オークション会社と共謀してマッチポンプ? 異常に高騰化するレトロゲーム市場を操作した疑いで格付け会社のWATAが集団訴訟される

オークション会社と共謀してマッチポンプ? 異常に高騰化するレトロゲーム市場を操作した疑いで格付け会社のWATAが集団訴訟される

ゲームの格付けを行っている企業のWATAに対して、「レトロゲームの市場操作を行っている」という理由で集団訴訟が起こされました。この集団訴訟は、昨年8月にWATAがオークションハウス「ヘリテージ・オークションズ」と共謀し、自分たちが利益を得るためにレトロゲームの市場価格を人為的につり上げたという報道を中心にしたものです。

▲きっかけとなったカール・ヨープスト氏による動画。

WATAでは格付けしたレトロゲームのレーティングを行い、ケースに入れるというサービスを提供していますが、こうしたサービスにお金を払った全米のクラスメンバーにより2022年5月10日にカリフォルニア州中部地区で集団訴訟が起こされました。クラスメンバーの正確な人数は不明なものの、1万人を超えると推定されています。

昨年夏に、『スーパーマリオ64』が156万ドル(約2億円)で落札。その数週間後に『スーパーマリオブラザーズ』が200万ドル(約2億6000万円)で落札されました。しかしながら、そのわずか1年前までは、未開封の『スーパーマリオブラザーズ3』の価格は、1/10の15万6千ドル(約2000万円)で取引されていました。これら、異常に高騰化したすべてのレトロゲームは、WATAにより格付けされたものでした。

オークション会社と共謀してマッチポンプ? 異常に高騰化するレトロゲーム市場を操作した疑いで格付け会社のWATAが集団訴訟される

WATAは2018年に創業されましたが、瞬く間に権威的な位置づけと見なされるようになりました。日本でも、飲食店の格付けに疑問が向けられていますが、それと似たようなものとなっているようです。今回の訴訟では、WATAとその親会社であるコレクターユニバースがレトロゲーム市場を膨らませて利益を上げようとしていたのかどうか。彼らがゲームの受け取りに関して、非現実的な納期を不当に宣伝していたのかどうかに焦点が当てられています。

また、WATAの社長兼最高経営責任者であるデニス・カーン氏がヘリテージ・オークションズの共同創設者であるジム・ハルペリン氏と協力し、レトロゲームの価値が今後も高まると主張するプレスリリースやインタビューを通じて市場を操作していたとも言われています。

中でも重要なポイントは、ジム・ハルペリン氏もWATAのアドバイザーに就任していますが、こうした利益相反につながる情報はまったく開示されていなかったことです。

裁判資料によると、WATAが登場する以前はレトロゲームに支払われた最高価格は、2017年7月にeBayで3万ドル(約4000万円)で落札された『スーパーマリオブラザーズ』でした。この記録は、2019年2月にWATAにより格付けされた別の『スーパーマリオブラザーズ』により塗り替えられています。そのときの価格は、3倍以上の10万ドル(約1億3000万円)でジム・ハルペリン氏を含む3人の男性に販売されています。

WATAのビジネスモデルは、ゲームを格付けするときに市場価値に対して一定の対価を請求するものです。つまり、ゲームの市場価格は1万ドルならば、WATAは評価に対して最大400万ドルを請求します。ゲームの市場価格が100万ドルならば評価に2万ドル以上かかるということになります。

その一方で、ヘリテージ・オークションズは落札者から20パーセントの手数料を請求するため、ゲームが100万ドルで売れたならば20万ドル稼いでいたということになります。

2019年11月に放送された(撮影自体はその半年前の可能性が高い)ヒストリーチャンネルの番組「ポーンスターズ」にデニス・カーン氏が出演。ヘリテージ・オークションズのハルペリン氏と別の男と連携して、10万ドルの『スーパーマリオブラザーズ』を購入したリチャードレッチェ氏が、質屋に対して100万ドルで売りたいと主張してショーに出演しました。

この質屋の経営者は、ゲームを評価するために専門家に相談したいと述べました。そして、そのショーに持ち込まれた専門家がWATAのCEOであるデニス・カーン氏でした。

カーン氏は「WATAを通過したゲームを覚えていると述べ、ビデオゲームの歴史の中で最も重要なものである」と説明しています。このときのゲームは質屋で取引されなかったようですが、大衆向けに大きなアピールとなったようです。その後、こちらのエピソードとは、特に説明も無しにヒストリーチャンネルのウェブサイトから削除されています。

カーン氏とハルペリン氏が番組に出演した数ヵ月で、『スーパーマリオブラザーズ』の価格は大きく上昇しています。2020年4月に、別の、『スーパーマリオブラザーズ』が投資会社のラリーにより14万ドル(約1800万円)で購入されました。同ゲームは、2021年8月に200万ドル(約2億6000万円)で販売されています。

オークション会社と共謀してマッチポンプ? 異常に高騰化するレトロゲーム市場を操作した疑いで格付け会社のWATAが集団訴訟される

日本のメディアでも大きく取り上げられた、レトロゲームの高額落札ですが、その舞台裏はかなりきな臭い状態になっているようですね。

via.videogameschronicle.comnintendolife