PowerPC搭載Macで3dfx対応DOSゲームを高速化! MorphOS用「DOSBox JIT Release 3」公開

PowerPC搭載Macで3dfx対応DOSゲームを高速化! MorphOS用「DOSBox JIT Release 3」公開

PowerPC向けOS「MorphOS」に最適化されたDOSエミュレーター「DOSBox JIT Release 3」が、2026年8月12日に公開されました。

Michał Żukowski氏が開発しているMorphOS専用版DOSBoxで、SDLを使用しないネイティブフロントエンドと、PowerPC向けに最適化されたJITコンパイラーを搭載。3dfx Voodooの描画処理をMorphOSのTinyGLへ転送する機能にも対応しています。

●Dosbox Jit Release 3(GitHub)
https://github.com/rzookol/dosbox_morphos/releases/tag/dosbox_2.3_jit

PowerPC向けJITで従来版の最大155パーセントの性能

本ポートの大きな特徴が、PowerPCプロセッサー向けに最適化されたJITコンパイラーです。JITは、エミュレートするx86の命令を実行時にPowerPC用コードへ変換し、変換済みのコードを再利用する仕組みです。命令をひとつずつ解釈する方式よりも、CPUエミュレーションの高速化が期待できます。

開発者から提供された情報を掲載したポーランドのAmiga系サイト「PPA」によると、今回のJITは従来のJIT版と比較して、最大155パーセントのパフォーマンスを発揮するとのこと。これは「155パーセント高速化」ではなく、「従来版を100パーセントとした場合に最大155パーセントの性能になる」という意味です。単純計算では最大約1.55倍に相当します。

高速なPowerPC G5搭載機では、エミュレートされるCPUがPentium 166MHz前後の速度に達すると説明されています。ただし、この数字は高速なG5環境における目安であり、使用するハードウェアやゲーム、エミュレーション設定によって実際の性能は変化します。

MorphOSは、Power Mac G5、Power Mac G4、Mac mini G4、PowerBook G4などのPowerPC搭載Macに加え、PegasosやAmigaOne X5000といった複数のPowerPCシステムをサポートしています。

●MorphOS対応ハードウェア一覧
https://www.morphos-team.net/hardware

3dfx Voodooの処理をTinyGLへ転送

もうひとつの注目点が、3dfx Voodooエミュレーションへの対応です。

3dfx Voodooは、1990年代後半のPCゲームで広く使われた3Dアクセラレーターです。『Tomb Raider』や『Carmageddon』『Screamer 2』など、3dfxの「Glide」APIに対応したゲームでは、ソフトウェア描画版より滑らかな表示や高画質なテクスチャーを利用できました。

MorphOS版DOSBoxでは、エミュレートされたVoodooの描画処理を、MorphOSのOpenGL互換3D APIである「TinyGL」へ転送します。すべてをCPUによるソフトウェア処理だけで描画するのではなく、MorphOS側の3D機能を利用できる点が特徴です。

PowerPC搭載の旧Mac系マシン上で、Voodoo対応DOSゲームをハードウェアアクセラレーション付きで動かせるという、かなりニッチながら興味深い実装となっています。

SDLを使わないMorphOSネイティブ設計

一般的なDOSBox移植では、映像、音声、入力などの処理にクロスプラットフォームライブラリーのSDLが使われています。

一方、今回のMorphOS版はSDLを介さないネイティブフロントエンドを採用。MorphOSが備える各種APIを直接利用するように設計されています。

現行ポートで紹介されている主な機能は以下の通りです。

  • Overlayを利用したネイティブ映像出力
  • TinyGL/OpenGL出力
  • 3dfx VoodooエミュレーションのTinyGL転送
  • SANA-IIによるネットワーク接続
  • AHIを直接利用したサウンド出力
  • Windows 3.1/95向けマウス統合
  • MUIベースの設定画面
  • MUIによるキーマップ編集
  • シリアルポートのパススルー
  • シリアル通信を使用するゲームへの対応

「AHI」はAmiga系OSで利用されているオーディオシステム、「SANA-II」はネットワークデバイス用の標準インターフェースです。「MUI」はMorphOSのアプリケーションでも広く使われるGUIシステムで、設定ファイルを直接編集しなくても、画面上から各種オプションやキー配置を変更できます。

Windows 3.1/95のマウス統合では、エミュレーターのウィンドウと、エミュレートされたWindows環境の間でマウスポインターを扱いやすくすることができます。

Release 3で追加された変更は2点

PPAでは現行MorphOS版DOSBoxが備える機能全体が紹介されていますが、GitHubのRelease 3で今回の変更として明記されている内容は、以下の2点です。

  • Overlay向けダイレクトRGB16PCモード
  • ビットマップ処理の修正

そのため、TinyGL、Voodoo、MUI設定、PowerPC向けJITなどが、すべてRelease 3で初めて追加されたというわけではありません。

実際に、2026年8月1日に公開された「Dosbox Jit Release 2」の時点でも、MorphOSネイティブアプリケーション、Voodoo 1エミュレーション、高速化されたJITが主要機能として挙げられていました。

Release 3は、これまでに実装されてきたMorphOS専用機能を土台に、Overlay表示とビットマップ処理を改善した更新と見るのが正確です。

なお、GitHub上のリリース名は「Dosbox Jit Release 3」ですが、タグは「dosbox_2.3_jit」、更新欄には「Release 2.3」と記載されています。

約1.8MBのLHA形式で配布中

DOSBox JIT Release 3は、GitHubから約1.8MBのLHA形式アーカイブとしてダウンロードできます。

WindowsやmacOS、一般的なLinux向けのDOSBoxではなく、MorphOS専用のビルドです。利用にはMorphOSが動作するPowerPC搭載環境が必要となります。

現在もPowerPC搭載Macを活用しているMorphOSユーザーにとって、DOSゲームのCPUエミュレーションだけでなく、Voodoo対応タイトルやWindows 3.1/95環境まで高速化できるのは魅力的です。

特に、VoodooエミュレーションをTinyGLへ接続し、PowerPC G5上でPentium 166MHz前後の速度を目指している点は、通常のDOSBox更新とはひと味違うもの。旧Mac系ハードウェアと1990年代のPCゲームを組み合わせた、非常に濃いエミュレーションプロジェクトといえそうです。

●Dosbox Jit Release 3(GitHub)
https://github.com/rzookol/dosbox_morphos/releases/tag/dosbox_2.3_jit

●dosbox_morphos ソースコード
https://github.com/rzookol/dosbox_morphos

●Dosbox Jit Release 2
https://github.com/rzookol/dosbox_morphos/releases/tag/dosbox_2.1_jit

via.PPA

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