ARM版PS2エミュ『ARMSX2 2.7.1』公開! 独自Turnipで一部処理が2~3倍高速化、L2/R2のアナログ入力にも対応

ARM版PS2エミュ『ARMSX2 2.7.1』公開! 独自Turnipで一部処理が2~3倍高速化、L2/R2のアナログ入力にも対応

ARM64向けに開発が進められているPlayStation 2エミュレーター『ARMSX2』の安定版「2.7.1」が、2026年9月25日に公開されました。

●ARMSX2 2.7.1
https://armsx2.net/updates/2.7.1

今回の大きな目玉となっているのが、Adreno GPU向けに独自ビルドされたVulkanドライバー「ARMSX2 Turnip」です。特にSnapdragon 865や870、888世代の端末では、PS2エミュレーション特有の処理がボトルネックになるケースで大幅な高速化が期待できます。

さらに、EEやVU、IOPなどARM64向けリコンパイラーの最適化や、L2/R2トリガーのアナログ圧力入力にも対応。単純な不具合修正版ではなく、パフォーマンスと操作性の両面で大きく手が入ったアップデートとなっています。

Adreno 650~699向けに独自の「ARMSX2 Turnip」を搭載

ARMSX2 Turnipは、Adreno GPU向けオープンソースVulkanドライバー「Turnip」をARMSX2側で独自にビルドしたものです。ベースはMesa 26.1.2で、PS2エミュレーションを念頭に置いた独自の変更が加えられています。

公式ではAdreno 650~699を搭載した端末での使用を推奨しており、具体的にはSnapdragon 865、870、888世代などが対象です。ARMSX2のドライバー一覧から選択できるようになっています。

PS2では、描画中のフレームを読み戻して再利用するような処理が頻繁に行われるタイトルがあります。従来のAdreno環境では、そのたびにフレームをコピーする処理が発生していましたが、ARMSX2 Turnipではドライバー側で読み出しの順序を処理することで、この部分の負荷を大幅に軽減しています。

Snapdragon 865の『Splashdown』では54.7msから22.4msへ

実際の測定例として挙げられているのが、Snapdragon 865搭載端末で動作させた『Splashdown』です。

ネイティブ解像度でのテストでは、従来54.7ms/フレームだった処理時間が、ARMSX2 Turnipを利用することで22.4ms/フレームまで短縮されています。単純計算では約2.4倍に相当する大きな差です。

ただし、ここで注意したいのは「ARMSX2のすべてのゲームが2~3倍高速になる」という意味ではないことです。公式では、こうしたフレーム読み戻し処理がフレーム時間の大部分を占めているケースについて、2~3倍高速になると説明しています。

Adreno 730以上でも『Stuntman』『WRC 3』が17~21パーセント高速化

新しい処理の恩恵は、Adreno 650~699世代だけではありません。

Adreno 730以上のGPUでは、Turnipを利用した環境で『Stuntman』と『WRC 3』が17~21パーセント高速化したとされています。こちらについてはARMSX2独自ビルドに限定されておらず、公式では「any Turnip」と説明されています。

つまり、Snapdragon 865~888世代ではARMSX2 Turnipそのものが大きなポイントになる一方、より新しいAdreno 7xx世代でもレンダラー側の改善による高速化が期待できるというわけです。なお、それ以外のGPUやドライバーについては従来の処理が維持されています。

EE・VU・IOPなどARM64側も約10パーセント高速化

GPU関連だけではなく、PS2そのものをエミュレーションするCPU側の処理にも最適化が加えられています。

今回、EE、VU、IOPの各リコンパイラーやVIFの展開処理が改良され、より効率的なARM64コードを生成できるようになりました。公式によると、この変更によって該当する処理は約10パーセント高速化しています。

ただし、比較的性能の低い端末ではGS、つまりグラフィックス側がボトルネックになるゲームも多いため、必ずしもゲーム全体がそのまま10パーセント高速になるわけではありません。そうした環境でも処理負荷が減ることで、消費電力や発熱の低減につながる可能性があると説明されています。

L2/R2の「途中まで押す」入力にも対応

操作面で興味深い変更が、L2/R2トリガーのアナログ圧力入力への対応です。

アナログトリガーを搭載したゲームパッドや携帯ゲーム機では、「Pad」→「Button」のマッピングからL2/R2に「Analog pressure」を設定可能になりました。これにより、これまでの0か100かというデジタル的な入力ではなく、「トリガーをどれだけ引いたか」という途中の入力値をゲーム側へ渡せるようになります。

公式では具体例として『Gran Turismo 4』が挙げられており、アクセルやブレーキに中間入力を利用可能です。短いストロークの携帯ゲーム機向けにレスポンスカーブや入力値のリアルタイム表示も用意されています。なお、この機能は標準ではオフになっており、ゲームパッド側もアナログモードで使用する必要があります。

Snapdragon 865世代にもまだ伸びしろあり

当サイトでは2026年8月19日にも、ARMSX2 2.6.6.7で追加されたフレーム生成機能やFSR 1への対応を紹介しました。

PS2の30fpsゲームをより滑らかに! ARM64エミュ『ARMSX2』がフレーム生成に対応

前回が「生成フレームやアップスケーリングによって映像の見え方を改善する」アップデートだったのに対して、今回の2.7.1はGPUドライバーやARM64リコンパイラーなど、エミュレーションそのものの処理効率を改善する方向に大きく踏み込んでいるのが特徴です。

特に興味深いのは、最新世代ではないSnapdragon 865や870、888などのAdreno 6xx系に対して、専用のTurnipビルドが用意された点です。条件が合うタイトルでは処理時間が半分以下になった実測例もあり、数年前のAndroidスマートフォンや携帯型エミュレーション機をPS2用途で使っているユーザーにとって、試してみる価値のありそうなアップデートといえそうです。

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