サポート終了のPiBoy DMGがBatocera 43.1で復活。電池残量・終了前セーブ・LAN対戦まで追加

サポート終了のPiBoy DMGがBatocera 43.1で復活。電池残量・終了前セーブ・LAN対戦まで追加

Experimental Piが展開していたRaspberry Piベースの携帯ゲーム機「PiBoy DMG」を、現行のBatocera 43.1で利用できるようにするオープンソースプロジェクトが公開されました。

開発者によると、PiBoy DMGを手掛けていたExperimental Piが事業を終了したことで、本機は古いソフトウェアイメージに取り残された状態になっていたとのこと。今回公開されたプロジェクトでは、Raspberry Pi 4Bまたは3B/3B+を搭載したPiBoy DMGを対象に、Batocera 43.1をベースとした環境を構築できます。

なお、Batocera 43.1自体は今回新たに公開されたものではありません。同バージョンは2026年5月30日にリリースされており、今回登場したのは、これをPiBoy DMGで実用的に利用するための独立したコミュニティプロジェクトです。

●PiBoy DMG Batocera GitHub
https://github.com/Sblawx/piboy-dmg-batocera

単にBatoceraが動くだけではなく、PiBoy DMG向け機能も追加

このプロジェクトの特徴は、BatoceraをPiBoy DMGで起動できるようにするだけではなく、本体を携帯ゲーム機として使うためのさまざまな機能が追加されているところです。

たとえばEmulationStation上ではバッテリー残量を確認できるようになり、ゲーム中にはOSDとしてバッテリー残量やCPU負荷、温度、Wi-FiやBluetoothの状態、時計などを表示できます。音量ホイールを操作した際には、画面上にボリュームバーを表示することも可能です。

ファンについてもPWM制御に対応しており、Silent、Quiet、Balanced、Coolといったプロファイルに加えて、独自のファンカーブも設定可能です。また、電源LEDを固定色で点灯させたり、バッテリー残量に応じて緑、アンバー、赤へ変化させたりする機能も用意されています。

設定はEmulationStation内に追加される「System Settings」から変更でき、OSDの表示内容やファン、LED、CPUガバナー、低バッテリー警告、画面OFF待機などをD-padで操作できます。

電源を切る前にゲームを自動セーブ

携帯ゲーム機として特にありがたいのが、シャットダウン周りの機能です。

電源スライダーをOFFにした場合やバッテリーがなくなった場合は、いきなり電源を落とすのではなく正常なシャットダウン処理を実行します。RetroArchでゲームをプレイしている最中なら、その前に自動でセーブステートを作成する仕組みも用意されています。

この自動セーブではユーザーが使用している既存のセーブスロットを上書きせず、新しいスロットへ保存されます。次回起動時にはEmulationStationから、そのセーブステートを選択して続きを遊ぶことができます。

バッテリー残量についても、標準設定では10%と7%で画面上に警告を表示し、5%まで低下するとゲームを保存してから自動的にシャットダウンします。警告を表示する残量は設定画面から変更することも可能です。

さらにEmulationStationのスクリーンセーバーと連動してディスプレイとバックライトを実際にOFFにする待機機能も実装されており、開発者によれば約450mAの消費電力を削減できるとのこと。ボタンを押すとすぐに復帰できます。

2台のPiBoy DMGを使ったLANネットプレイにも対応

LAN内にある2台のPiBoy DMGを利用したネットプレイ機能も追加されています。

ホスト側ではEmulationStationからゲームを選択してネットプレイを開始し、参加側では「Netplay – Join」を選択。LAN内でホストされているゲームを自動的に検索し、同じゲームと同じコアを使って接続します。

ROMファイルが存在しない場合や必要なコアがない場合などは、画面上に原因を知らせるメッセージも表示されます。なお、ネットプレイには両方の本体に同一のROMファイルが同じパスで配置され、同じコアを使用している必要があります。

そのほか、USB接続したDirtywave M8をPiBoy DMGの画面と操作系で利用する機能や、Raspberry Pi 4ではbox64とWineを利用してWindows版『StarCraft 1.16.1』を640×480ドットで動作させるためのランチャーも用意されています。

Batocera本体を改造せず「/userdata」側に機能を追加

対応するのは、Raspberry Pi 4BまたはRaspberry Pi 3B/3B+を搭載したPiBoy DMGです。

興味深いのは、専用にBatoceraそのものを再コンパイルしているわけではないという点です。PiBoy DMGで使用する「xpi_gamecon」ドライバーはBatocera公式のRaspberry Pi 3/4向けイメージにすでに含まれており、このプロジェクトでは基本的に「/userdata」側へ必要な機能を追加する構成になっています。

そのため、Batoceraとは別の独自OSを導入するというよりも、公式Batocera 43.1へPiBoy DMG用の機能を追加していくイメージに近いものとなっています。

導入時はまず対応するBatocera 43.1のイメージをSDカードへ書き込み、初回起動前にPiBoy DMGのディスプレイ用設定を「config.txt」へ追加します。その後Wi-Fiへ接続し、GitHubで配布されているリポジトリを「/userdata/piboy」へコピー。SSHから「install.sh」を実行して再起動するという流れです。

設定を維持したままインストーラーを再実行することもでき、M8、ネットプレイ、Wine関連の機能を個別にインストールしないオプションも用意されています。

眠っていたPiBoy DMGをもう一度使える環境に

PiBoy DMGのようなRaspberry Piベースの携帯ゲーム機は、ハードウェアそのものが壊れていなくても、メーカーのサポート終了や専用OSの更新停止によって使いにくくなってしまうことがあります。

今回のプロジェクトは、そうした古いハードウェアを現在のBatocera環境へ移行させるだけではなく、バッテリー管理や電源制御、ゲーム終了前の自動セーブ、画面OFF待機、OSDなど、携帯機として重要な部分まで補っているところが特徴といえそうです。

一方で、これはBatoceraやExperimental Piによる公式サポートではなく、独立したオープンソースプロジェクトです。GitHubではBatocera 43.1とRaspberry Pi 4B 8GB、Raspberry Pi 3Bでのテストが明記されていますが、導入する場合はその点を理解したうえで利用する必要があります。

開発者は今後、Raspberry Pi OS 64bit向けの同様の環境も計画しているほか、既存のPiBoy DMG筐体にRaspberry Pi 5を搭載するための新しいメインボードについても検討しているとのこと。ただし、これらはいずれも現時点では将来計画の段階で、開発者自身も余暇で進めるプロジェクトのため、完成時期については約束できないと説明しています。

PiBoy DMGをまだ所有している人にとっては、引き出しに眠っていた本体を再び現役に戻すきっかけになりそうなプロジェクトです。

via.Reddit

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