PS4向けに発売された『God of War III Remastered(ゴッド・オブ・ウォーIII リマスタード)』をPC上で動作させる非公式プロジェクト「gow3_pc」の最新版v2.3.0が、2026年10月15日に公開されました。
FelipePrado0氏らが開発を進めているこのプロジェクトですが、今回のアップデートではゲーム中のテクスチャが変色する不具合や、Steam Deckでキャラクターが正しく表示されない問題などが修正されています。さらに、画質やコントローラーの振動を調整する機能も追加され、より快適にプレイできるよう改善が進められています。
●God of War III Remastered for PC 2.3.0
https://github.com/FelipePrado0/gow3_pc/releases/tag/windows-v2.3.0
テクスチャの変色やSteam Deckでの描画不具合を修正
今回のアップデートで大きく改善されたのが、ゲーム中のグラフィックに関する不具合です。
これまでのバージョンでは、しばらくプレイを続けていると、地面や岩などのテクスチャが黄色やオレンジ色、あるいは白色に変化してしまう問題が報告されていました。特にポセイドンとの戦闘後の地面や、ガイアの体内にある岩などで発生していたものです。
原因は、GPUから読み出したデータがゲームのメモリに書き戻された際、テクスチャのキャッシュに変更が正しく伝わっていなかったことでした。今回の修正によって、こうしたテクスチャが正常に更新されるようになっています。
また、これまでは不具合を回避するために「Deferred GPU readbacks」という設定を無効にする方法がありましたが、今回の修正によって有効のままでも正常に描画できるようになりました。
開発元によると、この設定を有効にした場合、無効にした場合と比較して、負荷の高い場面では約2倍の速度で動作することがあるそうです。ただし、これは設定の違いによる比較であり、今回のアップデートによってすべての環境で性能が2倍になったという意味ではありません。
さらに、Steam DeckをはじめとするRADV環境で発生していた、主人公クレイトスのモデルやロゴ、文字などの表示が崩れる問題も修正されました。RADVはLinux環境でAMD製GPUを動作させるためのVulkanドライバーで、Steam Deckでも使用されています。
このほか、AMD製の内蔵GPUとNVIDIA製GPUを搭載するノートPCで、ゲーム画面が真っ黒になってしまう問題にも対処されています。
画質やコントローラーの振動を細かく調整可能に
今回のv2.3.0では、不具合の修正だけではなく、新たな設定項目も追加されています。
まず、グラフィック設定には「異方性フィルタリング」が追加されました。これは斜め方向から見た地面や壁などのテクスチャを、より鮮明に表示するための機能です。ゲーム標準の設定に加えて、2倍、4倍、8倍、16倍から選択できるようになっています。
コントローラーの振動についても、強さを0~100パーセントの範囲で調整できるようになりました。振動を完全に無効にすることはもちろん、好みに合わせて弱めたり、最大に設定したりすることが可能です。
また、F12キーを押すだけでゲーム画面をPNG形式で保存できるスクリーンショット機能も追加されています。保存される画像には移植版独自のオーバーレイ表示が含まれないため、ゲームそのものの画面を記録することができます。
これらの新機能については、Windows 11とRadeon RX 6700 XTを組み合わせた環境で動作確認が行われています。一方、Linux環境でのゲーム内検証は、今回のリリース時点では完了していません。
PS4版をベースにWindowsやLinuxで動作させる非公式プロジェクト
そもそも「gow3_pc」は、PS4版『God of War III Remastered』をWindowsやLinux上で動作させることを目指している非公式のPC移植プロジェクトです。
一般的なゲーム機のエミュレーターとは少し仕組みが異なっており、PS4とPCが同じx86-64アーキテクチャを採用していることを利用して、ゲームのプログラムをPCのCPUで直接実行しています。
一方、PS4独自のシステム機能については専用のランタイムで置き換え、グラフィックの処理にはPS4エミュレーター「shadPS4」由来の技術を利用しています。これによって、PS4向けの描画命令などをPCで利用できるVulkanへと変換しているのです。
対応環境はWindows 10/11に加え、Linux向けにもAppImage形式の実験的なバージョンが用意されています。Steam Deckで採用されているSteamOSも対象となっており、今回の更新では実機での描画修正も確認されています。
ただし、このプロジェクトはソニー・インタラクティブエンタテインメントやSanta Monica Studioとは関係のない非公式なものです。また、配布されるファイルにゲーム本体は含まれておらず、利用するには所有するPS4版のゲームデータを別途用意する必要があります。
まだ残されている不具合も
今回のアップデートによってさまざまな問題が改善されていますが、すべての環境で完全に動作するようになったわけではありません。
たとえば、120fpsや240fpsといった高フレームレート設定では、特定の場所で先に進めなくなったり、ボタン連打を要求される場面で操作が正常に反映されなかったりする問題が残っています。こうした場合には、一時的にフレームレートを60fpsへ変更することが回避策として案内されています。
また、1080p以外の解像度ではテクスチャが正常に表示されなかったり、画面が明るくなりすぎたりする問題も報告されています。今回のテクスチャ修正についても、開発元が検証したのは1080p環境であり、すべての解像度で解決したわけではありません。
このほか、一部のIntel製GPUで正常に描画できない問題や、特定の場面でフレームレートが大きく低下する現象、ムービー中の音声がずれる問題なども残されています。
それでも、以前はグラフィックの表示が崩れてしまっていたSteam Deckなどの環境で改善が確認されたことは、大きな前進といえそうです。
まだ開発途中のプロジェクトではありますが、PS4向けに発売された作品をPC上で動作させるという取り組みが、少しずつ実用的なものへと進化しています。今後のアップデートで、さらに互換性や安定性が高まっていくことにも期待したいところです。















ダンジョンズ&ドラゴンズ ビジュアル大全 半世紀を超えるその歴史とアート









GameSir Pocket Taco