『ポケモン エメラルド』を“声”で操作!? リアルタイム6対6で戦う実験的ARENAモードが登場

『ポケモン エメラルド』を“声”で操作!? リアルタイム6対6で戦う実験的ARENAモードが登場

『ポケモン エメラルド』のバトルをリアルタイム化する非公式プロジェクト「Emerald Arena」。その派生フォークを開発しているDidierRLopes氏が、ポケモンを“声”で操作できる実験的な機能を公開しました。

2026年9月28日に公開されたPull Request #2では、新たに「ARENA mode」を実装。最大6匹のポケモンでチームを作り、リアルタイム形式の6対6バトルを楽しめるほか、デスクトップ版mGBAと音声認識を組み合わせることで、「移動」「攻撃」「ポケモンの交代」といった操作を声で指示できるようになっています。

●Emerald Arena ARENA mode Pull Request #2
https://github.com/DidierRLopes/pokemon-emerald-arena/pull/2

100クレジット以内で最大6匹を選ぶドラフト制

新たに追加された「ARENA mode」では、「1P VS COM」と「1P VS 1P」のふたつの対戦モードが用意されています。

バトルを始める前に、150匹の候補から最大6匹までポケモンを選択。ただし自由に強いポケモンだけを並べられるわけではなく、各プレイヤーに与えられた100クレジット以内でチームを編成するドラフト制が採用されています。

登場するポケモンはいずれもレベル100で、技構成もあらかじめ固定。必要なクレジットは能力に応じて変化し、たとえばコイキングは2クレジット、ミュウツーは32クレジットに設定されています。そのため、能力の高いポケモンばかりで6匹を揃えることはできず、限られた予算の中でチームを組み立てる必要があります。

対COM戦では「EASY」と「HARD」の切り替えも可能で、HARDでは予算内での強さやタイプ構成を考慮してチームを選択する仕組みも導入されています。ドラフト終了後は、従来のターン制バトルではなく「Emerald Arena」独自のリアルタイムアリーナへそのまま移行し、6対6で戦うことになります。

「シャドーボール!」と声で指示して攻撃

さらにユニークなのが、今回実験的に搭載された音声操作機能です。

デスクトップ版mGBAとローカルで動作する音声エージェントをLuaブリッジ経由で接続。Mac上ではWhisperを利用して音声を文字に変換し、その内容からゲーム内で実行する操作を判断する仕組みが作られています。

音声で行える操作は単純な攻撃だけではありません。方向を指定した移動や相手への接近・後退、技名を指定した攻撃、ポケモンの交代などにも対応。「switch to Dragonite」のように交代先を直接指定したり、ドラフト画面でポケモンを選んだりすることもできます。

さらに「retreat and then shadow ball」のように、複数の指示をひとつの文章として伝えることも可能。後退したあとに技を使うといった一連の操作を、順番に実行する仕組みも組み込まれています。

移動についても、単純に方向キーを一定時間押し続けているわけではありません。ゲーム側の経路探索を利用し、岩などの障害物を避けながら相手へ近づいたり離れたりできるようになっており、近距離技を指示した場合には攻撃可能な距離まで接近してから技を繰り出します。

ひとつのマイクからふたりの声を聞き分ける実験も

「1P VS 1P」では、ふたりのプレイヤーが同じキーボードを使って対戦できるだけではなく、両者とも音声操作を利用できます。

さらに興味深いのが、ひとつのマイクに入力されたふたりの声を判別し、それぞれのプレイヤーに振り分ける仕組みです。

対戦開始前にそれぞれのプレイヤーが音声を登録し、Resemblyzerによる声の特徴量などを利用して発話者を判定。ふたりの声がひとつの音声クリップに入ってしまった場合にも、話者が切り替わった部分を分割して処理する仕組みが試されています。

ただし、この部分について開発者は、合成音声などを使ったテストは行っているものの、実際にふたりの人間がひとつのマイクを使ってプレイするテストは簡単に試した程度だと説明しています。そのため、現時点ではあくまでも実験段階の機能と考えたほうがよさそうです。

本家「Emerald Arena」とは別系統の実験的フォーク

当サイトでは2026年9月15日に、本家「Emerald Arena」のバージョン0.3.2について紹介しています。

こちらはGBurgardt氏が開発している本家側のアップデートで、ブラウザーの互換性確認やセットアップ時の表示など、導入部分が改善されたバージョンでした。ゲーム本体については0.3.1から変更されておらず、リアルタイム戦闘そのものに新機能が追加されたアップデートではありませんでした。

一方、今回のDidierRLopes氏によるものは、そのGBurgardt氏のプロジェクトから派生した別フォークです。GitHubで公開されているPull Request #2も、DidierRLopes氏自身のフォーク内にある「arena-draft」ブランチから「main」ブランチへのPull Requestとなっており、記事執筆時点ではOpenの状態です。

つまり、本家「Emerald Arena」の最新版にARENA modeや音声操作が正式搭載されたわけではありません。

それでも、リアルタイムで動き回るポケモンに「近づけ」「技を使え」「交代しろ」と実際に声で指示できるというアイデアは、従来の『ポケモン』とはかなり異なる遊び方です。ドラフト制の6対6バトルまで含め、リアルタイム版『ポケモン』の方向性をさらに押し進めた興味深い実験といえそうです。

なお、「Emerald Arena」および今回の派生フォークは、任天堂や株式会社ポケモンによる公式作品・公式機能ではありません。

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