Snes9xをベースに開発されているshanytc氏の派生版「Snes9x」1.63.31が、2026年9月25日に公開されました。今回のアップデートでは、任天堂が展開していた業務用スーパーファミコン系システム「Nintendo Super System」のエミュレーションが新たに追加されています。
なお、今回更新されたのは本家Snes9xではなく、本家のリポジトリからforkして開発されている派生版です。本家Snes9xの公式アップデートではない点には注意が必要です。
●GitHub「shanytc/snes9x」Release 1.63.31
https://github.com/shanytc/snes9x/releases/tag/1.63.31
業務用スーファミ「Nintendo Super System」を再現
Nintendo Super Systemは、スーパーファミコン/Super NESをベースにした任天堂の業務用ゲームシステムです。家庭用ゲーム機に近いハードウェアを採用しながら、専用の筐体で複数のゲームを利用できるようにしたもので、1991年に登場しています。
今回のバージョン1.63.31では、このNintendo Super Systemを動作させるための機能が大きく追加されました。
実装されたものとして挙げられているのが、「Z80 supervisor」をはじめ、key chip、オンスクリーンディスプレイ(OSD)、3つのカートリッジソケット、そして実機のフロントパネルです。単純にゲーム部分だけを動かすのではなく、Nintendo Super Systemを構成する周辺の仕組みまで含めた再現が進められています。
さらに『ActRaiser』『The Addams Family』『Lethal Weapon』『Robocop 3』については、カートリッジのDIPスイッチにも名称が付けられました。
ダンプ済み13本中12本が動作
注目したいのは、その対応状況です。
開発者によると、現在ダンプされているNintendo Super System用カートリッジ13本のうち、12本が動作するとのこと。HiROMを採用したものやDSP-1を搭載したボードも含まれています。
「Nintendo Super Systemの全タイトルに対応した」という意味ではなく、あくまでも現時点でダンプされている13本のうち12本が動作するという説明です。ただし、今回初めて対応したハードとしては、かなり高いところまでエミュレーションが進んでいることがわかります。
そのほか、supervisor側からリセットした際にAPUの音声も停止するようになったほか、実機と同様にRestartを押し続ける必要がある動作も再現。nocash氏のテストプログラムをBIOSとして受け付けるようになるなど、細かな挙動についても手が加えられています。
また、joypad watchdogはデフォルトで無効化されるようになり、『Lethal Weapon』がシステムから弾かれてしまう問題も修正されました。
「Nintendo Super Disc」のエミュレーションも強化
バージョン1.63.31では、Nintendo Super Systemだけではなく「Nintendo Super Disc」関連の機能も追加されています。
BIOS ManagerからBIOSを扱えるようになったほか、ディスクの挿入と排出に対応。ディスクを排出するとホーム画面へリセットされる挙動も実装され、読み込んでいるディスク名がウィンドウタイトルに表示されるようになりました。
現時点で動作タイトルとして挙げられているのは、ホームブリュー作品『Super Boss Gaiden』と「Test CD」です。
『Super Boss Gaiden』は、任天堂とソニーが共同開発していたスーパーファミコン/Super NESベースのCD-ROM試作システム、いわゆる「Nintendo PlayStation」向けとして制作されたホームブリュー作品として知られています。
「Super Famicom Box」関連の機能も改善
さらに、日本のホテルなどで利用されていた業務用システム「Super Famicom Box」関連の機能にも改善が加えられています。
キースイッチの位置が保存されるようになったほか、現在動作しているゲーム名をウィンドウタイトルに表示する機能を追加。コイン、キースイッチ、OSDの言語、背景などを操作する専用の「Super Famicom Box」メニューも用意され、従来Hacksダイアログにあった項目がこちらへ移動しています。
Super Famicom Boxは、ホテルなどへの設置を目的に作られた業務用のスーパーファミコン系システムで、一般販売されたスーパーファミコンとは異なる専用カートリッジなどが使用されていました。
家庭用スーファミだけではないエミュレーションへ
Snes9xといえばスーパーファミコン/Super NESエミュレーターとして長い歴史を持っていますが、今回の1.63.31で興味深いのは、一般的な家庭用ゲームの互換性向上だけではなく、Nintendo Super SystemやNintendo Super Disc、Super Famicom Boxといった特殊なハードウェアの再現に重点が置かれていることです。
特にNintendo Super Systemについては、Z80 supervisorやkey chip、3つのカートリッジソケット、フロントパネルなどシステムそのものを構成する要素が実装され、ダンプ済み13本のうち12本が動作するところまで進みました。
通常のスーパーファミコン環境では触れる機会の少ない業務用・特殊用途ハードをソフトウェア上で再現するという意味でも、ゲーム保存やエミュレーションの観点から興味深いアップデートといえそうです。
なお繰り返しになりますが、今回のバージョン1.63.31はshanytc氏が開発しているSnes9xの派生版です。本家Snes9xの公式バージョン1.63.31ではありません。















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