Snapdragon 8 Gen 3を搭載した携帯ゲーム機『KONKR Pocket FIT』でSteamOSを動作させるコミュニティプロジェクト「SteamOS-ARM-SM8650」のv1.1が公開されました。今回のアップデートでは、SteamOS上でAndroidアプリを実行する実験的な機能が追加されています。
なかでも面白いのが、Google Play StoreそのものがSteamのゲームライブラリに登録されるという点です。さらにGoogle PlayからインストールしたAndroidアプリも、それぞれ独立したタイトルとしてSteamライブラリに追加され、通常のゲームと同じようにタイルから直接起動できるようになっています。
●SteamOS-ARM-SM8650 GitHub/v1.1 Release
https://github.com/hashtagbasit/SteamOS-ARM-SM8650/releases/tag/v1.1
SteamOSのゲーム一覧にGoogle Playが登場
今回公開された「SteamOS-ARM-SM8650 v1.1」では、AndroidアプリをSteamOS上で動かすためのBeta機能が追加されました。初回のSteamログイン後にはGoogle Play Storeがライブラリ内に表示され、そこからAndroid向けのゲームやアプリをインストールできます。
さらにインストールしたアプリには、それぞれ本来の名称やアイコンを使用した個別のタイルが自動的に作成されます。そのため見た目としては、SteamのPCゲームとAndroidゲームやアプリが同じライブラリ内に並ぶような状態になります。
Google Play Storeのタイルは初回ログイン直後には表示されず、反映まで少し時間が掛かる場合があります。また、初めてGoogle Play Storeを起動した際には、Androidアプリを動かすために必要な「Lepton」がSteam経由でダウンロードされる仕組みです。
ValveのAndroidレイヤー「Lepton」を利用
Androidアプリの実行には、ValveがSteam Frameで採用しているAndroidレイヤー「Lepton」が利用されています。Steam FrameはSnapdragon 8 Gen 3を搭載したARM64ベースのデバイスで、Valveがこのハードウェア向けにARM版SteamOSを開発しています。
「SteamOS-ARM-SM8650」は、そのSteam Frame向けSteamOSを同じSnapdragon 8 Gen 3を搭載するKONKR Pocket FITで動作させるために調整したコミュニティプロジェクトです。つまり、ValveがKONKR Pocket FIT向けのSteamOSを公式に配布しているわけではありません。
プロジェクトではSteam Frame向けの環境をそのまま流用するだけではなく、KONKR Pocket FITのコントローラーやファン、パフォーマンスモードなどへの対応も行われています。ゲームモードやデスクトップモードのほか、x86ゲームをFEX経由で動作させる機能やARM64版Protonなども利用可能です。
APKやXAPKなどのサイドロードにも対応
Androidアプリの導入方法はGoogle Playだけではありません。「.apk」に加えて、「.apkm」「.xapk」「.apks」といった形式のファイルもサイドロードできるようになっています。
デスクトップモードから対象ファイルを開くか、「~/Android/Inbox」フォルダーにファイルを配置することでインストールできます。こちらから導入したアプリについてもGoogle Play経由の場合と同様に、Steamライブラリへ個別のタイルが追加されます。
操作面ではタッチスクリーンのほか、コントローラーやスワイプ、ピンチズーム、ソフトウェアキーボードに対応しています。Android側ではコントローラーがXbox系ゲームパッドとして扱われ、Androidのナビゲーションバーから「戻る」「ホーム」「履歴」などの操作も行えます。
microSDカードなら32GB以上で導入可能
microSDカードへSteamOS-ARM-SM8650 v1.1を導入する場合は、32GB以上のカードが必要です。また、あらかじめ「ROCKNIX ABL 1.1.8」以降を導入しておく必要があります。
配布されている分割7zファイルを展開して作成したイメージをmicroSDカードへ書き込み、起動時にKONKR Pocket FITとLinuxブートを選択するという流れです。初回起動には数分ほど掛かりますが、その後は通常のSteamセットアップ画面へ進みます。
v1.1からはmicroSDではなくKONKR Pocket FITの内蔵ストレージから起動する機能も追加されています。しかし、内蔵ストレージへの導入ではパーティションの再構成が必要になり、Android側のデータが消去されます。開発者は現時点で手動インストールを推奨しておらず、次回アップデートで提供予定のインストーラーと正式な手順を待つよう案内しています。
Android機能はまだBeta。動かないゲームもあり
今回追加されたAndroid対応は、あくまでもBeta版という位置付けです。すべてのAndroidアプリやゲームが正常に利用できるわけではなく、いくつかのアプリではクラッシュなどが発生することも報告されています。
動作するAndroid環境はAndroid 11で、Googleの認証を取得した環境ではありません。そのためGoogle認証をチェックする一部のアプリでは警告が表示されたり、正常に動作しなかったりする可能性があります。
また、エミュレーター環境での動作をブロックするタイプのアンチチートを採用したゲームは利用できません。SteamOS側についても実スリープからの復帰がまだ安定しておらず、現在は約1W程度を消費するスタンバイが標準で使用されています。
SteamとAndroidをひとつのライブラリで扱う異色の携帯ゲーム機に
当サイトではこれまで、Snapdragon 8 Eliteを搭載した『KONKR POCKET FIT 国内正規版』についても紹介してきました。今回のSteamOS-ARM-SM8650が対象としているのは、それとは異なるSnapdragon 8 Gen 3搭載モデルです。
まだ実験的なプロジェクトではあるものの、SteamのゲームとAndroidアプリを同じゲームライブラリに並べ、ひとつのUIから起動できるという仕組みはかなりユニークです。SteamOSを搭載した携帯ゲーム機でありながらGoogle Playまで利用できるとなれば、KONKR Pocket FITの活用方法も大きく広がりそうです。
一方で、今回の環境はValveによるKONKR Pocket FIT向けの公式サポートではなく、コミュニティによる移植プロジェクトです。導入にはブート環境の変更なども必要になるため、試す場合はBeta版であることや既知の問題を理解したうえで利用する必要があります。












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