1994年にMidwayから登場したレースゲーム『Cruis’n USA』について、アーケード版とNINTENDO64版をそれぞれドリームキャストに移植する、ふたつの非公式プロジェクトが進行中であることが明らかになりました。
海外サイト「The Dreamcast Junkyard」が2026年10月18日に公開した記事では、それぞれの開発者へのインタビューに加え、実際にドリームキャストで動作する開発途中のゲームをプレイした様子が紹介されています。
興味深いのは、単に同じゲームを移植しているわけではないという点です。ひとつはオリジナルのアーケード版をできるだけ忠実に再現するもの。もうひとつはNINTENDO64版をベースに、ドリームキャストならではの機能を追加しようというもので、まったく異なる方向性で開発が進められています。
●The Dreamcast Junkyard「Cruis’n USA Arcade and N64 Ports are coming to Dreamcast!」
https://www.thedreamcastjunkyard.co.uk/2026/10/cruisn-usa-arcade-and-n64-ports-are.html
アーケード版をドリームキャストで再現! すでに実機でレースも可能に
『Cruis’n USA』は、アメリカ各地を舞台にスポーツカーなどでレースを繰り広げるアーケードゲームです。1994年に登場した後、NINTENDO64にも移植されましたが、ドリームキャスト向けには公式に発売されていません。
今回、オリジナルのアーケード版をドリームキャストに移植しているのが、HombreImaginario氏です。同氏は、ドリームキャスト向けシューティングゲーム『Xenocider』の開発に携わったRetro Sumusのメンバーでもあります。
HombreImaginario氏は10月18日、海外フォーラム「Dreamcast-Talk」で開発状況を報告しました。それによると、すでにゲームを起動してレースをプレイすることが可能になっており、GDEmuを使用したドリームキャスト実機での動作確認も行われています。

もっとも、アーケード版をドリームキャストへ移植するのは簡単な作業ではありません。オリジナルはMidwayの「V-Unit」と呼ばれる基板で動作しており、ドリームキャストとはハードウェアの構成が大きく異なるためです。
そこで同氏は、公開されているゲームのソースコードを手がかりに、アーケード基板で使われていたTMS320C31の機械語コードをC言語へ変換。さらに、ドリームキャスト向けの開発環境「KallistiOS」を使用することで、移植を進めています。

現在の動作速度は通常おおむね28.5fpsで、これはオリジナルのアーケード版とほぼ同じ数値です。ただし、処理の重い場面では19fps程度まで低下することもあり、引き続き最適化が進められています。
また、同氏はThe Dreamcast Junkyardのインタビューで、可能な限りアーケード版に忠実な移植を目指していると説明しています。その一方で、オリジナルに存在した遠景のオブジェクトが突然表示される現象を目立たなくしたり、ビジュアルメモリ(VMU)にロゴを表示したりするなど、ドリームキャスト向けの改良にも取り組んでいます。
このほか、振動機能への対応や隠し車両・コースの利用なども紹介されており、アーケード版の魅力を残しながら遊びやすさを高めることも目指しているようです。

N64版の移植では30fpsの安定動作やオンラインランキングも計画!
一方、NINTENDO64版『Cruis’n USA』のドリームキャスト移植を進めているのが、MoneyShift64氏です。こちらはHombreImaginario氏とは別の独立したプロジェクトとなっています。
The Dreamcast JunkyardのJames Harvey氏は、実際にドリームキャストで動作する開発途中のビルドをプレイしたと報告しています。現時点で動作するコースはひとつだけですが、プレイした印象ではフレームレートも比較的滑らかで、大きな処理落ちも少なかったそうです。
さらにMoneyShift64氏は、同サイトのインタビューで今後の開発方針についても語っています。
まず目標としているのが、30fpsで安定して動作するゲームに仕上げることです。NINTENDO64版では処理落ちが発生する場面もありましたが、ドリームキャスト版では、より快適なレースが楽しめるようになることを目指しています。
それだけではありません。ドリームキャストにちなんだ隠し要素をゲーム内に追加するほか、振動機能やVMUの画面表示への対応も計画しています。
中でも注目したいのが、オンラインランキングの導入です。これが実現すれば、各コースのベストタイムを世界中のプレイヤーと競い合うといった、新たな遊び方も楽しめるようになるかもしれません。
ただし、これらは開発者が語った今後の計画であり、現段階ですべての機能が実装されているわけではありません。
さらにMoneyShift64氏は、将来的な構想として「Cruis’n Everywhere」というアイデアも明かしています。これは『Cruis’n USA』だけでなく、『Cruis’n World』や『Cruis’n Exotica』からも車両やコースを選び、ひとつのゲームにまとめるというものです。
実現すればシリーズの魅力をまとめて楽しめる作品になりそうですが、こちらはあくまでも将来の構想であり、正式な新作として発表されたものではありません。
同じ『Cruis’n USA』でも目指す方向はまったく別!
今回のふたつの移植プロジェクトは、同じ『Cruis’n USA』を題材にしながらも、その方向性が大きく異なっています。
HombreImaginario氏が目指しているのは、オリジナルのアーケード版をドリームキャスト上でできるだけ忠実に動かすこと。一方のMoneyShift64氏は、NINTENDO64版をベースにしながら、ドリームキャスト独自の機能を盛り込んだ作品へと発展させようとしています。
いずれも現在は開発途中であり、一般向けの完成版の公開日や配布予定などは明らかになっていません。
それでも、かつてドリームキャストでは発売されなかった『Cruis’n USA』が、アーケード版とNINTENDO64版という異なる形で楽しめるようになるかもしれないというのは、なかなか興味深いところです。今後、それぞれのプロジェクトがどのような仕上がりを見せてくれるのか、引き続き注目したいところです。
via.Dreamcast-Talk
















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