今回レビュースするのは、レトロなゲーム機器を取り扱っているPendorraさんからご提供頂いたハンドヘルドデバイス『RG350P』です。アマゾンでの販売価格は1万1990円(税込)。以前こちらのサイトで、約1万円ほどで購入できるデバイスでPC版『Diablo』が遊べるという記事をご紹介したことがありますが、本製品はその最新モデルにあたります。



この『RG350P』は、アルミボディを採用した『RG350M』の後継機としてこの夏に登場したものですが、今回はアルミではなく人気モデルの『RG350』と同様、ふたたびプラスチックボディが採用されており軽量化が行われています。『RG350M』では、640×480の3.5インチIPS液晶が搭載されていましたが、先ほどのアルミボディもあわせて重力もあり解像度の高さから電池の持ちもやや劣っていました。そうしたこともあってか、本来の携帯ゲーム機の魅力のひとつである携帯性とバッテリーのもちなどを考慮して、液晶も以前の320×240の3.5インチIPS液晶に戻っています。
RG350Pの基本スペック

モデル名 | Anbernic RG350P |
---|---|
ディスプレイ | 3.5インチIPS液晶(320×240) |
SOC | Ingenic JZ4770 Intel Vivante GC860 |
CPU | 4770デュアルコア1.0 GHz |
GPU | Vivante GC860 |
メモリー | DDR2 512M |
ストレージ | 16GBデュアルEXTスロット |
バッテリー | リチウムポリマー2500 mAh |
RG350Mの基本スペック

モデル名 | Anbernic RG350M |
---|---|
ディスプレイ | 3.5インチIPS液晶(640×480) |
SOC | Ingenic JZ4770 Intel Vivante GC860 |
CPU | 4770デュアルコア1.0 GHz |
GPU | Vivante GC860 |
メモリー | DDR2 512M |
ストレージ | 16GBデュアルEXTスロット |
バッテリー | リチウムポリマー2500 mAh |
RG350の基本スペック

モデル名 | Anbernic RG350 |
---|---|
ディスプレイ | 3.5インチIPS液晶(320×240) |
SOC | Ingenic JZ4770 |
CPU | 1 GHzシングルコアMIPS XBurst1 |
GPU | Vivante GC860 |
ストレージ | 16-32GB + ext。MicroSD |
バッテリー | 2500mAh |
『RG350』からのリプレイスには最適
残念ながら『RG350M』持っていないため今回は『RG350』との比較になりますが、実際に比較してみたところ、進化を感じられる部分がいくつもありました。

まずはCPU。『RG350』は、Ingenic JZ4770の1 GHzシングルコアが搭載されていましたが、『RG350P』では、同じIngenic JZ4770の1 GHzでもデュアルコアが採用されています。これによるパフォーマンスの違いはかなり明確にわかるようになっており、『RG350』ではやや重ためだったメニュー操作も『RG350P』ではサクサク動かすことができます。
『RG350』では、外部スロットにMicroSDカードがあるほか、本体のケースを開けた中に、OS用のMicroSDカードスロットが用意されていました。しかし、『RG350P』では片方は封印されているものの、ふたつのMicroSDカードスロットはアクセスしやすいように、両方とも外側に設置されています。
また、左側の十字キーとアナログスティックの位置も入れ替わっています。実際のところいくつかゲームをプレイしてみましたが、たしかにこちらのほうがすっきりなじんでいました。アナログスティック自体『RG350』では高めになっていましたが、『RG350P』では出っ張らず操作もスムーズになっています。





デフォルトで収録されているソフト

この手のエミュレーターゲーム機は、自らカスタマイズしていくことができるというのも魅力のひとつです。が、今回はあえて購入して起動した状態のままで収録されているソフトなどについてチェックしていきたいと思います。
まずはエミュレーター以外の収録ゲームについて。こんなのいるのか? と思いがちですが、想像以上によくできているので、変な笑いがこみ上げてきます。




収録エミュレーターの性能をチェック
本製品には、16本のエミュレーターが収録されています。今回はマルチアーケードエミュレーターの『Xmame』やNEOGEO関連、DOSベースのPCゲームが遊べる『DosBox』、オープンソースのゲームエンジンの作品が遊べる『OpenBOR』などはチェックしていません。
なお、動く動かないの話しは、単に設定の仕方が間違っているなどということが影響している場合もあるので、こちらは参考程度にして詳細はご自身で調べてみてください。

タイトル | 内容 |
---|---|
Xmame | マルチアーケードエミュレーター『MAME』を、Linuxベースの携帯ゲーム機向けに作られたアプリ。 |
DosBox | PC DOSゲームが遊べるアプリ |
FBA-RG350 | カプコンのCPS-1~3やNEOGEOなど、アーケード系ゲームが遊べるエミュレーター |
Fceux | ファミコン(NES)エミュレーター |
Gambatte | ゲームボーイ/ゲームボーイカラーエミュレーター |
Genesis Plus GX | メガドライブ(ジェネシス)エミュレーター |
OpenBOR | ノルウェーの企業が開発した、ベルトスクロールアクション『ベア・ナックル』のための無料ゲームエンジン。そちらで開発されたゲームを遊ぶことができます。 |
Oswan | ワンダースワン/ワンダースワンカラーのエミュレーター |
Pcsx4all | 初代PlayStationエミュレーター |
Picodrive | メガドライブ(ジェネシス)エミュレーター |
PocketSNES | スーパーファミコン(SNES)エミュレーター |
Race | NEOGEOポケットエミュレーター |
ReGBA | ゲームボーイアドバンスエミュレーター |
Temper | PCエンジンエミュレーター |
gngeo | NEOGEOエミュレーター |
ファミコンエミュレーター『Fceux』
ファミコンエミュレーターですが、ディスクシステムのゲームは読む込むことができませんでした。しかし、対応されないこともあるナムコ系のゲームなど、マッパー4関連の作品も問題なく遊ぶことができました。また、設定でスキャンラインを追加したり、FPSを表示させることもできます。セーブステートも利用出来るので、途中でゲームをやめて、その続きを次回遊ぶということも可能です。総じて、エミュレーターとしての完成度は比較的高い方だと言えます。






メガドライブエミュレーター
ややこしいのがメガドライブエミュレーターです。本製品では、『Genesis Plus GX』と『Picodrive』の2種類が収録されています。通常こうした製品を作るときに、ややこしさを避けるために日本人ならばどちらか優れていると思われている方に絞りがちですが、使えるものは何でも入れておけというのが中華流なのかもしれませんね!?
『Genesis Plus GX』はメガドライブ(ジェネシス)のほか、ゲームギア、マスターシステムに対応。メガCDは今回のテストではうまく動きませんでした。『Picodrive』は、メガドライブ(ジェネシス)とマスターシステム、メガCDに対応。スーパー32Xにも対応はしているものの、フレームレートはほとんどでないため実用的ではありませんv1.96がリリースされ、フレームレートについてはかなり改善されています。こちらは、SG-1000やゲームギアは認識しない、あるいは上手く動きませんでした。





PlayStationエミュレーター
『RG350』シリーズのひとつでもウリともいえるのが、PlayStationのゲームが遊べるところ。.CUE付きでリッピングしたゲームをプレイ出来ます。アクションゲームもいいですが、大作RPGやシミュレーションゲームを携帯ゲーム機で遊べるのはなかなかいい感じですね!

ゲームボーイ/ゲームボーイカラー/ゲームボーイアドバンスエミュレーター
ゲームボーイ関連のエミュレーターには、『Gambatte』が2種類と、『ReGBA』が収録されています。これに限らず、比較的アイコンで何のゲームに対応しているのかわかりやすいところがいいですね。



PCエンジンエミュレーター
PCエンジンのエミュレーターとして収録されているのが、『Temper』です。通常のPCエンジンのゲームに加えて、PCエンジンスーパーグラフィックスとCD-ROM2のゲームにも対応しています。ちなみに、CD-ROM2のゲームを動かすにはBIOSファイルが必要。また、bin+cue構成では上手く動かないので、動作しないときはimg+cue形式でリッピングし直してみましょう。



ワンダースワン/ワンダースワンカラーエミュレーター
ワンダースワンとワンダースワンカラーに対応したエミュレーターが『Oswan』です。実は、もっとも本機とマッチしているのがこのエミュレーターではないかと関心させられました。その理由が、本体を実機のワンダースワン同様に縦向きに持ち帰ることでゲームがプレイ出来るところです。
これにより、『GUNPEY』のような作品もオリジナルの雰囲気そのままに遊ぶことができます。


スーパーファミコンエミュレーター
スーパーファミコンのエミュレーター『PocketSNES』では、主に特殊チップ関連のゲームをチェック。事前に予想したとおり、『森田将棋』の2本で使われているST011とST018は、上手く動かず。『スーパーパワーリーグ4』で使われているSPC7110も動作確認ができませんでした。
そのほか、DSP、CX4、SA-1、S-DD1、SuperFXあたりを搭載したゲームは問題なく遊べるようです。

ST


SuperFX

CX4

DSP

S-DD1

SA-1

もちろんPC版の『Diablo』も動作可能
『RG350』は、すっかりPC版『Diablo』を遊ぶための専用マシンになっていましたが、この『RG350P』にもインストールしてみたところ問題なくゲームを遊ぶことができました。他のエミュレーターのゲームなども含めて、ラインアップを煮詰めると、ちょっとした旅行に持っていったときに、これ1台で事足りそうです。

もしかしたら、POLYMEGAにも肉薄!? 想像以上にポテンシャルを秘めた携帯ゲーム機
若干なめてたところもあったかもしれませんが、内蔵されているエミュレーターをチェックしてみていたところ、想像以上に本機のポテンシャルがわかってきました。なかでも比較的CD-ROMタイトルにも対応しているものが多いため、これは、この年末に発売されるマルチエミュレーター互換機の『POLYMEGA』に近い……まではいかなくとも、そこそこ張り合うことができるレベルなのかもしれません。
まぁ、それはちょっといいすぎかもしれませんが、いずれにせよ、1万円ちょっとでこれだけのポテンシャルのゲーム機が手に入るのは素晴らしいことです。お手軽に遊べる携帯エミュレーターをお探しならば、こちらをチョイスしてみるのもいいのではないでしょうか?
■販売ページ:Pendorra RG350P ポータブルゲーム機 (黒)
