2026年10月18日、開発者のsigsantilio氏が、Philips CD-i向けエミュレーター『OpenCDi』の最新版となるv0.1.6を公開しました。今回のアップデートでは、複数トラックで構成されたVideo CDイメージへの対応が拡充されたほか、エミュレーターをリセットせずにディスクを交換できる機能が追加されています。
さらに、ゲームパッドによるカーソル操作の改善や、動画と音声の再生処理に関する不具合修正も実施。ホラーアドベンチャーゲーム『The 7th Guest』で発生していた、特定の場面でゲームの進行が止まる問題にも対処されています。
●公式リリースページ
https://github.com/sigsantilio/opencdi/releases/tag/v0.1.6
●公式GitHub
https://github.com/sigsantilio/opencdi

ゲームだけでなく動画も楽しめたPhilips CD-iを再現!
Philips CD-iは、1990年代に登場したCD-ROMを利用するマルチメディア機器です。ゲームだけでなく、教育用ソフトやインタラクティブなコンテンツなど、幅広い用途に対応していたことが特徴です。また、デジタルビデオカートリッジ(DVC)と呼ばれる拡張機器を利用することで、Video CDなどの動画を再生することもできました。
今回更新された『OpenCDi』は、そうしたPhilips CD-iの動作をPC上で再現するために開発されているオープンソースのエミュレーターです。プログラミング言語のRustで開発されており、ゲームだけでなく、映像や音声を含むCD-iならではのマルチメディア機能の再現も目指しています。
複数トラックのVideo CDに対応!ディスク交換も可能に
今回のアップデートで注目したいのが、Video CDへの対応拡充です。v0.1.6では、複数のトラックやファイルで構成されたVideo CDのCUE/BIN形式のディスクイメージを新たにサポートしました。
CUE/BIN形式とは、CDのデータをファイルとして保存する形式のひとつです。CUEファイルにはディスク内のトラック構成などが記録され、BINファイルには実際のデータが格納されています。CDによっては複数のBINファイルが使われることもあり、今回の更新では、そうした複雑な構成のディスクイメージも扱えるようになりました。
開発者は対応例として、『Kilby Predicts』や『Gateway to the Mind』を挙げています。これまで扱いにくかった構成のVideo CDを読み込めるようになったことで、CD-i向けに制作された映像コンテンツの再現にもつながる改善といえそうです。
また、複数枚組の作品に対応するため、エミュレーターをリセットせずにディスクを交換できる機能も追加されました。たとえば『Creature Shock』のように、ゲームの途中でディスクの入れ替えが必要になる作品を想定したものです。
従来はディスクを切り替える際にシステムをリセットする必要がありましたが、今回の機能によって、そのまま別のディスクに切り替えられるようになっています。
『The 7th Guest』の進行停止問題を修正!映像と音声の処理も改善
映像や音声の再生に関する部分も改善されています。
Philips CD-iでは、デジタルビデオカートリッジを利用することで、MPEG-1形式の動画を扱うことができました。『OpenCDi』もこの機能の再現に対応していますが、これまでは動画と音声の再生タイミングや、再生終了時の処理などに問題がありました。
今回のv0.1.6では、映像と音声のストリーム処理を見直すことで、こうした不具合の修正が行われています。
具体的な改善例として挙げられているのが、ホラーアドベンチャーゲーム『The 7th Guest』です。本作では、幽霊が登場するカットシーンの再生後、廊下の場面でゲームの進行が止まってしまう問題が発生していました。
原因となっていたのは、動画と音声の再生終了を判定する処理です。音声データがまだ残っているにもかかわらず、再生が終了したと誤って判定される場合があり、それによってゲームの進行に影響が出ていました。
今回のアップデートでは、この処理を修正することで、該当する場面から先へ進めるようになったと開発者は報告しています。ただし、今回の修正は特定の進行停止問題を対象としたものであり、すべての場面で問題なく動作することを保証するものではありません。
このほか、デジタルビデオカートリッジ用のROMを検出し、関連機能を有効にする仕組みも改善されています。ROMが用意されている場合はDVCが自動的に有効になるほか、Windows版のメニューやコマンドラインから、手動で有効・無効を切り替えることも可能になりました。
ゲームパッドでのカーソル移動がより滑らかに!
ゲーム操作に関する改善も行われています。
従来の『OpenCDi』では、ゲームパッドの十字キーでカーソルを動かす際、座標が整数単位で大きく変化するため、動きが不自然になる場合がありました。
v0.1.6では、この処理が見直され、1フレームあたり2.5ピクセルという一定の速度で移動する方式に変更されています。小数点以下の移動量も保持することで、カーソルをより滑らかに動かせるようになっています。
また、十字キーから指を離した際に、カーソルが元の位置に戻ったり、勝手に移動したりする問題も修正されました。これにより、カーソルを目的の位置に合わせて止めるといった操作も、従来より自然に行えるようになっています。
Windows x64版を公開!利用にはBIOSなどが必要
『OpenCDi』v0.1.6は、GitHubの公式リリースページから入手できます。今回確認できた完成済みの配布ファイルは、Windows x64向けのZIP形式です。
ただし、エミュレーター本体だけでCD-iのゲームを動かせるわけではありません。通常の起動にはPhilips CD-iのシステムBIOSが必要となり、公式の案内では『cdi220b.rom』が推奨されています。また、Video CDやフルモーションビデオを使用する作品を動かす場合は、デジタルビデオカートリッジ用のROM『vmpega.rom』も必要です。
これらのROMデータは著作権上の理由からエミュレーター本体には含まれていないため、利用者が別途適法に用意する必要があります。ゲームや動画を利用する場合も、対応するディスクデータが必要です。
なお、公式GitHubにはゲームごとの互換性リストも公開されています。『Hotel Mario』『Dragon’s Lair』『Lost Eden』『Striker Pro』などの動作状況が掲載されていますが、起動できる段階のものからゲームプレイが可能なものまで、対応状況は作品によって異なります。
まだ開発途上のエミュレーターではあるものの、今回のアップデートではVideo CDの読み込みやディスク交換、ゲームパッド操作、映像・音声再生など、実際の利用に関わるさまざまな部分が改善されました。ゲーム機でありながらマルチメディア機器でもあったPhilips CD-iの特徴を、PC上でより忠実に再現するための開発が着実に進められています。
















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