MiSTer FPGA上でBennuGD製ゲームを動かすプロジェクト「BennuGD_MiSTer」の初Alpha版が、2026年9月16日に公開された。今回のAlpha版では、セガの『ベア・ナックル(Streets of Rage)』シリーズを題材にしたファン制作ゲーム『Streets of Rage Remake 5.2』が、実際にプレイ可能な状態になっている。
ただし、一般的なMiSTer FPGAのアーケードや家庭用ゲーム機向けコアとは仕組みが大きく異なる。本作ではゲームそのものをFPGA上に再現しているわけではなく、DE10-NanoのARM側でBennuGDのインタープリターを動かし、FPGA側を映像や音声、コントローラーなどの入出力処理に利用するという構成が採用されている。
●BennuGD_MiSTer Alpha 2026-09-16
https://github.com/rossops/BennuGD_MiSTer/releases/tag/alpha-20260916
『Streets of Rage Remake 5.2』が「概ねプレイ可能」に
今回公開された「Alpha 2026-09-16」は、開発者のrossops氏がGitHubでPre-releaseとして公開したものだ。リリースノートでは初Alpha版であることに加えて、『Streets of Rage Remake 5.2』について「generally playable(概ねプレイ可能)」な状態に到達したことが報告されている。
現時点では正しい色表示に加えて、ティアリングを抑えたVSync映像、MiSTerのOSDから割り当てたゲームパッド、安定した音声、そしてセーブが動作する。セーブデータについてもPC版と同じくゲーム内の「savegame」フォルダに保存される仕組みとなっており、単に起動画面が表示できるという段階ではなく、実際にゲームを進められるところまで完成度が上がっている。
『Streets of Rage Remake』は、Bombergamesによって制作された『Streets of Rage(ベア・ナックル)』シリーズのファンゲームだ。今回動作確認されているバージョン5.2ではワイドスクリーン表示への対応や新たな楽曲、グラフィック、AIの改善など、多数の改良が加えられている。

ゲームをFPGAで再現するコアではないのがポイント
「MiSTer FPGAで『Streets of Rage Remake』が動く」と聞くと、『ベア・ナックル』シリーズのハードウェアをFPGAで再現した新たなコアを想像してしまうかもしれない。しかし、「BennuGD_MiSTer」はそうした一般的なMiSTerコアとは異なるアプローチを取っている。
ゲームを実際に動かしているのは、DE10-Nanoに搭載されているARM Cortex-A9側だ。ARM上のLinuxでBennuGDを実行してゲームを処理し、映像データをDDR3メモリーに書き込み、それをFPGA側が読み出して表示する。音声についてもARM側から送られたデータをFPGA側が処理し、ゲームパッド入力についてもMiSTerのOSDで設定したものを利用できる仕組みになっている。
つまり、「BennuGD_MiSTer」は特定のゲーム機やアーケード基板を再現するものではなく、MiSTer上でBennuGDゲームを実行するためのランタイムに近い存在だ。READMEではBennuGD 1.xで作られたほかのゲームも利用できる構成になっていると説明されているものの、現時点で実際に検証されているのは『Streets of Rage Remake 5.2』のみとなっている。

ゲーム本体は別途用意する必要あり
実際に『Streets of Rage Remake 5.2』を動かすには、2026年中にアップデートされたMiSTer環境と、BennuGD_MiSTerのAlpha版、そしてユーザー自身が用意した『Streets of Rage Remake 5.2』のゲームデータが必要になる。BennuGD_MiSTerにはゲーム本体のデータは含まれていない。
導入時はゲームの「SorR.dat」や「mod」「palettes」「savegame」といったフォルダをSDカードの所定の場所にコピーし、その後BennuGD_MiSTerのリリースファイルをSDカードのルートに展開する。MiSTerのOSDから「BennuGD_install」を一度実行するとセットアップされ、「Other」→「BennuGD」→「SoRR 5.2」からゲームを起動できる。
ゲームパッドについてもMiSTer側のOSDからボタンを割り当てることが可能だ。ゲーム側のグラフィック設定については1倍表示を利用し、拡大処理はMiSTer側のスケーラーに任せることが推奨されている。
まだAlpha版。重い場面では60fpsを維持できず
もっとも、今回公開されたものはあくまでも最初のAlpha版だ。CPU負荷が高くなるシーンでは処理能力が足りず、60fpsを下回ることがあると開発者自身が説明している。
また、現時点で試されているゲームパッドは1種類のみで、映像出力についてもHDMIしか確認されていない。『Streets of Rage Remake 5.2』以外のBennuGDゲームもまだテストされておらず、今後の検証や改良が必要な段階となっている。
それでも、FPGAによるゲーム機やアーケード基板の再現だけではなく、MiSTerに搭載されたARMとFPGAを組み合わせることで、これまでとは異なるソフトウェアを動かせる可能性が見えてきたのは興味深いところだ。とくに今回のように、知名度の高いファンゲームである『Streets of Rage Remake 5.2』が実際に遊べる段階まで到達したことで、「BennuGD_MiSTer」が今後どこまで対応作品を広げていくのかにも注目したい。















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