Scratchで作ったゲームやアニメーションを、初代Xboxなどの古いゲーム機で動かせる非公式プロジェクト『Scratch Everywhere!』。その最新版となるv1.3が、開発チームによって2026年11月1日(日本時間)に公開されました。今回のアップデートでは初代Xboxへの新対応に加え、作品の実行速度を向上させる「Bytecode」方式の導入や、Scratch標準ブロックの実装完了が発表されています。
『Scratch Everywhere!』は、ビジュアルプログラミング環境「Scratch 3」で作られた作品を、C++製の独自ランタイムで実行するためのソフトウェアです。Scratchの作品があらかじめ収録されているわけではなく、自分で作ったゲームや、ほかのユーザーが公開している作品のファイルを用意して動かす仕組みになっています。普段はPCやブラウザーで楽しむScratch作品を、ゲームキューブやPSPなどの実機で遊べる点が大きな特徴です。
●『Scratch Everywhere!』v1.3(GitHub Releases)
https://github.com/ScratchEverywhere/ScratchEverywhere/releases/tag/1.3
●『Scratch Everywhere!』公式プロジェクト・README
https://github.com/ScratchEverywhere/ScratchEverywhere
初代Xboxに新対応!専用描画方式でPenやSprite効果もサポート
今回の目玉のひとつが、初代Xbox版の追加です。開発者のMikeDev101氏が移植を担当し、Xbox向けの独自レンダラー(描画処理)を実装。HD A/V出力に加え、Scratchの「Pen(ペン)」機能や、スプライトに適用する各種視覚効果にも対応しています。代替手段としてSDL3レンダラーも用意されていますが、こちらは将来のバージョンで削除する予定とされています。
初代Xbox向けの配布ファイルは「scratch-xbox.zip」です。公式の導入ガイドによると、改造済みのXbox実機では「default.xbe」を使って起動し、Scratch作品を本体の「E:\ScratchEverywhere」フォルダーに配置します。Xboxエミュレーター『xemu』向けにはISO形式も用意されており、実機を持っていない場合にも試せる構成です。
新しいBytecode方式で実行速度が約2.25倍に
動作面では、Scratch作品を効率よく実行する「Bytecode(バイトコード)」ランタイムが新たに導入されました。開発チームの説明によると、v1.2.1との比較で作品の実行速度が約2.25倍になり、メモリー使用量も削減されたとのことです。Bytecode方式は標準で有効になっており、作品ごとの設定から変更することもできます。
ただし、約2.25倍という数値は開発チームによる比較結果で、すべてのゲーム機や作品で同じ速度向上が得られるわけではありません。それでも、処理能力やメモリーに余裕がない古いゲーム機でScratch作品を動かすうえでは、注目したい改良といえそうです。
さらに、周囲の音の大きさを取得する「Loudness」ブロックへの対応も追加されました。開発チームはこれを最後の未対応ブロックとしており、今回の更新によってScratch標準ブロックの実装がすべて完了したと説明しています。ただし、ブロックが実装されたことと、あらゆる作品がすべての機種で正しく動くことは別です。
Wii Uの2画面表示やDSの音声再生にも対応
既存の対応機種にも、さまざまな改善が加えられています。Wii U版には新たに「GX2レンダラー」が追加され、スプライトの視覚効果や2画面表示に対応しました。ただし、2画面表示を利用するには、作品の解像度を400×480にする必要があります。
ニンテンドーDS版では音声再生が再び有効になり、WAV形式の音声ファイルを再生できるようになりました。PSP版はレンダラーをSDL3に更新し、文字やPenの描画問題を修正。全体的な性能改善も見込まれています。また、PS Vita版とWii版では、アプリの起動時にクラッシュする問題が修正されました。
このほか、ニンテンドー3DS版では2画面表示時のPen描画などを修正。Nintendo Switch版とPS4版はOpenGL Coreへの対応によってスプライトの視覚効果を利用できるようになり、Windows版には新しいDirect3D 9レンダラーが追加されています。
利用にはHomebrew環境が必要。作品ごとの互換性にも注意
『Scratch Everywhere!』v1.3はGitHubで公開されており、初代Xboxのほか、ゲームキューブ、Wii、Wii U、ニンテンドーDS/3DS、PSP、PS Vita、Nintendo Switch、PS4、PCなどに向けた実行ファイルが配布されています。ただし、ゲーム機で利用する場合は基本的にHomebrewソフトを実行できる環境が必要で、公式ガイドも導入済みの本体を前提としています。
また、プロジェクト自体は現在も開発途中です。公式サイトでは、複雑な作品は動作が重くなることがあり、とくにニンテンドーDS、ゲームキューブ、PSPではメモリーの制約が大きいと説明されています。機種によって利用できない機能もあるため、まずは比較的小さな作品から試してみるのがよさそうです。
自分で作ったScratch作品を、かつて遊んでいたゲーム機で動かせるというのは、なかなか面白い試みです。今回のv1.3では対応機種がさらに広がり、実行方式と機能面でも大きな前進がありました。古いハードの新たな楽しみ方として、今後の開発にも注目したいところです。




















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