NINTENDO64を代表する名作『ゼルダの伝説 時のオカリナ』。本作に登場するプリレンダリングされた2D背景を、すべてリアルタイム3Dへ作り直すという非常にユニークなROMハック「OoT unJPEG」が開発されています。
●Zelda 64: Recompiled公式GitHub
https://github.com/Zelda64Recomp/Zelda64Recomp
しかも単純にPC上で動かすModではなく、オリジナルのNINTENDO64実機でも動作することを前提に開発されているところが大きな特徴です。
『時のオカリナ』には実は2Dで描かれている場所がある
『ゼルダの伝説 時のオカリナ』といえば、シリーズで初めて本格的な3D世界を採用した作品として知られています。しかしゲーム内のすべてが、ポリゴンによるリアルタイム3Dで描画されているわけではありません。
ハイラル城下町をはじめとした一部の場所では、あらかじめレンダリングされた2D画像を背景として使用し、その手前でキャラクターなどを動かす手法が採用されています。限られたNINTENDO64の性能で、複雑で情報量の多い風景を表現するための工夫のひとつでした。
そのため、こうした場所ではカメラの位置や向きが固定されており、本来画面に映らない方向を見ることはできません。そんなプリレンダ背景を、本物の3D空間として作り直そうとしているのが「OoT unJPEG」です。
N64版の雰囲気を残したまま3Dモデルとして再構築
開発しているのは3Dアーティスト/Mod制作者のReonu氏です。同氏によると、このプロジェクトにはすでに1年以上取り組んでおり、『時のオカリナ』に存在するプリレンダ背景をすべて3Dとして作り直しているとのこと。
ここで特徴的なのが、ニンテンドー3DS版『ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D』のような現代的なグラフィックへ変更するのではなく、あくまでもNINTENDO64版のビジュアルスタイルに合わせて作り直しているところです。
プロジェクト名の「OoT unJPEG」は現時点では仮称となっています。制作にはBlenderとNINTENDO64向け制作ツールのFast64が利用されており、テクスチャについてもオリジナル版『時のオカリナ』の素材やほかのゲームの素材、さらに開発者自身が撮影した壁や床などの写真を使用しているとのことです。
ハイラル城下町をひとつの3D空間に統合
特に興味深いのが、ハイラル城下町の作り直し方です。オリジナル版では、城下町の市場などはいくつかの場面に分割されており、それぞれの場所を移動すると画面が切り替わります。
「OoT unJPEG」では、これらをひとつの大きな3Dシーンとして統合。その結果、エリア間を移動するときに挟まれていたロード画面もなくなり、シームレスに歩き回れるようになっています。
さらに背景そのものが3Dモデルになったことで、固定カメラだけではなく、これまで見ることができなかった角度から町並みを眺めることも可能になります。公開されている映像では、カメラを動かしながらハイラル城下町を探索する様子などが確認できます。
「実はこの場所は1枚の背景画像だった」というオリジナル版を知っている人ほど、かなり不思議な光景に見えるのではないでしょうか。
N64実機で動かすために独自のCPUカリング処理も実装
もちろん、元々1枚の背景画像だった場所をすべてポリゴンに置き換えれば、それだけNINTENDO64側の処理負荷は増えてしまいます。
そこでReonu氏は、N64実機でも実用的なパフォーマンスを出すために独自のCPUカリング処理を実装したと説明しています。カリングとは、カメラから見えない物体などを描画対象から外して負荷を減らす処理です。
さらにN64版のハイラル城下町では、プレイヤーから離れた建物を簡略化したモデルに切り替えるLOD(Level of Detail)も用意し、処理負荷を抑えています。一方、PC向けのリコンパイル版では性能に余裕があるため、こうしたLODは使用しない予定とのことです。
単に背景を3Dモデルへ置き換えただけではなく、約30年前の実機でそれを動かすための最適化まで行っているというわけです。
N64実機版と「Zelda 64 Recompiled」向けModの両方を予定
完成した「OoT unJPEG」は、
- NINTENDO64実機で動作するROMハック
- 「Zelda 64 Recompiled」向けMod
の2種類として配布される予定です。
「Zelda 64 Recompiled」は、NINTENDO64用ゲームのプログラムをPC向けに静的リコンパイルしてネイティブ動作させるプロジェクトです。現時点では『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』を中心に公開されていますが、公式GitHubでは『時のオカリナ』への対応も予定されていることが明記されています。
将来的にこちらへ対応した場合は、PC側では高フレームレートやワイドスクリーン、自由なカメラ操作などと組み合わせた「OoT unJPEG」の楽しみ方も期待できそうです。
現時点ではまだ開発中
「OoT unJPEG」は現在も開発中で、具体的なリリース時期については発表されていません。
しかし、単純にグラフィックを高解像度化するのではなく、NINTENDO64時代のビジュアルを保ちながら、当時は2D画像だった場所を本物の3D空間として再構築するという発想は非常にユニークです。
しかも、それを現代のPCだけではなくオリジナルのNINTENDO64実機でも動かそうとしているところが、このプロジェクト最大の見どころといえるでしょう。固定された画面の向こう側には、本当はどんな景色が広がっていたのか。
発売から長い年月を経て、『時のオカリナ』のハイラルをこれまでとはまったく違った視点から探索できる日がやってくるかもしれません。















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