2_asi』というビルド対象も指定されています。

ただし、今回の公開は、完成した新しいPC移植版が配布されたという意味ではありません。公開されているコードを利用して、ゲームを最初から最後まで問題なくプレイできるのかについても、現時点では確認できていません。

そもそも『シェンムーI&II』には、2018年に発売された公式のPC版が存在しています。今回のプロジェクトは、そうした既存のPC版も含めて内部構造を研究し、プログラムを再実装していくという取り組みです。

また、GitHubで公開されているファイルには、ゲームの画像や音声といった素材は含まれていません。LemonHaze氏は、利用する際には正規のゲームを所有している必要があると明記しています。

あくまでも非公式の研究・改造プロジェクトであり、セガがオリジナルのソースコードを公式に公開したものではない点にも注意が必要です。

今後は新たな改造や移植につながる可能性も!?

今回のコード公開によって期待されるのが、今後の改造プロジェクトや新しい環境への移植、そしてゲームの保存研究への活用です。

これまでゲームプログラムの内部構造を調べるには、専門的な知識を持つ開発者が実行ファイルを解析する必要がありました。しかし、今回のように研究成果がコードとして共有されることで、ほかの開発者がその内容を参考にしたり、新たな機能の開発に取り組んだりすることも考えられます。

もちろん、実際に新しい移植版が登場するのか、どのような改造が実現するのかについては、まだわかりません。

それでも、ドリームキャスト時代の名作がどのような仕組みで作られていたのかを調べ、その成果を次の開発へつなげられるようになったことは、ファンにとっても興味深い出来事ではないでしょうか。

『シェンムー』シリーズの新たな可能性を広げる取り組みとして、今後の動向にも注目していきたいところです。

なお、デコンパイルや静的再コンパイルを利用した非公式移植については、当サイトの以下の記事でも詳しく紹介しています。

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