PS VitaでAndroid版『ZENONIA 3』が動く! ARMv6コードを利用した非公式ポートが公開中

PS VitaでAndroid版『ZENONIA 3』が動く! ARMv6コードを利用した非公式ポートが公開中

2011年にスマートフォン向けに登場したアクションRPG『ZENONIA 3: The Midgard Story』を、PS Vitaで動かす非公式ポートが公開されています。

●Zenonia 3 PSVita Port(GitHub)
https://github.com/MetalSyntax/zenonia3-psvita-port

●最新版v01.30の配布ページ
https://github.com/MetalSyntax/zenonia3-psvita-port/releases/tag/v01.30

本プロジェクトを開発したのはMetalSyntax氏です。初版は2026年7月12日、最新版となるv01.30は7月24日に公開されました。8月13日に海外メディアのGenerationAmigaが取り上げたことで、改めて注目を集めています。

興味深いのは、ゲームをゼロからPS Vita向けに作り直したのではなく、Android版に含まれるARMv6用の実行コードを利用しているところです。

エミュレーターではなくAndroid用コードを直接実行

このプロジェクトは、TheFloW氏が開発した「Android SO Loader」をベースにしています。

『ZENONIA 3』のAndroid版には、ARMv6向けにコンパイルされたネイティブコードが含まれています。PS VitaもARM系のプロセッサーを採用しているため、このコードを別のCPU向けに変換するのではなく、PS Vita上で直接動かすという仕組みです。

ただし、Android用のプログラムをそのままコピーしただけでは動作しません。ゲーム側はAndroidのライブラリーやグラフィック機能、ファイル操作などを利用することを前提に作られているからです。

そこで専用ローダーが、ゲームから呼び出されるAndroid側の機能をPS Vita用の処理へ置き換えています。

一般的なエミュレーターというよりも、『ZENONIA 3』専用のAndroid互換環境をPS Vita上に用意しているイメージに近いでしょう。

安定した毎秒30フレーム動作を目指して最適化

Android版『ZENONIA 3』は、400×240ドットのソフトウェアフレームバッファーにRGB565形式で画面を描画しています。PS Vita版では、この映像を別形式へ変換してから表示する方法に加えて、RGB565のデータをGPUへ直接転送する方法などがテストされました。

最新版のv01.30では、実機で最も安定した構成が標準設定として採用されています。

  • RGB565形式の映像をGPUへ直接転送
  • 座標や色情報の変換にはスカラー処理を使用
  • フレームレートを毎秒30フレームに固定

フレームレートを高くすることよりも、毎秒40~60フレームの間で発生していた揺れを抑え、安定した表示を実現することが優先されています。

オリジナルのAPKファイルが必要

配布されているVPKファイルには、『ZENONIA 3』の実行ファイルや画像、音声などのゲームデータは収録されていません。利用するには、ユーザー自身が合法的に入手した対応Android版のAPKファイルを用意し、そこから必要なデータを取り出してPS Vitaへ転送する必要があります。

最新版では、著作権で保護された素材がVPKに含まれないよう、メニュー画像やタイトルロゴ、ヘルプ画面などもAPKから読み込む方式に変更されました。

動作にはHomebrewを利用できるPS VitaまたはPlayStation TVが必要です。開発者はシステムソフトウェア3.60 ensoまたは3.65 ensoを推奨しており、「kubridge」「FdFix」「libshacccg.suprx」なども必要になります。

なお、Android版『ZENONIA 3』は現在では正規ストアから入手しにくくなっているため、対応APKの確保が導入上の大きなハードルになりそうです。

現時点では技術デモに近い状態

実際にゲームは動作するものの、現状ではいくつかの大きな問題が残されています。特に影響が大きいのが、ゲーム内やユーザーインターフェースの文字が表示されない場合があることです。フォント描画機能がまだ完成しておらず、会話やアイテムの説明が重要なアクションRPGとしては無視できない問題です。

また、操作時に一部の素材をストレージから繰り返し読み込むため、メニューで短い待ち時間が発生する可能性もあります。そのため、現時点では快適に最後まで遊べる完成版というよりも、Android用ゲームの実行コードをPS Vitaで動かせることを示した実験的なポートと考えたほうがよさそうです。

とはいえ、AndroidとPS Vitaが同じARM系のプロセッサーを採用していることを生かし、スマートフォン向けゲームを別の携帯機で動かすというアプローチは非常に興味深いものです。今後フォント描画などの問題が解消されれば、PS Vitaで再び遊べるようになる旧スマートフォン向け作品がさらに増えていくかもしれません。

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