PlayStation 3エミュレーター「RPCS3」で、PS3版『ラチェット&クランク』シリーズを長年悩ませてきたランダムフリーズ/クラッシュ問題が解消されました。
RPCS3チームは2026年10月5日、Insomniac Gamesが手掛けたPS3世代の『ラチェット&クランク』作品について、これまで発生していたクラッシュなしでプレイできるようになったと明らかにしています。
今回の改善で大きいのは、単なるゲーム個別の回避策ではなく、RPCS3本体側で原因となっていた処理が修正されたことです。これまでフリーズ対策として利用されていた「Canaryパッチ」も不要になります。
●RPCS3 GitHub
https://github.com/RPCS3/rpcs3
●RPCS3 Pull Request #19606
https://github.com/RPCS3/rpcs3/pull/19606
●Ratchet & Clank Series Tracking Issue
https://github.com/RPCS3/rpcs3/issues/15507
長年問題になっていたランダムフリーズを解消
RPCS3におけるPS3版『ラチェット&クランク』シリーズでは、以前からプレイ中に突然映像や操作が停止する問題が報告されていました。
たとえば『Tools of Destruction』や『A Crack in Time』では、ゲームをしばらくプレイしていると画面が停止し、音声だけが流れ続けたり、操作を受け付けなくなったりするケースが確認されています。
発生するタイミングも一定ではなく、長時間プレイしたあとに突然停止することもあるため、ゲームを最後まで安定して遊ぶうえでは大きな問題となっていました。
RPCS3のGitHubでは、こうした『ラチェット&クランク』シリーズの問題をまとめたTracking Issueも用意されており、長期にわたって改善が進められていました。
対象となるのはPS3世代の6作品
今回の改善対象として挙げられているのは、以下の6作品です。
- Ratchet & Clank Future: Tools of Destruction
- Ratchet & Clank Future: Quest for Booty
- Ratchet & Clank Future: A Crack in Time
- Ratchet & Clank: All 4 One
- Ratchet & Clank: QForce/Full Frontal Assault
- Ratchet & Clank: Into the Nexus
2007年の『Tools of Destruction』から2013年の『Into the Nexus』まで、Insomniac GamesがPS3向けに展開してきた作品が対象となっています。
原因は「RSX FIFO GET」の扱い
今回の修正を担当したのは、RPCS3 Lead Developerのelad335氏です。
修正されたのは、PS3のGPUにあたる「RSX」が処理するコマンドキューに関係する「FIFO GET」の扱いです。
かなり技術的な部分ですが、簡単にいえばFIFO GETは「RSXがコマンドデータをどこまで読み取ったか」を示す位置として利用されます。
RPCS3ではこの値の扱いが実機と完全には一致しておらず、『ラチェット&クランク』シリーズでは特定のタイミングで処理の同期が崩れ、ランダムフリーズなどにつながっていたとみられます。
実機を使ったハードウェアテストをもとにFIFO GETの挙動をより正確に再現することで、こうした問題が改善されました。
この修正はRPCS3のPull Request #19606として開発され、10月2日にmasterブランチへマージされています。
これまで使われていたCanaryパッチも不要に
『ラチェット&クランク』シリーズのランダムフリーズについては、これまで「Canaryパッチ」と呼ばれる実験的なゲームパッチを利用することで問題を回避する方法が用意されていました。
ただし、これはあくまでも問題を回避するための個別対応です。
今回の修正ではRPCS3本体側でFIFO GETの処理そのものが改善されており、Pull Requestの説明にも『ラチェット&クランク』のゲームフリーズをCanaryパッチなしで修正すると明記されています。
長年残されていたシリーズ固有の問題に対し、エミュレーター側から根本的な改善が行われた形です。
フリーズ解消=「Playable」認定ではない点に注意
一方で、今回の改善によってPS3版『ラチェット&クランク』シリーズがすべて「完全動作」になったわけではありません。
RPCS3ではゲームの互換性について「Playable」などのステータスを設定していますが、今回対象となった作品は、記事執筆時点ではただちにPlayableへ変更されたわけではありません。
RPCS3チームによれば、Playableと判断するためには推奨スペックのPCでPS3実機相当のパフォーマンスを実現できることも条件となっています。
つまり、今回大きく改善されたのは、これまで問題となっていたランダムフリーズやクラッシュです。PCの性能やゲームによっては、依然としてフレームレートなどのパフォーマンス面に課題が残る可能性があります。
それでも、長時間プレイの大きな障害となっていたフリーズ問題がRPCS3本体側で解決されたことは、『ラチェット&クランク』シリーズをPC上で楽しみたいユーザーにとってかなり大きな進展といえそうです。















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