FPGAレトロな家庭用ゲーム機やアーケードゲーム、レトロPCなど、幅広いプラットフォームに対応したマルチシステムの『MiSTer FPGA』。ちょっと興味があるけど、なんかいろいろありすぎてどれを購入すればよく分からないという人向けのために、簡単な購入ガイドをご紹介していきます。
その前に、少しだけ『MiSTer FPGA』のご紹介をしておきましょう。この『MiSTer FPGA』は、プラットフォーム上に様々なコアを読み込んで、それぞれの機種にあったゲームなどが遊べるというものです。イメージとしては『RetroPie』に近いかもしれませんが、大きな違いはエミュレーターではなくFPGAでそれを実現しているところです。
エミュレーターはソフトウェア的に元のハードにあった機能を再現したものですが、FPGAはオリジナルの回路をプログラマブルなFPGA(field-programmable gate array)と呼ばれるチップ上に再現することで実現しています。オリジナルのマシンは、複数のチップが同時に動いていますがそうしたものも含めて再現することができ、オリジナルのハードに近い動きを実現しているというわけですね。
もちろんこれらはエミュレーター同様完璧とまではいえませんが、単にオリジナルのハードを再現するだけではなく、現代の利用環境に合わせて高解像度でHDMI出力できるなどのメリットも備えられています。
以下のフォーラムでは『MiSTer FPGA』に関する最新情報や議論などが活発に行われているので、興味がある方は覗いてみてください。
●MiSTer FPGA Forum
https://misterfpga.org/
●Reddit r/fogagaming
https://www.reddit.com/r/fpgagaming/
『MiSTer FPGA』を始めるのに最低限必要なもの
だらだらと長くならないようにするために、さっそく本題に入っていきましょう。この『MiSTer FPGA』を始めるために最低限必要となるのが『DE10-Nanoボード』と『SDRAM』です。
アダプターは『DE10-Nanoボード』に付属しており、電源を入れた瞬間起動する仕組みです。当然のことながら、『MiSTer FPGA』のシステムが入ったmicroSDカードが刺さっていない状態では、うんともすんとも動きません。
『SDRAM』は追加のメモリーですが、日本のアマゾンでも7000円ほどで購入可能(※1)です。『DE10-Nanoボード』は以前は150ドルほどで売られており、そのお手軽さが『MiSTer FPGA』の魅力ともなっていました。しかし、現在はコロナ渦の影響などでやや入手が困難になっているようです。
ちなみに以前は『SDRAM』はひとつで十分でしたが、コアの拡大化などにより最近はデュアルRAMを使用するケースも出てきているようです。こちらは今のところ必須というわけではないので、状況に応じてアップグレードしていけばいいでしょう。
SDRAMに関しては、少なくとも2024年4月の時点でデュアルが動作条件に必須のコアは存在しておらず、現状は慌てて対応する必要もありません。この傾向はしばらく続きそうな感じもするので、まだ慌てて導入する必要はないでしょう。
※1初稿時に間違った種類のSDRAMを掲載していたので修正しました
上記のふたつに加えて、『DE10-Nanoボード』にキーボードを接続するためのOTGケーブルやUSBハブ、キーボード(普通のPC用でもOK)を用意しておけばいいでしょう。これらはアマゾンなど一般的な場所で簡単に購入することができます。
なくてもいいけどあったほうがいいもの①
『MiSTer FPGA』といえば、ロゴマークが入ったケースや、ファンのようなものが付いたボードといったイメージが強いですが、実はこれらは特に無くてもほぼ性能的には影響ありません。しかし、やはり見た目は重要という人もいると思うので、余裕があれば入手しましょう。
日本のアマゾンでも『DE10-Nanoボード』以外のキットが販売されています。キットに含まれているパーツを利用することで、上記で紹介した『OTGケーブル』や『USBハブ』といったものを個別で購入する必要は無くなります。ものによっては、SDRAMやリアルタイムクロック(RTC:これもなくても問題なし)といったものも含まれているので、それらを個別で購入していくよりも楽な場合もあります。
ボードむき出しでも問題はありませんが、気になる人は外側を守ってくれるケースを購入するのがいいでしょう。最近はゲーム機のような見た目のものなどいろいろと登場してきているので、お好みでチョイスするのがいいと思います。
海外ではフルキットなども含むものも売られているので、そちらもチェックしてみてください。筆者か下記の2ヵ所から購入しましたが、MiSTer Addonsは送料がかなり高いため、あまりオススメしません。
●Ultimate MiSTer FPGA
https://ultimatemister.com/
●MiSTer Addons
https://misteraddons.com/
なくてもいいけどあったほうがいいもの②
ゲームを遊ぶための環境ということもあり、なくてもいいけどあったほうがいいものに含まれるのがコントローラーです。これに関しては、システム上でホタンのマッピングを行うため、USBに対応したものであれば無線・有線を問わず、ある程度利用することができます。
筆者は『retro-bit SEGA Saturn® 8-Button Arcade Pad』を利用していますが、ほとんどのゲームで問題なく利用することができています。
ただし、PlayStationコアで利用する場合はゲームによってL1、L2、R1、R2といったボタンが必要になることがあり、こちらでは足りないため注意しましょう。
また、実際に試したことはありませんが、オリジナルのコントローラーを『MiSTer FPGA』で利用するためのケーブル類もいくつか登場してきているので、そちらを利用するのもありです。
なくてもいいけどあったほうがいいもの③
『MiSTer FPGA』は、専用スクリプトを利用することで簡単にそれぞれのコアを最新の状態にすることができますが、ネット接続されている必要があります。『DE10-Nanoボード』自体に直接LANケーブルを挿すこともできますが、アダプターを購入することでWi-Fi経由でも接続が可能になります。
しかし、このWi-Fiアダプターは相性問題があり、必ずしもすべて動くわけではありません。筆者の場合も最初に購入したものが動かなかったため、フォーラムの情報を元に購入し直しています。
というわけで、2022年現在で最新の情報を改めて整理してみましたが、最も入手が困難なのはやはり『DE10-Nanoボード』のようです。こちらさえ入手できれば、後は日本のアマゾンなどでもお手軽に手に入れられるものが多いといった印象ですね。
また情報のアップデートがあるたびに、こちらのページも更新していきたいと思います。