GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!

GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!

エミュレーターやレトロゲーム互換機などを評価する基準として、入力のラグや画面表示の美しさ、ソフトがちゃんと動くのかなどいろいろな基準があります。今回ご紹介するのは、それらとはまた違ったアプローチによるものです。

今回の調査のきっかけとなったのは、最も正確なゲームボーイアドバンスエミュレーターを謳い文句にした『SkyEmu』の登場でした。こちらでテストが行われていたのが、最もエミュレーションするのが難しいといわれている10本のゲームボーイアドバンスのソフトです。

●エミュレートが困難なゲームボーイアドバンスのカートリッジ
https://github.com/skylersaleh/SkyEmu/blob/main/docs/Accuracy.md

そこで、実際にそれらのカセットを集めてみて、エミュレーターと互換機や周辺デバイスなどでチェックを行ってみることにしました。

全体的な評価をするには、先に挙げたようなものもチェック対象にするべきですが、どうしても主観的なものになってしまいがちです。今回のチェック方法は客観的に数値化できるところが特徴です。もちろんこの手法では、対象ソフト以外に動作についてはまったくわからず、その再現性についても不明です。あくまでも、チェック方法のひとつとして捕らえていただければ幸いです。

目次

エミュレーションが難しい10本のソフト

というわけで、まずはエミュレーションをするのが難しいといわれている10本のソフトと、そのチェックポイントをご紹介していきます。

GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!

第1の刺客:AGSエージングカートリッジ

『AGSエージングカートリッジ(AGS Aging Cartridge)』は、任天堂が作ったプログラムでハードウェアの経年劣化(エージング)をチェックするために使われていたといわれています。こちらのソフトを起動すると、MEMORY、LCD、TIMER、DMA、COM、KEY INPUT、INTERRUPTといった項目でテストが行われます。

このソフトが注目を浴びたのは、ほとんどのゲームボーイアドバンスエミュレーターがこのテストをクリアすることができないというところでした。

ちなみにソフトを起動時にL+Rを押しっぱなしにするとメニューが表示され、そこでも個別のチェックがいろいろと行えるようになっています。

GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
▲すべてのテストに合格したときの表示。
GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
▲スペインからひと月以上かけて取り寄せたソフト。これ自体はコレクターアイテムではありません。
関連リンク

●AGS Aging Cartridge – The Cutting Room Floor
https://tcrf.net/AGS_Aging_Cartridge

●AGS Aging Cartridge Test Decompilation : EmuDev
https://www.reddit.com/r/EmuDev/comments/kv0osx/ags_aging_cartridge_test_decompilation/

●GitHub – DenSinH/AGSTests: A (semi-)decompilation of the AGS tests in one central place
https://github.com/DenSinH/AGSTests

第2の刺客:ハローキティコレクション ミラクルファッションメーカー

イマジニアより2001年に発売された、コスチュームコーディネートアドベンチャーゲームの『ハローキティコレクション ミラクルファッションメーカー』。エミュレーションが難しいゲームの1本に上げられており、エミュレーターや互換機によってはゲームが起動すらしない場合があります。

GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
▲ゲーム画面が表示されるかどうかテスト。
GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!

第3の刺客:Star Wars: Episode II: Attack of the the Clones

海外でのみ発売された『Star Wars: Episode II: Attack of the the Clones』。本作のチェックポイントは、ゲームスタート後におなじみのテーマソングと共に流れるオープニングロールのテキストです。うまく処理できないソフトやハードでは、一部のテキストが切れた状態で表示されます。

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▲「Solar Systems~」のテキストに線が入ったように見えてしまうかチェック。
GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!

第4の刺客:千年家族

任天堂から2005年に発売された家族観察シミュレーションゲームの『千年家族』。内蔵時計機能を利用して、ゲームをプレイしていない間もカウントされ時間が進むというのがウリですが、それがエミュレーターや互換機では扱いが難しいようです。

こちらのソフトのチェックポイントは2ヵ所。ひとつは起動時で、うまく処理できない場合は「時計機能がこわれている可能性があります」というメッセージが表示されます。また、ゲーム自体が起動してもRTC(リアルタイムクロック)機能に対応していない場合、ゲームプレイ中しか時間が進みません。

GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
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▲正常に動作する場合は、再度ゲームを起動したときに進んだ時間が表示されます。
GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!

第5の刺客:The Legend of Zelda – Classic NES Series

日本では、『ファミコンミニ05 ゼルダの伝説1』として任天堂より2004年に発売されたソフトですが、その北米版の『The Legend of Zelda – Classic NES Series』がチェックソフトのひとつとしてあげられています。日本版は問題なく動く場合も、なぜか北米版は起動できないということがあるようです。

GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
▲写真左が日本版のファミコンミニ05 ゼルダの伝説1』。今回取り上げられているのは、その北米版の『The Legend of Zelda – Classic NES Series』(写真右)です。

第6の刺客:James Pond Codename Robocod

2003年にMillennium Interactiveより発売された、日本未発売のソフト『James Pond Codename Robocod』。こちらもソフトやハードによっては、起動すら出来ないものがあるようです。

GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
▲ちなみに、今回日本のアマゾンで購入したものは未開封でした。ただし、到着までひと月ほど掛かっています。

第7の刺客:Pinball Tycoon

海外のみで発売されたピンボールソフトの『Pinball Tycoon』。本作のチェックポイントは、ゲーム中に表示される画面下部の電光表示。ソフトやハードによっては、この部分が黒いままの状態になっているなど、うまく表示できないものがあります。

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▲「5000」と表示されている電光表示板のような部分が、うまく表示できているかチェックをします。
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▲こちらも日本のアマゾンで注文して、未開封の状態で届きました。

第8の刺客:沈黙の遺跡~エストポリス外伝~

対象となっていたのは、北米で発売された『Lufia – The Ruins of Lore』というゲームでしたが、その日本版である『沈黙の遺跡~エストポリス外伝~』も同様のチェックが行えるところからピックアップしています。

チェック項目は電源を入れた後に流れるデモの文字。正常の場合はグラデーションが掛かったように表示されますが、うまく表示できないソフトやハードが存在しています。

GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
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▲海外ソフトを入手するのは何かとめんどいのですが、日本版でも同様のチェックが行えてひと安心。

第9の刺客:Iridion 3D

海外でのみ発売されたシューティングゲームの『Iridion 3D』。こちらのテスト項目は、ゲームオーバー時の表示。3Dでぐるぐると回転する演出になっていますが、そのときの表示がうまくできないソフトやハードが存在しています。

GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
▲ゲームオーバー画面を出さなければいけないので、非常に検証が面倒だったソフト。残機が5機くらいある上に、シューティングゲームでわざと死ぬのも、意外と時間が掛かることを思い知らされました。

第10の刺客:Digimon Racing(EU版)

日本でも『デジモンレーシング』として発売されたソフトですが、対象となるのはそのヨーロッパ版の『Digimon Racing』です。日本版や北米版では問題ないものの、なぜかヨーロッパ版のみロゴが表示された後でゲームが進まなくなるソフトやハードが一部存在しています。

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▲このロゴマークが表示された後に、フリーズするものがあります。
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 ▲最初間違えて北米を買ってしまったものの、必要なのはEU版だったことを知り買い直したソフト。型番に「EUR」や「USA」と書かれており見分けがつきます。

ゲームボーイアドバンスエミュレーターの性能をチェック

まずはこのテストのメインターゲットともいえる、ゲームボーイアドバンスのエミュレーターをピックアップしてテストしてみました。ちなみに、本来なら『AGSエーゲジングカートリッジ』の割合を増やすべきですが、ソフトが10本あるのとややこしくなってしまうため、それぞれ10点ずつという単純計算でスコアを算出しています。

SkyEmu

●スコア:90点

●バージョン:1.0

●公式サイト
https://github.com/skylersaleh/SkyEmu

こちらの記事を作るきっかけとなったエミュレーターの『SkyEmu』。公式のGithubではすべてのテストに通過したと書かれていましたが、実際に試してみたところ『Star Wars: Episode II: Attack of the the Clones』のみ、表示がおかしくなってしまいました。

最初にテストしたとき、スタンドアロン版がうまく動かなかったため(同一フォルダにROMなどを入れておく必要があった)、今回はウェブ版でテストを実施しています。このウェブ版のすごいところは、『千年家族』のように時計機能を利用するゲームにもしっかりと対応しているところです。

●SkyEmuのウェブ版
https://web.skyemu.app/

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▲『AGSエーゲジングカートリッジ』はパス。
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▲オープニングスクロールの処理自体はうまくできているものの、なぜか画面がガビガビになっているところがいくつかあったので、今回はNGに。
AGSエージングカートリッジ
ハローキティコレクション
Star Wars: Episode II×
千年家族
The Legend of Zelda
James Pond Codename Robocod
Pinball Tycoon
沈黙の遺跡
Iridion 3D
Digimon Racing

Boycott Advance

●スコア:10点

●バージョン:0.2.8

●公式サイト
https://www.bannister.org/software/ba.htm

最新バージョンは0.4.3ですが、マック版しかリリースされていないようなので、少し古めの0.2.8でテストを行いました。今回テスト中では、10点というかなり低めの結果に。『ハローキティコレクション』と『Star Wars: Episode II』はゲームが起動せず。『The Legend of Zelda』と『千年家族』は、それぞれ起動時にエラーメッセージが表示されます。

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▲途中でフリーズ。
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▲『千年家族』は、時計機能が使えずエラーに。
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▲『The Legend of Zelda』も起動時にエラー画面が表示。
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▲『Pinball Tycoon』は、スコア自体は表示出来ているものの、電光表示と台の間の黒いラインがない。
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▲『Iridion 3D』のゲームオーバー画面は、画像に乱れあり。

AGSエージングカートリッジ×
ハローキティコレクション×
Star Wars: Episode II×
千年家族×
The Legend of Zelda×
James Pond Codename Robocod×
Pinball Tycoon×
沈黙の遺跡
Iridion 3D×
Digimon Racing×

NanoBoyAdvance

●スコア:80点

●バージョン:1.6

●公式サイト
https://github.com/nba-emu/NanoBoyAdvance

ゲームボーイアドバンスエミュレーターの中では、『SkyEmu』とともに比較的いいスコアを出していたのが、こちらの『NanoBoyAdvance』です。全般的に動作が軽快で、エミュレーターとしてはかなり扱いやすい方だといえます。

NG項目はふたつで、『ハローキティコレクション』は画面の乱れが発生。『千年家族』は起動時にエラーメッセージが表示されます。

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▲『ハローキティコレクション』では画面が乱れます。
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▲『千年家族』は起動時にエラー。
AGSエージングカートリッジ
ハローキティコレクション×
Star Wars: Episode II
千年家族×
The Legend of Zelda
James Pond Codename Robocod
Pinball Tycoon
沈黙の遺跡
Iridion 3D
Digimon Racing

Mednafen

●スコア:30点

●バージョン:1.29.0

●公式サイト
https://mednafen.github.io/

『POLYMEGA』などにも採用されているマルチエミュレーターの『Mednafen』。比較的優秀なエミュレーターという印象がありましたが、ことゲームボーイアドバンスのエミュレーターとしてはいまひとつの結果となりました。

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GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
▲『Star Wars: Episode II: Attack of the the Clones』は、オープニングスクロールがうまく表示できず、ラインが入っています。
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▲『The Legend of Zelda』も起動時にエラー画面が表示。
GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
▲『沈黙の遺跡』は、テキストがうまく表示できず、ラインが通過するように見えます。
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▲『Iridion 3D』はゲームオーバー画面で、画像の乱れが派生。
AGSエージングカートリッジ×
ハローキティコレクション
Star Wars: Episode II×
千年家族×
The Legend of Zelda×
James Pond Codename Robocod
Pinball Tycoon×
沈黙の遺跡×
Iridion 3D×
Digimon Racing

mGBA

●スコア:60点

●バージョン:0.9.3

●公式サイト
https://mgba.io/

今回は中華エミュ機は対象から外していますが、その理由がほとんどの場合この『mGBA』が採用されているからです。エミュレーターとしては優秀ではあるものの、いくつかの欠点も見られ、可もなく不可もなくといったところといえるでしょう。

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GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
▲『Star Wars: Episode II: Attack of the the Clones』は、オープニングスクロールがうまく表示できず、ラインが入っています。
GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
▲『沈黙の遺跡』は、テキストがうまく表示できず、ラインが通過するように見えます。
GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
▲『Iridion 3D』はゲームオーバー画面で、画像の乱れが派生。
AGSエージングカートリッジ×
ハローキティコレクション
Star Wars: Episode II×
千年家族
The Legend of Zelda
James Pond Codename Robocod
Pinball Tycoon
沈黙の遺跡×
Iridion 3D×
Digimon Racing

no$gba

●スコア:30点

●バージョン:3.05

●公式サイト
https://www.nogba.com/

全体的にパフォーマンスが低めな印象の『no$gba』。『James Pond Codename Robocod』は国を選択後に起動するものの、音しか聞こえず画面は真っ暗のまま。『The Legend of Zelda』は起動せず、『千年家族』は起動時にエミュレーター自体がクラッシュしてしまいます。

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▲『沈黙の遺跡』のテキスト表示がうまく出来ません。
GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
▲『Pinball Tycoon』では、電光表示がぐちゃぐちゃに。
AGSエージングカートリッジ×
ハローキティコレクション×
Star Wars: Episode II
千年家族×
The Legend of Zelda×
James Pond Codename Robocod×
Pinball Tycoon×
沈黙の遺跡×
Iridion 3D
Digimon Racing

VisualBoyAdvance-M

●スコア:20点

●バージョン:3.05

●公式サイト
https://board.vba-m.com/

今回のテストでは、全般的にあまり良くない結果となった『VisualBoyAdvance-M』。『ハローキティ』は起動せず。『千年家族』は、起動時にエラーメッセージが表示されます。

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▲『Star Wars: Episode II: Attack of the the Clones』は、オープニングスクロールがうまく表示できず、ラインが入っています。
GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
▲『千年家族』は起動時にエラー。
GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
▲『Pinball Tycoon』では、電光表示が表示されず。
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▲『沈黙の遺跡』のテキスト表示がうまく出来ません。
GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
▲『Iridion 3D』はゲームオーバー画面で、画像の乱れが派生。
AGSエージングカートリッジ×
ハローキティコレクション×
Star Wars: Episode II×
千年家族×
The Legend of Zelda
James Pond Codename Robocod
Pinball Tycoon×
沈黙の遺跡×
Iridion 3D×
Digimon Racing×

FPGAのゲームボーイアドバンス互換機の性能をチェック

FPGA部門としてチョイスしたのが、『MiSTer FPGA』と『Analogue Pocket』です。というか、現状はこのふたつしか存在しないといっていいかもしれません。『Analogue Pocket』は、素の状態以外にも、openFPGAというプラットフォームにも対応しており、そちらで動かせるGBAコアについてもテストを行っています。

MiSTer FPGA(GBAコア)

●スコア:70点

●バージョン:22.08.12

●公式サイト
https://github.com/MiSTer-devel/GBA_MiSTer

MiSTer FPGAのゲームボーイアドバンスコアは、比較的良好といえますが、『Star Wars: Episode II』と『沈黙の遺跡』、『Iridion 3D』の3本は、チェックポイントでうまく表示することができませんでした。

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▲『Star Wars: Episode II: Attack of the the Clones』は、オープニングスクロールがうまく表示できず、ラインが入っています。
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▲『沈黙の遺跡』のテキスト表示がうまく出来ません。
GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
▲『Iridion 3D』はゲームオーバー画面で、画像の乱れが派生。
AGSエージングカートリッジ
ハローキティコレクション
Star Wars: Episode II×
千年家族
The Legend of Zelda
James Pond Codename Robocod
Pinball Tycoon
沈黙の遺跡×
Iridion 3D×
Digimon Racing

Analogue Pocket(アナログポケット)

●スコア:90点

●バージョン:1.1β

●公式サイト
https://www.analogue.co/

数年掛けて磨き上げられていっただけのことはあり、かなり良好な数字をたたき出していたのが『Analogue Pocket(アナログポケット)』です。唯一惜しかったのが、『Pinball Tycoon』の表示が少し上側に寄ってしまっているところです。

GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
▲『Pinball Tycoon』の電光表示が、やや上側に表示されています。
AGSエージングカートリッジ
ハローキティコレクション
Star Wars: Episode II
千年家族
The Legend of Zelda
James Pond Codename Robocod
Pinball Tycoon×
沈黙の遺跡
Iridion 3D
Digimon Racing

Analogue Pocket(openFPGAのGBAコア)

●スコア:60点

●バージョン:v1.0.0

●公式サイト
https://github.com/spiritualized1997/openFPGA-GBA

当初は『Analogue Pocket(アナログポケット)』のジェイルブレイク版かと思われていた、openFPGAベースのGBAコア。同じハードで動いているため性能もまったく同じかと思いきや、通常の『Analogue Pocket(アナログポケット)』とは意外と差があることがわかりました。

GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
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▲『ハローキティコレクション』では画面が乱れます。
GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
▲オープニングスクロールの処理自体はうまくできているものの、なぜか画面がガビガビになっているところがいくつかあったので、今回はNGに。
GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
▲素の状態の『Analogue Pocket』同様に、『Pinball Tycoon』の電光表示がやや上側に表示されています。
AGSエージングカートリッジ
ハローキティコレクション×
Star Wars: Episode II×
千年家族×
The Legend of Zelda
James Pond Codename Robocod
Pinball Tycoon×
沈黙の遺跡
Iridion 3D
Digimon Racing

ゲームボーイアドバンス互換機の性能をチェック

ゲームボーイアドバンスの互換機としては、『レトロフリーク』と中華エミュ機でありながら互換機としても使える『ANBERNIC K101 PLUS』などをピックアップ。それに加えて、互換機と呼んでいいのかわからないものの、ゲームボーイアドバンスと互換性のある任天堂のゲームキューブ用『ゲームボーイプレーヤー』と『ニンテンドーDS』も選んでみました。

ゲームボーイプレーヤー(ゲームキューブ)

●スコア:100点

ゲームキューブのオプションとして発売されていた、『ゲームボーイプレーヤー』。全てのテスト項目をクリアし、互換性の高さはさすが任天堂の商品といったレベルです。

オリジナルの『ゲームボーイプレーヤー スタートアップディスク』ではなく、『ゲームボーイインターフェイス』というツールを利用することで、ラグを回避する方法も編み出されていますが、今回はオリジナルのディスクを使用しています。

GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
AGSエージングカートリッジ
ハローキティコレクション
Star Wars: Episode II
千年家族
The Legend of Zelda
James Pond Codename Robocod
Pinball Tycoon
沈黙の遺跡
Iridion 3D
Digimon Racing

ニンテンドーDS

●スコア:100点

ニンテンドーDSも、ゲームボーイアドバンスのソフトが遊ぶことができますが、やはりこちらも一切の手抜かりは無いといった感じで、テスト結果も満点となっています。『ゲームボーイプレーヤー』と合わせて、任天堂の凄さを改めて思い知らされた感じがします。

GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
AGSエージングカートリッジ
ハローキティコレクション
Star Wars: Episode II
千年家族
The Legend of Zelda
James Pond Codename Robocod
Pinball Tycoon
沈黙の遺跡
Iridion 3D
Digimon Racing

レトロフリーク

●スコア:30点

●バージョン:2.7

●公式サイト
https://www.cybergadget.co.jp/retrofreak/

サイバーガジェットの公式サイトによると、『レトロフリーク』のゲームボーイアドバンスで使われているエミュレーターはVisualBoyAdvance-M(プライマリ SVN と VBA-Nextフォークの両方)とのこと。元々のエミュレーターのスコアがそれほど高くありませんでしたが、やはりこちらも結果はいまひとつとなっています。

●レトロフリークで使われているエミュレーター
https://www.cybergadget.co.jp/support/retrofreak/agreement/software.html

GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
▲『AGSエージングカートリッジ』は途中でフリーズ。
GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
▲『Star Wars: Episode II: Attack of the the Clones』は、オープニングスクロールがうまく表示できず、ラインが入っています。
GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
▲『千年家族』は、ゲーム自体は起動するものの、そもそも時計機能がないため自動で日付がカウントされず。
GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
▲『Pinball Tycoon』は、電光表示が真っ黒のまま。
GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
▲『沈黙の遺跡』のテキスト表示がうまく出来ません。
GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
▲『Iridion 3D』はゲームオーバー画面で、画像の乱れが派生。
GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
▲『Digimon Racing』は、この画面から進まず。
AGSエージングカートリッジ×
ハローキティコレクション
Star Wars: Episode II×
千年家族×
The Legend of Zelda
James Pond Codename Robocod
Pinball Tycoon×
沈黙の遺跡×
Iridion 3D×
Digimon Racing×

ANBERNIC K101 PLUS

●スコア:60点

●公式ストアのANBERNIC K101 PLUS販売ページ
https://jp.anbernic.com/products/anbernic-k101?sca_ref=2102588.WgMVvjuMPv

中華エミュ機としてだけではなく、オリジナルのカセットもそのまま差して遊ぶことができる『ANBERNIC K101 PLUS』。エミュレーターを動かすハードとしての性能は、PCエンジンでもややしんどいレベルですが、ゲームボーイアドバンスに関してはまずまずといったところです。

GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
▲『AGSエージングカートリッジ』は途中でフリーズ。
GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
▲『Pinball Tycoon』は、電光表示が真っ黒のまま。
GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
▲『沈黙の遺跡』のテキスト表示がうまく出来ません。
AGSエージングカートリッジ×
ハローキティコレクション×
Star Wars: Episode II
千年家族
The Legend of Zelda
James Pond Codename Robocod
Pinball Tycoon×
沈黙の遺跡×
Iridion 3D
Digimon Racing

(GBA用互換機) ポケットHDMIアドバンス for GBA

●スコア:40点

●公式サイト
https://www.columbuscircle.co.jp/products/?id=1650937721-823464&ca=22

●アマゾンの販売ページ
https://amzn.to/3QX33qt

互換機が少し足りないということで、急遽追加で入手したのが、こちらの『(GBA用互換機) ポケットHDMIアドバンス for GBA』。評判も若干微妙な機種ですが、大方の予想通りテストでもさほどいい結果はでませんでした。『ハローキティコレクション』はゲームが起動せず。『Iridion 3D』は、メニューからスタートを選ぶとフリーズします。

GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
▲『Star Wars: Episode II: Attack of the the Clones』は、オープニングスクロールがうまく表示できず、ラインが入っています。
GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
▲『Pinball Tycoon』は、電光表示が真っ黒のまま。
GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
▲『沈黙の遺跡』のテキスト表示がうまく出来ません。
GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!
▲『Iridion 3D』は、この画面が出た後キリキリとしたサウンドが流れ続け、ゲーム画面は真っ黒のままに。
AGSエージングカートリッジ×
ハローキティコレクション×
Star Wars: Episode II×
千年家族
The Legend of Zelda
James Pond Codename Robocod
Pinball Tycoon×
沈黙の遺跡×
Iridion 3D×
Digimon Racing

AGSエージングカートリッジのみの結果

『AGSエージングカートリッジ』がチェックの途中でフリーズしたのは、『Boycott Advance』、『レトロフリーク』、『ANBERNIC K101 PLUS』の3つ。傾向としては、エミュレーターやエミュレーターがベースの互換機は弱いといった印象です。

SkyEmu
Boycott Advance×
NanoBoyAdvance
Mednafen×
mGBA×
no$gba×
VisualBoyAdvance-M×
MiSTer FPGA(GBAコア)
Analogue Pocket
Analogue Pocket(openFPGAのGBAコア)
ゲームボーイプレーヤー(ゲームキューブ)
ニンテンドーDS
レトロフリーク×
ANBERNIC K101 PLUS×
(GBA用互換機) ポケットHDMIアドバンス for GBA×

番外編:マルチカセット

基本的に使用する本体側の性能に依存する『EverDrive』などのマルチカセットですが、唯一の例外が『千年家族』です。『EverDrive GBA Mini』は、本来リアルタイムクロック(RTC)もサポートしているはずですが、残念ながら実機のゲームボーイアドバンスで動かしてもうまく動作しませんでした。

●EverDrive GBA Mini公式サイト
https://krikzz.com/our-products/cartridges/everdrive-gba-mini.html

GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!

総合ランキング

ということで、今回テストした15種類のエミュレーターや互換機に点数を付けていきましたが、結果はこのような形になりました。ある程度予測は付いていたものの、改めて見返してみるとなるほどなと思わせる部分もありますね。

順位名前得点
1ゲームボーイプレーヤー(ゲームキューブ)100点
1ニンテンドーDS100点
3SkyEmu90点
3Analogue Pocket90点
5NanoBoyAdvance80点
6MiSTer FPGA(GBAコア)70点
7mGBA60点
7Analogue Pocket(openFPGAのGBAコア)60点
7ANBERNIC K101 PLUS60点
10(GBA用互換機) ポケットHDMIアドバンス for GBA40点
11Mednafen30点
11no$gba30点
11レトロフリーク30点
14VisualBoyAdvance-M20点
15Boycott Advance10点