ESP32-P4搭載デバイス上でクラシックMac OSを動作させるプロジェクト「M5Tab-Macintosh」のバージョン4.7が、正式なStable版として公開されました。
M5Tab-Macintoshは、オープンソースのMacintosh 68kエミュレーター「BasiliskII」をESP32-P4向けに移植したプロジェクトです。M5Stack Tab5やWaveshare製ESP32-P4タッチ端末を使い、System 7.xからMac OS 8.1までのクラシックMac OSを動かすことができます。
●M5Tab-Macintosh GitHub
https://github.com/amcchord/M5Tab-Macintosh
●M5Tab-Macintosh v4.7 Release
https://github.com/amcchord/M5Tab-Macintosh/releases/tag/v4.7
5インチのESP32-P4タブレットでクラシックMac OSが動く
対応ハードウェアのひとつである「M5Stack Tab5」は、5インチ・1280×720ドットのディスプレイを搭載したESP32-P4ベースの端末です。M5Tab-Macintoshでは、Mac側の画面を640×360ドットで描画し、それを2倍に拡大して1280×720ドットの画面いっぱいに表示します。
また、10.1インチ・800×1280ドットのディスプレイを備えた「Waveshare ESP32-P4-WIFI6-Touch-LCD-10.1」にも対応。こちらは横向きの1280×800ドットとして利用し、Mac側は640×400ドットを2倍表示する構成になっています。
単にMac OSを起動できるだけではなく、タッチスクリーンやUSBキーボード、USBマウスなどの入力にも対応しています。M5Stack Tab5では公式キーボードも利用可能で、クラシックMacを小型の独立した端末として操作できるのが特徴です。
System 7からMac OS 8.1までをサポート
プロジェクトでは、System 7.1やSystem 7.5.x、Mac OS 8.0、Mac OS 8.1の動作が確認されています。
内部ではMotorola 68040をエミュレーションしており、開発者によれば性能は25MHzの68040を搭載したMacintosh Quadra 610に近いレベルとのこと。RAMは4MBから16MBまで設定でき、SDカード上のハードディスクイメージやCD-ROMイメージをストレージとして使用します。
さらにWi-Fiネットワークにも対応しています。プロジェクトのREADMEでは、System 7上のWebブラウザーから内蔵Wi-Fi経由でWebサイトを閲覧している様子も紹介されており、「起動するだけ」のデモに留まらず、当時のMac用ソフトウェアを実際に操作できる環境を目指した作りになっています。
v4.7では量産版ESP32-P4 Rev3への対応などを追加
GitHubのReleaseページでは、v4.7が2026年9月25日12時05分に公開されたことが確認できます。
今回のv4.7では、量産版ESP32-P4向けのRev3ファームウェアが新たに用意されました。M5Stack Tab5とWaveshareのそれぞれについて、従来のpre-v3シリコン向けと、v3.1以降のシリコン向けに個別のファームウェアが提供されています。ESP32-P4のシリコンリビジョンとディスプレイや基板のリビジョンは別物なので、導入時には注意が必要です。
もうひとつの改善点が、Mac側で設定した日時の保存です。Mac OSの「Date & Time」などから変更した時刻が端末側のフラッシュメモリーに保存され、次回起動時にも引き継がれるようになりました。ただし、電源を切っている間も時計がリアルタイムで進み続ける仕組みではなく、インターネット経由で自動同期する機能もありません。
クラッシュ後にBoot Settingsを開く復旧機能も追加
v4.7では安定性や復旧性も改善されています。
panicやwatchdog、brownoutによるリセットが発生した場合、従来のようにそのままMac OSを再起動するのではなく、「Boot Settings」を開くようになりました。これにより、問題が起きたディスクやオーディオなどの設定を変更してから再起動しやすくなっています。起動画面をタップすることで、Boot Settingsをスキップする設定が有効な場合でも設定画面を呼び出せる仕組みも追加されました。
オーディオについても、Mac側のサンプルバッファーを読み出す前に範囲全体を検証する処理が追加されています。
v4.7-beta.1からファームウェア自体の変更はなし
注意したいのは、今回のv4.7でこれらの機能がすべて新たに追加されたわけではないという点です。
v4.7は先行公開されていた「v4.7-beta.1」をメンテナーが検証し、問題なく動作することを確認したうえでStableへ昇格したものです。配布されている4種類のファームウェアはv4.7-beta.1とバイト単位で同一で、SHA-256ハッシュも一致しています。
そのため、すでにv4.7-beta.1をインストールしている場合は、Stable版へ改めて書き換える必要はありません。Stable昇格にあたってファームウェアの再ビルドやコード変更も行われていないと説明されています。
小さな組み込み端末が「クラシックMac」になる面白さ
ESP32シリーズといえば、IoT機器や組み込み用途で目にすることが多いマイコンですが、ESP32-P4と大容量PSRAMを活用することで、1990年代のMacintosh環境まで動かせるというのはなかなか興味深いところです。
特にM5Stack Tab5なら、5インチのタッチディスプレイにSystem 7やMac OS 8.1のデスクトップがそのまま表示されます。巨大なPC上のエミュレーターではなく、手のひらサイズの専用端末としてクラシックMacを動かせるというところに、このプロジェクトならではの面白さがあります。
v4.7で量産版ESP32-P4への対応や設定保存、クラッシュ時の復旧機能まで整備されたことで、M5Tab-Macintoshは単なる技術デモから、より扱いやすいクラシックMac環境へと着実に進化しているといえそうです。















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