PlayStation 4向けのレースゲーム『WipEout Omega Collection』を、Windows PCでネイティブ動作させる非公式プロジェクト『wipeout_pc』。その開発者であるAbdelmoumenDeghbouche氏が、2026年10月22日に初のWindows向け実行パッケージを含むv0.2.0を公開しました。さらに同日、いくつかの不具合を修正したv0.2.1もリリースされています。
『wipeout_pc』は、PS4向けに発売された『WipEout Omega Collection』をPC上で動かすことを目指して開発が進められているプロジェクトです。今回初めて公開されたのは、Windows向けにビルド済みのプログラムをまとめたZIPファイル。これまでは自分で開発環境を整えてビルドする必要がありましたが、今回のリリースによって、必要なゲームデータを用意すれば比較的簡単に試せるようになりました。
PS4のゲームをPCで直接動かす仕組みとは?
『WipEout Omega Collection』は、反重力マシンを操りながら高速レースを繰り広げるシリーズの作品です。『WipEout HD』『WipEout HD Fury』『WipEout 2048』という3作品の内容が収録されています。
今回の『wipeout_pc』で興味深いのが、一般的なエミュレーターとは異なる仕組みを採用しているところです。
PS4と一般的なWindows PCは、どちらもx86-64というCPUアーキテクチャーを採用しています。『wipeout_pc』ではこの共通点を利用して、PS4版のゲームプログラムをPCのCPU上で直接実行する方式が採用されています。
ただし、CPUが同じアーキテクチャーだからといって、PS4向けのゲームがそのままWindowsで動くわけではありません。そこで、PS4固有のシステム機能を代替するランタイムを用意することで、ゲームを実行できるようにしています。
また、グラフィックの描画にはPS4エミュレーター『shadPS4』系のビデオコアを利用。PS4向けの描画処理を、PCで利用できるグラフィックスAPIの『Vulkan』へ変換しています。
つまり、PS4全体をエミュレーションするのではなく、ゲームのプログラムを直接動かしながら、必要な部分をPC向けの仕組みに置き換えているというわけです。
最大240fpsの設定にも対応! 描画やゲーム速度も改善
今回公開されたv0.2.0では、Windows向けの実行パッケージが用意されたことに加えて、ゲームの動作に関する様々な改善が行われています。
そのひとつが、ゲーム速度の修正です。以前のバージョンではCPUのクロックを直接参照していた影響で、ゲーム全体が本来よりも速く動いてしまう問題がありました。今回の更新ではこの問題が修正され、フレームレートに左右されず、正しい速度でゲームが進行するようになっています。
さらに、60fpsを超えるフレームレートにも対応。ランチャー側から最大240fpsまでの上限値を設定できるようになりました。ただし、これはあくまでも設定できる上限であり、実際のフレームレートはPCの性能やゲーム中の場面によって異なります。
グラフィック面では、これまで地形が正しく表示されていなかった「Metro Park」の描画を修正。加えて2560×1080や5120×2160といった解像度への対応や、チェッカーボード方式を使わないネイティブ4K描画なども実装されています。ただし、HUDの表示は現時点では16:9のままです。
また、同日に公開されたv0.2.1では、メニュー画面が本来の約4倍の速度で動いてしまう問題を修正。さらに、実際には機能しない描画解像度が設定画面に表示されていた問題なども改善されています。
Windows 10/11に対応! 実際に動かすには?
今回公開されたWindows向けパッケージは、GitHubのリリースページから入手することができます。
対応環境は以下の通りです。
- OS:Windows 10/11(64bit版)
- CPU:AVX命令に対応したプロセッサー
- GPU:Vulkan 1.3に対応したグラフィック機能
導入方法は、リリースページから『wipeout-windows.zip』をダウンロードして展開し、含まれている『WipEout.exe』を実行するというものです。
するとランチャーが起動するので、あらかじめ用意しておいたゲームデータのフォルダーを指定。あとは「PLAY」ボタンをクリックすることでゲームを起動できます。
ここで注意したいのが、今回のパッケージにはゲーム本体のデータが含まれていないという点です。利用するには、自分が所有するPS4版『WipEout Omega Collection』から抽出したゲームデータを別途用意する必要があります。
開発者がテストに使用しているのは、米国版のタイトルID「CUSA07671」で、ゲーム本体のバージョン1.00とアップデート1.07をひとつのフォルダーに統合したものです。ランチャーでは、『eboot.bin』が含まれているフォルダーを指定します。
なお、プログラムにはデジタル署名が付けられていないため、実行時にWindowsのセキュリティ警告が表示される場合があります。配布ファイルの安全性を独立して検証したものではないため、導入する場合はその点も理解しておく必要があります。
まだ開発途中ながら、今後の進化にも期待!
『wipeout_pc』は、現時点ではまだ開発途中のプロジェクトです。
開発者によると、『WipEout HD』や『WipEout 2048』のレースやメニュー画面などは動作しているものの、すべてのコースやイベント、ゲームモードが検証されているわけではありません。
また、PS4 Proモードについても引き続き開発が進められている段階です。今回のv0.2.1では起動直後に発生していたクラッシュのひとつが修正されましたが、別の問題によって処理が停止するため、まだ利用できる状態にはなっていません。
もちろん、今回の『wipeout_pc』はソニー・インタラクティブエンタテインメントなどが提供する公式PC版ではなく、個人開発による非公式のプロジェクトです。そのため、ゲームの完全な動作が保証されているわけではありません。
それでも、PS4向けのゲームをPC上で直接実行するという試み自体が、なかなか興味深いものです。今回、Windows向けの実行パッケージが登場したことで、これまで以上に多くのユーザーが動作を試せる環境が整いました。今後の開発によって、どこまで完成度が高められていくのか注目したいところですね。


















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