90年代中盤あたりから注目を集めてきたのが、オンラインゲームなどインターネットを利用したマルチプレイゲームだ。一口にオンラインゲームといっても種類は様々。中でも当時人気を博していたのが、オンラインRPGやMMORPG(※1)といったジャンルのゲームである。
これは、数千人が同じサーバーにアクセスし、ひとつの世界を共有して冒険するゲームのことをいう。ゲームの世界で出会うキャラクターの多くは、実際に他のプレイヤーが操作をしている。
当然そこには筋書きなど行った物はなく、そのキャラクターに自分自身が乗り移り、そこで出会った人々と会話をしたり冒険に出かけたりすることができる。まさに、”ロールプレイング”をコンピュータ上で楽しめるというわけである。
このオンラインRPGの中でも、とりわけ人気が高かった作品が、『ウルティマ オンライン ザ・セカンド エイジ』と『EverQuest』というゲームだ。
初心者日本人プレイヤーを考慮した新パッケージも用意されていた『ウルティマ オンライン ザ・セカンド エイジ』
世界3大RPGのうちのひとつ、『ウルティマ』シリーズの雰囲気をそのままに、多人数参加型RPGとして1997年10月に発売されたのがこの『ウルティマ オンライン』だ。その後、ウルティマの世界をさらに広げる『ウルティマ オンライン ザ・セカンド エイジ』が発売。日本国内にもサーバーが設置され、現在でも数多くのプレイヤーでにぎわっていた。
この当時、オリジナルの発売からすでに2年近くがたち、ゲームとしての熟成度も増していた。そのウルティマのパッケージと価格を一新し、リニューアル発売したのが、この『ウルティマ オンライン ザ・セカンド エイジ』である。
これにともない、新たな機能が3つ加えられている。そのひとつが、キャラクター作成の簡易化だ。『ウルティマ オンライン』の世界では、キャラクターを始めに作るときにいろいろなスキルポイントを振り分け、ある種の専門能力を付けていくことになる。これにより、自分がどういったキャラクターを演じたいかなど決め手行くわけだが、初心者にはポイントの意味なども分かりにくいといった印象は否めなかった。その部分に関して、ゲームを始めるまでのプロセスを、よりわかりやすく変更されていた。
これ加えて、プレイヤー同士メッセージのやりとりが行える「ウルティマ・メッセンジャー」の導入と、入門者が自然にゲームの世界を学べるクエストも追加されている。
ゲームマニアだけではなく、こうした細かい配慮がプレイヤーの数を増やし、ゲームに幅を持たせていたのであろう。また、クリスマスなど特別な日には、プレイヤー全員にプレゼントが配られるなど、ちょっとしたイベントも頻繁に開催されていた。モンスターを殺すもよし、商人として生きるもよし。すべてはプレイヤーの思ったように生活できる、もうひとつの空間だったのである。
『ウルティマ オンライン ザ・セカンド エイジ』
メーカー:エレクトロニック・アーツ・スクウェア
対応ハード:Windows 95/98
ジャンル:RPG
発売日:1999年10月1日
価格:5800円(税別)
必要環境
CPU:Pentium MMX 200MHz以上
メモリ:64MB以上
HD空き容量:383MB以上
CD:4倍速以上
ディスプレイ解像度:640×480、16bitカラー
サウンド:16bitサウンドカード
ネットワーク:28.8Kbps以上のインターネット接続
(c) 1999 ORIGIN Systems, Inc.
パーティープレイでハンティングを楽しむ究極のオンラインRPG『EverQuest』
『EverQuest』は、パーティプレイのRPGを主体としたゲームである。プレイヤーは、12種族、14の職業の中からキャラクターを作り冒険へ出かけていくのだ。ゲームの世界はバリバリの3D。その中を、プレイヤーが操るキャラクターやさまざまなNPC(※2)が動き回っているのである。
『EverQuest』を一言でいうならば、様々な特殊能力を持ったプレイヤーがパーティを組み、コンピュータの操るモンスターを倒しながらレベルを上げていくといった内容のゲームだ。戦士は強靱な肉体と破壊力を持った武器を持ち、パーティの前面でモンスターを叩く。
魔法を使うキャスターが、やや離れたい位置から強力な攻撃魔法を撃ち込みとどめをさすというように、それぞれの役割がはっきりしているのである。モンスターの出現場所はある程度確定しており、パーティや自分のレベルに見合った敵を探し倒していくのだ。
これらモンスターの中には、貴重なアイテムを落とすものもいる。ある、マジックアイテムを入手するためにモンスターが出現する場所で、24時間以上待ち続けるプレイヤーも少なくない(俗にキャンパーと呼ばれている)。もはや、ゲームの世界に住んでいるといっても過言ではない感じであった。
麻薬的な魅力を持ったゲームともいえるので、プレイをするにはそれなりの覚悟がいる(笑)。かく言う筆者も、当時は一日12時間ほど向こうの世界に入り浸っていた。『EverQuest』無しの生活は送れなくなってきていたともいえる。
初心者にはやや敷居が高く感じるゲームではあったが、やり方さえ覚えてしまえばあとは雪崩式にハマってしまうプレイヤーも数多く見てきた。現在ではすっかり廃れてしまったMMORPGだが、当時はこうした魅力的な作品が多数登場してきた時代でもあった。
『EverQuest』
メーカー:Sony Computer Entertainment
対応ハード:Windows 95/98
ジャンル:RPG
発売日:1999年3月16日(※輸入品のみ)
価格:オープンプライス
必要環境
CPU:Pentium 166MHz以上
メモリ:32MB以上
HD空き容量:500MB以上
CD:6倍速以上
ディスプレイ解像度:640×480、16bitカラー(DirextX6.1に対応した3Dグラフィックカード(V-RAM 4MB以上))
サウンド:Windows互換サウンドカード
ネットワーク:28.8Kbps以上のインターネット接続
989 Studios, 989 Studios logo, EverQuest and you’re In Our World Now are trademarks of Sony Computer Entertainment America Inc.Windows is regeistered trademarc of Microsoft Corporation.3Dfx Interactive logo is a trademark of 3Dfx Interactive,Inc. All rights reserved.Game developed by 989 Studios.(c)1998 Sony Computer Entertainment America Inc.The Station is a registered trademark of Sony Online Entertainment Inc.All rights reserved.(C)1999.All rights reserved.
※1
オンラインRPG
多くのオンラインRPGは、サーバー利用料金を支払う必要がある。基本はカード決済だが、『ウルティマ オンライン』のようにゲームショップなどでアクセスクーポンが売られているものもある。ちなみにMMORPGはMassively Multiplayer Online Role-Playing Gameの略語で、ひとつのサーバに大人数のプレイヤーが参加して一緒に遊ぶことができるオンラインRPGのことを呼んでいる。
※2
NPC
ノン・プレイヤー・キャラクターの略。一般的に、コンピュータが操るプレイヤーやモンスターのことを差す。
こちらは、ゲームが発売された当時に書いた記事に一部加筆・訂正を加えたものです。データ等は当時のままになっています。