1995年に登場した、PowerPCを2基搭載する異色のパソコン『BeBox』。その動作環境を再現するエミュレーター『BeBox emulator』の公開版が、2026年10月18日に海外エミュレーター専門サイトのEmu-Franceで紹介されました。
開発したのは、Cal2の名前でも活動しているDavid Raingeard氏です。Windows上で当時のOSである『BeOS R4.5.2』を動作させられるほか、懐かしの3Dアクセラレーター『3dfx Voodoo Graphics』のエミュレーションにも対応しているのが特徴です。
●『BeBox emulator』公式ダウンロードページ
https://bebox-emu.fr/en/download.html
幻のコンピューター『BeBox』を現代のPCで再現
『BeBox』は、元Apple幹部のジャン=ルイ・ガセー氏らが設立したBe Inc.によって開発され、1995年に発売されたパソコンです。
最大の特徴は、当時としては珍しいデュアルプロセッサー構成を採用していたことです。PowerPC 603(66MHz)を2基搭載したモデルに加え、後にはPowerPC 603e(133MHz)を2基搭載したモデルも登場しました。
また、独自のOSである『BeOS』を採用していたことも特徴のひとつです。マルチタスクやマルチメディア処理を重視した設計が特徴でしたが、商業的には大きな成功を収められず、1997年に本体の生産が終了しています。

今回公開された『BeBox emulator』は、こうした『BeBox』のハードウェアを現代のPC上で再現するためのソフトウェアです。
実機と同じ2種類のデュアルPowerPC構成を再現できるほか、16~256MBのメモリーにも対応。PowerPC用の『BeOS R4.5.2』を動作させることができます。
単に『BeOS』風のデスクトップ画面を再現するのではなく、実機の起動ROMやハードウェアの動作をエミュレートすることで、当時のコンピューター環境を再現できるところがポイントです。

3dfx Voodoo Graphicsにも対応! 懐かしの3Dゲームも動作
『BeBox emulator』で特に興味深いのが、グラフィックス機能の充実ぶりです。
通常の画面表示には、4MBのビデオメモリーを搭載した『Cirrus Logic GD5434』を再現。専用のドライバーパッチを利用することで、最大1024×768ドット、32bitカラーの画面表示にも対応します。
さらに、1990年代のPCゲームファンにはおなじみの3Dアクセラレーター『3dfx Voodoo Graphics』もエミュレートできます。
こちらは、当時3Dゲームなどで利用されていた『Glide』に加え、『Mesa』を経由したOpenGLにも対応しています。
開発者の公式サイトでは、実際に『Virtua Racing』や『Mage Slayer』のGlide対応版を動作させているスクリーンショットも公開されています。3Dグラフィックスだけでなく、ゲーム中のサウンドも再現できるとのことです。
なお、3dfx Voodoo Graphicsの利用には、別途配布されているBeOS向けのドライバーやライブラリーを導入する必要があります。また、すべての3Dゲームの動作が保証されているわけではなく、実際の動作速度や互換性については当サイトでは検証していません。
このほか、サウンド機能では『Crystal CS4231A』を再現しており、当時のBeOSアプリケーションやゲームの音声を再生できます。
ストレージ関連ではIDEやSCSIに対応し、ISOやCUE形式のディスクイメージを利用可能。動作中のCD交換やSCSIデバイスからの起動もサポートしています。
ネットワークについても『NE2000』互換カードをエミュレートしており、適切に設定することでBeOSからネットワークを利用できます。さらに、ホストPCとのフォルダー共有機能も用意されているため、現代のPCと当時のOS環境との間でファイルをやり取りすることも可能です。
WindowsとBeOS向けに公開! 利用には実機のROMなどが必要
『BeBox emulator』は、公式サイトでWindows版とBeOS PowerPC版が公開されています。
Windows版では、PowerPCのコードを実行中にx86コードへ変換する動的変換技術を利用しており、エミュレーションの高速化を図っています。また、実機相当の速度で動作させるモードのほか、速度制限を解除するモードも用意されています。
操作面では、仮想マシンの一時停止や再開、ディスクイメージの作成などにも対応。エミュレーターの状態を保存し、次回起動時に作業を再開することもできます。
ただし、実際に『BeOS』を動作させるためには、エミュレーター本体とは別に、実機から取得した起動ROMのデータとPowerPC版『BeOS R4.5.2』のインストールメディアが必要になります。これらはエミュレーターには同梱されていないため、ダウンロードするだけですぐに利用できるわけではありません。
なお、同時期には『Haiku』上で動作する別の『BeBox』エミュレーターも紹介されていますが、今回のDavid Raingeard氏による『BeBox emulator』とは異なるプロジェクトです。
『BeBox』は生産期間が短く、現在では実機に触れる機会も限られているコンピューターです。
今回のエミュレーターは、そうした珍しいハードウェアの環境を現代のPCで再現できるという点で興味深い存在といえます。独自の進化を遂げた『BeOS』の操作感だけでなく、当時の3Dゲームやマルチメディア環境まで体験できるというのは、レトロPCファンにとって魅力的なポイントではないでしょうか。















ダンジョンズ&ドラゴンズ ビジュアル大全 半世紀を超えるその歴史とアート









GameSir Pocket Taco