スーパー32X向けに発売された『カオティクス(Knuckles’ Chaotix)』を、WindowsやAndroidでネイティブ実行できるようにする非公式プロジェクト「ChaotixRecompiled」の最新版v0.3.4が、2026年9月27日に公開されました。
今回のv0.3.4では主にサウンド関連の修正が行われていますが、同日にはその直前となるv0.3.3も公開。こちらではゲーム本来の約59.92fpsという速度を維持しながらフレームペーシングを改善しており、1日のうちに映像の滑らかさと音声の両面でアップデートが行われた形です。
●ChaotixRecompiled v0.3.4(GitHub)
https://github.com/YuutaTsubasa/ChaotixRecompiled/releases/tag/v0.3.4
●ChaotixRecompiled v0.3.3(GitHub)
https://github.com/YuutaTsubasa/ChaotixRecompiled/releases/tag/v0.3.3
v0.3.4では32X PWMステレオ出力とYM2612を修正
最新版のv0.3.4で行われた変更のひとつが、スーパー32Xで利用されているPWMサウンドのステレオ出力に関する修正です。これまでは通常のステレオ再生時に左右両方の出力で左側のPWMソースが使われていましたが、修正後は左右それぞれのソースが独立して再生されるようになりました。左右を入れ替えるスワップステレオについても、正しくソースが交換されるようになっています。
もうひとつは、メガドライブ側のFM音源として使われているYM2612の処理です。アルゴリズム0、1、2、3、5について、前回サンプルの中間変調結果を保持するよう処理が変更され、これまで欠けていた遅延処理が修正されました。ほかのアルゴリズムや出力ゲインについては変更されていません。
ただし開発者は、今回の修正について「実機と完全に同じハードウェア精度の音声」を実現したものではないと説明しています。FM音源の再現精度やミキシングなどについては、今後も改善の余地が残されているとのことです。
v0.3.3では約59.92fpsを維持したままフレームペーシングを改善
v0.3.4に先駆けて同日に公開されたv0.3.3では、画面表示のフレームペーシングが改善されています。これはゲーム自体を「60fps化」するものではなく、『カオティクス』本来のゲーム速度となる約59.92fpsを維持したまま、各フレームを画面へ提示するタイミングをより安定させるための変更です。
従来はVSyncを有効にした環境で、次のゲーム更新前に同じフレームが再度表示される場合があり、その後の表示で2ゲームフレーム分を追いかけるような状態が発生する可能性がありました。v0.3.3では次のゲームフレームの期限まで待ってから入力を確認する方式に変更され、VSyncを無効にした場合についても同じフレームを繰り返し描画しないよう調整されています。
開発者が60Hzディスプレイを使用した2台のWindows環境でテストしたところ、新しいフレームが提示される間隔の99パーセンタイルは、従来の33~34msから約20msまで改善したと報告されています。ただし、この数値はアプリケーション側で測定されたフレーム提示間隔であり、ディスプレイそのものの物理的な入力遅延を測定したものではありません。
エミュレーターではなくゲームコードをネイティブC++へ変換
「ChaotixRecompiled」は、一般的なスーパー32Xエミュレーターとは異なるアプローチで『カオティクス』を動作させるプロジェクトです。ゲームで使用されている68000と2基のSH-2向けコードを事前にC++へ変換し、32Xやメガドライブのレジスター、VDP、割り込み、タイマー、サウンドチップなどを再現する互換レイヤーと組み合わせることで、ホスト環境向けのネイティブアプリとして実行します。
現在公開されているv0.3.4ではWindowsとAndroid向けのビルドが用意されており、Android版APKはarm64-v8aとx86_64に対応しています。また、v0.3.4には今回の音声修正だけではなく、v0.3.3で導入されたフレームペーシング改善や、さらに前のv0.3.2で行われたAndroid版のROMインポート修正も含まれています。
ゲーム本体のROMデータはChaotixRecompiledには含まれていないため、利用するにはユーザー自身が用意した『カオティクス』のROMが必要です。プロジェクト側からゲームデータが配布されているわけではなく、32X BIOSについては必要ありません。
Android実機では今回の変更が未検証
一方で、現時点ではいくつか注意しておきたい点もあります。v0.3.4で変更されたPWMやYM2612関連の音声処理についてはWindows側などでテストが行われていますが、Android実機ではまだ確認されていません。
同様に、v0.3.3で行われたフレームペーシングの変更についてもAndroid向けビルド自体は成功しているものの、変更後のタイミング処理はAndroid実機では再テストされていないとされています。そのためAndroid版については、今後の検証やアップデートによってさらに完成度が高まっていく可能性がありそうです。
スーパー32Xタイトルを現代のPCやAndroid環境でネイティブ動作させるというユニークなChaotixRecompiled。今回のv0.3.3とv0.3.4では大きな新機能追加こそありませんが、フレーム表示とサウンドというプレイ時の体感に関わる部分が立て続けに改善されており、プロジェクトの完成度を高めるアップデートとなっています。















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