7500円で買った中華OSSCの実力はいかに!? フレームマイスターのかわりとなる救世主になるか

7500円で買った中華OSSCの実力はいかに!? フレームマイスターのかわりとなる救世主になるか

2012年に、レトロゲーマーの救世主として生まれたアップスキャンコンバーターの『フレームマイスター』は、長らく王者の地位を守り抜いてきました。しかし、主要部品が手に入らなくなったことから、2019年6月に生産を終了。現在は、プレミアム価格で取引がされるアイテムとなっています。

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たしかに『フレームマイスター』が登場した当時は最高のアイテムでしたが、現在はそのときよりも大きく状況が変化してきており、レトロゲーマーたちが選ぶ選択肢も遙かに増えてきています。

今回ご紹介する“OSSC”こと『オープンソーススキャンコンバーター』も、その中のひとつです。

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個別のスキャンラインで映像を高画質・高速表示する『OSSC』

このOSSCは、フィンランドのマーカス・ヒエンカル氏がたったひとりで開発した、FPGAベースのビデオプロセッサです。

フレームマイスターなどのアップスキャンコンバーターとは異なり、フレーム単位ではなく個別のスキャンラインで映像を表示する仕組みが採用されています。いわゆる「ラインダブラー」とも言われる手法ですが、本体にはバッファメモリーは持っておらずリアルタイムに処理を行うことからラグもほぼないというのが特徴です。

対応している端子は、SCARTとコンポーネント、VGAのみ。それをHDMIに変換して出力することができます。

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日本でおなじみのコンポジット端子やS端子には対応していないため、無改造のファミコンやNINTENDO64では利用することができません。別途『Koryuu Transcoder』と呼ばれるトランスコーダーを追加することで利用はできますが……ま、そこまでするぐらいなら、『RAD2X』などすばらしい製品はいろいろとあるので、ほかの方法を選んだ方がいいでしょう。

SCARTの端子は、一見するとRGBと同じように見えますが内部の配線は異なっており互換性がありません。そのため、日本のゲーム機からRGB出力したものを取り込むためには、RGBをSCARTに変換するケーブルを入手する必要があります。

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▲入力端子はSCART、コンポーネント、VGAに対応。
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▲以前はライセンス問題を回避するためにDVIでの出力になっていましたが、現在のリビジョン1.6ではHDMIで出力が可能です。

この変換ケーブル、アマゾンなどで簡単に手に入りそうなイメージですが、実はほぼ売られておらず。オークションや海外サイトなどから入手する必要があるかもしれません。

正規版はVGP(videogameperfection.com)から110ユーロ(約1万4000円)で入手可能です。すでに次期モデルの『OSSC Pro』のリリースもアナウンスされていますが、そちらはもう少し高価なものになるようです。

7500円で入手した中華版『OSSC』の性能はいかに!?

……ということで、今回入手したのは、その正規版ではなく、いわゆる中華版ともいえるコピー商品のほうです。VGP以外でも様々なサイトで売られていますが、それらのほとんどはこうしたコピー品のようですね。

今回はAliExpressで売られていた『OSSC』の中から、最も安かったものをチョイス。お値段は7535円と、正式版よりも5000円ほどお安くなっています。

ドリームキャストのドライブエミュレーター『GDEMU』も海賊版が多い商品ですが、あちらはファームウェアのアップデートを行うことはできません。しかし、『OSSC』の場合はそもそもオープンソースのプロジェクトということもあり、正規版でなくともアップデートは可能で、実際のところほとんど問題なく利用することができます。

ちなみに、2020年8月19日時点での最新ファームウェアのバージョンはv0.86です。手元に届いたのがv0.85だったので、早速ファームウェアを更新してみることに。最初はよくわからずオーディオ無しのほうを選んでパッチを当てたところ、なんと音が出なくなってしまい焦りました。しかし、その後オーディオありの方を選んで当て直したら、無事音もでるようになりました。

ちなみに、パッチを当てることでメニューも日本語で表示されるようになっています。

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▲中華だけど……問題なく最新ファームにアップデート可能!

本体その物に不満はほとんどないものの、ひとつ気になったのは付属のリモコンです。こちらは入力の切り替えや、細かな設定など本体の基本的な操作を行うときに使用するのですが、ボタンがペコペコで場所によっては押した後で戻ってきにくいところがあります。

使用するときに無茶苦茶影響があるというわけではないですが、正規版はもう少ししっかりしているのかな? と思うと、ちょっと気になるところではあります

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ドリキャスとサターンとの相性はバッチリ!

今回は、RGBをSCARTに変換するケーブルは購入しておらず、コンポーネントケーブルも入手していないため、以前入手したRetro Gaming Cables(RGC)のドリームキャスト用ケーブル『Sega Dreamcast PACKAPUNCH RGB 480p SCART cable』と、セガサターン用の『Sega Saturn RGB SCART PACKAPUNCH PRO CABLE』を使って繋げてみました。

まずセガサターン用の『Sega Saturn RGB SCART PACKAPUNCH PRO CABLE』ですが、以前フレームマイスターに接続したところ、変な縞模様が見えあまりいい感じではなかったため、そのまま寝かせておきました。

しか~し! 『OSSC』ではバッチリ綺麗な映像で映ってくれます。もう、セガサターンの映像まわりは、これで十分なんじゃないでしょうか。

7500円で買った中華OSSCの実力はいかに!? フレームマイスターのかわりとなる救世主になるか
7500円で買った中華OSSCの実力はいかに!? フレームマイスターのかわりとなる救世主になるか
▲セガサターンも映像はまずまず。

もうひとつのドリームキャスト用ケーブル『Sega Dreamcast PACKAPUNCH RGB 480p SCART cable』は、フレームマイスターでも不満はありませんでしたが、『OSSC』に接続してみたところ、あれ? こんなに映像が綺麗だったっけ!? と、驚くレベルの美しい映像が表示されます。まぁ、実際はそれほど多くの差はないかもしれませんが(笑)。

7500円で買った中華OSSCの実力はいかに!? フレームマイスターのかわりとなる救世主になるか
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▲ドリームキャストは、かなり映像がしゃっきりした印象に。

入力できるレトロゲームは少し限られてしまいますが、フレームマイスターが入手困難になった現在、ひとつの選択肢として『OSSC』はかなりアリのアイテムといえます。

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高島おしゃむ
ライター/編集者。コンピューターホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。 現在はゲームやホビー、IT、XR系のメディアを中心に、イベント取材やインタビュー、レビュー、コラム記事などを執筆しています。