『マリオカートWii』をAndroidやiPhone、iPadなどでネイティブ実行するプロジェクト「KartPad」の最新版となるv0.5.2が、2026年9月26日に公開されました。今回のアップデートでは、Android版で発生していたレース開始時のクラッシュが修正されたほか、直前のv0.5.1で利用できなくなっていたRVZ形式のゲームイメージ取り込み機能が復旧しています。Android ARM64向けAPKもGitHubからダウンロード可能です。
なお、今回のv0.5.2でAndroidに初対応したわけではありません。KartPadのAndroid向け公開版は2026年9月7日の「v0.4.10-android.1」から提供されており、9月20日公開のv0.5.0ではAndroid、iPhone/iPad、Apple Silicon Mac向けビルドが同じリリースとしてまとめて配布されるようになっています。v0.5.2はAndroid版の不具合修正を中心としたホットフィックスという位置づけです。
●KartPad v0.5.2 GitHub Release
https://github.com/chrissotraidis/kartpad/releases/tag/v0.5.2
エミュレーターではなく静的再コンパイルでネイティブ実行
KartPadは、『マリオカートWii』および非公式MOD「Retro Rewind」を対応プラットフォーム上で動作させるためのプロジェクトです。一般的なWiiエミュレーターのようにWii向けプログラムをそのまま実行するのではなく、「WiiCompiled」をベースにPowerPC向けのゲームコードを事前に変換し、端末上でネイティブコードとして実行する静的再コンパイル方式が採用されています。
Android版ではARM64のネイティブコードとして実行され、グラフィックスにはVulkanを使用します。AppleプラットフォームではMetalが使われており、スマートフォン向けのタッチ操作やモーションステアリング、各種コントローラーなどにも対応しています。KartPadはほかのWiiタイトルを読み込むための汎用Wiiエミュレーターではなく、『マリオカートWii』など対応するゲームに特化したプロジェクトです。
Android版のRVZ取り込みがv0.5.2で復旧
今回のv0.5.2で大きな修正となっているのが、RVZ形式のゲームイメージ取り込みです。ひとつ前のv0.5.1ではRVZ対応以前の古いディスクリーダーが組み込まれてしまったため、Android版からRVZを直接取り込めない状態になっていました。
v0.5.2では現在のディスクリーダーへ更新され、RVZのインポートが再び利用できるようになっています。開発者は新規インストール状態から『マリオカートWii』のRVZファイルを取り込み、実際にレースが開始できるところまで確認したと説明しています。今後はリリース時のチェックでも、RVZ非対応のディスクリーダーが含まれている場合は弾く仕組みが追加されています。
v0.5.1のリリースノートでは、Android版についてRVZ取り込みが含まれておらず、利用する場合は事前にISOへ変換するよう案内されていました。その制限がv0.5.2で解消されたことになるため、すでにゲームイメージをRVZ形式で保存しているユーザーにとっては導入しやすくなったアップデートといえそうです。
Renderer Validation使用時のクラッシュも修正
もうひとつのAndroid版に関する修正が、「Renderer Validation」を有効にしている状態でレースを読み込むとアプリがクラッシュする問題です。ゲーム側からGPUへ指定される深度範囲が許容される0~1の範囲からわずかに外れる場合があり、Validation機能がこれを致命的なエラーとして扱っていたことが原因でした。
v0.5.2ではこの値を有効範囲内に収める処理が追加されています。開発側ではv0.5.1でレース読み込み時にクラッシュする状態を再現したうえで、v0.5.2では正常にレースを開始できることを確認しています。
Renderer Validation自体は主に診断向けの機能ですが、v0.5.1では既知の制限事項として「有効にするとレース開始時に終了する」ことが明記されていました。その問題が今回正式に修正された形です。
Androidはv0.5.2、iPhone/iPadはbuild 86に更新
今回公開されたAndroid版は「KartPad 0.5.2/code 230」で、ARM64向けのAPKとして配布されています。iPhone/iPad版も0.5.2/build 86へ更新され、Android版と同じ深度範囲に関する修正が取り込まれました。
一方、iPhone/iPadでは今回修正された問題によるクラッシュは報告されておらず、プラットフォーム間でコードを揃えるための予防的な更新とされています。Apple Silicon Mac版については新しいビルドは公開されておらず、v0.5.1/build 85が引き続き最新版です。
Androidでv0.5.0またはv0.5.1を利用している場合は、現在のアプリを削除せず、そのままv0.5.2のAPKを上書きインストールできます。アプリデータを削除しなければ、ゲームデータやセーブデータ、設定はそのまま保持されると案内されています。
ゲーム本体は含まれないので別途用意する必要あり
注意しておきたいのは、KartPadのAPKをインストールしただけで『マリオカートWii』が遊べるわけではないという点です。配布ファイルにはWii版『マリオカート』のディスクイメージや抽出されたゲーム素材、セーブデータなどは含まれておらず、利用者自身が対応するゲームデータを用意する必要があります。
現在KartPadが対応対象としているのは、PAL版『マリオカートWii』の「RMCP01 revision 0」です。プロジェクト側でも、合法的に入手した自身のゲームデータを使用するよう明記されています。任天堂が提供している公式移植ではなく、Google Playなどからゲーム本体を含んだアプリとして配信されているものでもありません。
iPhone/iPad版についても、GitHubで配布されているのは署名されていないIPAです。そのため、そのままApp Storeからインストールする形式ではなく、利用する端末向けに別途署名して導入する必要があります。
Android版はすでに公開済み。今回は完成度を高めるアップデート
当サイトではこれまでにもKartPadを取り上げてきましたが、初期のバージョンはApple製デバイスを中心として開発が進められていました。その後、2026年9月7日に最初の無料Androidコミュニティリリースとなるv0.4.10-android.1が公開され、現在はAndroidもKartPadの正式な対応プラットフォームのひとつとして扱われています。
そのため今回のv0.5.2は「Androidに初対応したバージョン」というよりも、Android版が実用段階に入ったあとに発生した問題を修正するアップデートと見るのが正確です。とくにRVZ形式の直接取り込みが復活したことで、RVZで保管している『マリオカートWii』のゲームイメージをAndroid端末へ持ち込んで試しやすくなっています。
Android端末ではSoCやGPUによって動作状況にも違いがあるため、今後は実際のスマートフォンでどの程度動作するのかも気になるところです。















ダンジョンズ&ドラゴンズ ビジュアル大全 半世紀を超えるその歴史とアート









ゲームコンソール2.0