中国の通販サイトに突如現れた、Windows95を搭載した携帯マシン『Hand 386』。CPUにintel 386SXを搭載。8メガバイトのメモリーに640×480ピクセル256カラーの液晶ディスプレイを搭載しているなど、なかなかユニークな機種となっています。
そうしたこともあって、あっという間に世界中で話題になっていましたが、元々台数が少ないためかすぐに売り切れになってしまいました。
●Hand 386の販売ページ(2023年6月13日の時点では売り切れに)
https://www.aliexpress.us/item/1005005542582463.html?gatewayAdapt=4itemAdapt
ということで、こちらのマシンを入手してみたので、今回はそのレビューをお届けします!
コンパクトなボディに必要最低限の機能を集約
本機が届いてからいろいろといじくり回していたのですが、最初は問題なく起動していたものの、徐々に動作が怪しくなっていき、現在は数回電源を入切してようやく起動するといった感じになっています。元々完成された商品という感じではなく、手作り感が溢れるものであるため、ある程度割り切って使う必要がありそうです。
ちなみになぜこの時代に386SXをCPUに採用してるの? と、素朴な疑問が思い浮かびますが、実は最近でもこのCPU自体は使われており、いろいろなものに組み込まれています。このマシンを作るときに、そうしたものからパーツを集めて作り上げています。
ちなみにパッケージの中身には、本体のほか、電源供給用のUSBケーブルとACアダプター、PS/2マウスとキーボードを接続するためのアダプターとケーブルが同梱されています。
本体のサイズは高さ15センチ×横12.7センチ×奥行き1.72センチと、思っていたよりも小ぶりです。最初箱を開けたときに、本体のかわりにDVDドライブみたいなのが入っていて思わず「騙された!」と勘違いしてしまうほどでした。
液晶画面の下にはキーボードが並んでおり、ある程度のコマンドはこちらで入力することができます。キーボードの打鍵感は、ふにゃふにゃとしたゴム性のもので、よく売られている小型のキーボードに近い印象です。
本体右側面には、8ビットのISA拡張バスと、VGAとPS/2のキーボードとマウスを接続するための出力ポートが設置。反対側の左側面側には電源用ポートとUSBポート、1GBのコンパクトフラッシュが搭載されています。
このUSBポートですが、基本的にUSBメモリーなどストレージとして利用するモノしか接続することができません。USBメモリーを挿した場合は、自動でDドライブに割り当てられます。
Windows95を使用するにはPS/2マウスが必須
本体の電源ボタンのスイッチを入れると、マシンが起動します。一瞬Windows95のロゴマークが表示されますが、そのまま起動するわけではなく、DOSのコマンドプロンプトが表示された時点で起動終了といった流れです。
ここからWindows95を起動するときは、
>win
とコマンドプロントで入力すればOKです。ただし! この状態でWindows95を起動することはオススメしません。本機にはキーボードが付属しているためいろいろと操作できそうなイメージがありますが、マウスの代わりになるような機能は用意されていないからです。つまり、マウスを別途用意しておかなければWindows95の操作を行うことはできません。
マウスはいろいろと余ってるので、PS/2をUSBに変換するケーブルを買えばいいだけだろ? と思って、こちらのアイテムを購入したのですが、実はマウス自体が対応していないと使えないことが判明しました。
マウスだけではなくキーボードも外部のものを使用した方がいいと思い、ついでに注文してみました。しかし、まさか令和の時代になってPS/2のマウスとキーボードを購入する日がくるとは夢にも思いませんでした(笑)。
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https://amzn.to/43AUAju
●サンワサプライ 有線コンパクトキーボード SKB-KG3BKN2
https://amzn.to/43LXvWA
Windows95は起動するもののほとんどおまけ程度!?
『Hand 386』には英語版のWindows95があらかじめインストールされています。現在と違い多国語に対応しているわけでもないため、日本語のアプリを起動するとやはり文字化けしてしまいます。
ちなみにWindowsの中身はかなりスッキリとしており、おなじみのスクリーンセーバーも入っていない感じでした。その代わりといってはなんですが、ゲームは『フリーセル』、『ハーツ』、『マインスイーパー』、『ソリティア』の4種類が収録されています。
このマシンを入手したきっかけのひとつは、自宅にあるWindows95対応のゲームが動かせるのではないか? と思ったからです。そのときはあまり深く考えていませんでしたが、実際にこのマシンでそうしたゲームを動かすにはイメージ化したディスクをなんとか移し替えて読み込ませる必要があります。これがいまいちうまくいかず断念。
そもそも必要最低限のスペックを確認してみたところ、どのゲームもPentium以上のものばかりであったため、無謀な試みであったことに気が付きました。
というわけでそちらの計画はあきらめて、まずはプリインストールされているゲームを起動してみることに。『ハーツ』は遊び方自体がわからなかったので起動確認だけしましたが、『マインスイーパー』と『フリーセル』は問題な苦遊ぶことができました。とくにWindows95の『フリーセル』は大好きなゲームであったため、嬉しいポイントでもあります。
ここで1回だけ問題が起きたのが『ソルティア』です。ゲームは動くのですが……グラフィックの表示が途中で乱れてしまい、まともに見られない状態になってしまいました。別のタイミングでプレイしたときは普通に遊べたので、それほど気にすることではないかもしれませんが、こんな動作が軽そうなゲームでもこの状態ということで、Windows95で何かをするというよりも、もはやオマケ程度の機能と考えた方が良さそうです。
市販のWindows95ゲームを動かすのは難しいのですが、動作が軽いフリーウェアのゲームならばある程度遊べそうということで試したのが『さめがめ』です。USBドライブにさしたプログラムから起動しましたが、こちらはまったく問題なく遊ぶことができました。
本機の特徴のひとつとして、サウンドカードにOPL-3(YAMAHA YMF262-M)を搭載している点が上げられます。ゲームでチェックしたかったのですが、とりあえずその音色を確かめるためかWindows95のデスクトップに「MIDIen」というフォルダーが用意されており、そちらで5曲ほどの楽曲が聴けるようになっていました。
サウンド自体はなかなか素晴らしく、こちらを活かしたゲームなどもいくつか楽しむことができそうな印象です。
メインとして使うならやはりDOSゲーム?
他のレビュワーが、本機はWindows95よりもWindows3.1をインストールした方がいいといっていましたが、たしかにマシンスペック的にはそちらのほうが実用的といえそうです。とはいえ、マシンのリカバリー方法もわからないため失敗すると単なる文鎮になる可能性もあるため、特に試していません。
それよりも、本機の最大の活用ポイントはDOS/Vのゲームをある程度動かすことができるというところです。
Cドライブに「game」とういうフォルダが作られており、その中にあらかじめ5本ほどゲームがインストールされています。『DOOM』や『ウルフェンシュタイン3D』などおなじみのものばかりでしたが、そちらで動作をチェックすることができます。
ちなみに別のDOS/Vゲームもインストールしてみましたが……こちらは設定が悪いのか、ゲームは動いたり動かなかったりと結果はまちまち。ある程度DOS/Vゲームに関する知識があれば細かく設定を行い動かすことができるのかもしれませんが、いかんせんかなり時間が経っており当時の記憶は何もないため、対応することができませんでした。
若干センシティブだが唯一無二の存在
マシンとしては非常にセンシティブで、なんでもかんでも自由に動かせるといったものとはかなりほど遠いといえます。しかしながら、2023年の現在、Windows95を動かせるというユニークなコンセプトは賞賛に値するレベルだといえます。
個人的な希望としては、CPUはPentiumIIかIIIぐらいで3Dfxのグラボを積んでいるようなものがほしいところですが、今後新たなマシンが登場することにも期待したいですね!