FEX-Emuは2026年9月8日16時49分(日本時間)、ARM64環境向けのx86/x86-64エミュレーター「FEX」の最新版となる「FEX 2609」を公開しました。
●FEX 2609公式リリース
https://github.com/FEX-Emu/FEX/releases/tag/FEX-2609
●FEX 2609公式ブログ
https://fex-emu.com/FEX-2609/
今回のアップデートでは、JITで生成したコードをディスクに保存し、再利用できる「Disk Cache」が任意機能として利用できるようになっています。ゲーム実行時に同じコードを繰り返し変換する処理を減らすことで、JITに起因するカクつきの軽減を狙った機能です。
FEXは、ARM64 Linuxデバイス上でx86/x86-64向けアプリケーションを実行するためのオープンソースソフトウェアです。32bitと64bitのバイナリに対応しており、Wineなどと組み合わせることで、ARM64 Linux環境でWindows向けソフトやPCゲームを動かす用途にも利用できます。
一度JIT変換したコードをディスクに保存して再利用
FEXでは、x86/x86-64向けのコードをARM64環境で実行するために、JIT(Just-In-Time)コンパイルによる動的なコード変換が行われます。
今回利用可能になったDisk Cacheでは、このJITが生成したコードをFOZ形式のデータベースとしてディスク上に保存します。その後、再びJITが必要になったときは、最初からコードを変換するより先に保存済みのデータベースを検索し、利用できるコードが見つかれば再利用します。
この仕組みは同じ実行中だけではなく、FEXを終了して次回起動した際にも利用されます。一度変換したコードを次回以降も使い回すことで、ゲーム中に発生するJIT由来の引っかかりを減らすことが狙いです。
なお、ここで保存されるのはゲームのセーブデータやGPUのシェーダーキャッシュではなく、FEXがCPUコードを変換した結果です。ゲームデータそのものをキャッシュしてロード時間を短縮する仕組みとは異なります。
「FEX_DISKCACHE=1」で有効化可能。ただし容量管理などは未実装
Disk Cacheは現時点では標準で常時有効になる機能ではなく、ユーザーが任意で有効化する仕組みになっています。
環境変数にFEX_DISKCACHE=1を設定するか、JSON設定で"DiskCache": "1"を指定することで利用できます。FEXのLinuxインタープリターとWineの両方で使用できます。
一方で、まだ完成されたキャッシュシステムではありません。キャッシュ容量の上限設定や、古くなったキャッシュを自動的に削除する仕組みは現在のところ実装されていません。そのため、利用状況によってはキャッシュ容量が増え続ける可能性があります。
また、ファイルの内容が変更された場合に、古いキャッシュを適切に無効化する仕組みにも課題が残されています。現時点では試行段階の機能として考えておいたほうがよさそうです。
ゲームごとの効果は今後の検証に期待
FEX 2609では、このほかにもJIT周辺のロック競合低減や、自己書き換えコード検出処理の高速化、各種命令の不具合修正や性能改善などが行われています。
ただし、一部の命令で確認された性能改善を、ゲーム全体がそのまま高速化したものと捉えることはできません。Disk Cacheについても、ゲーム別のFPS向上率やカクつきの削減率が示されているわけではありません。
実際にどの程度体感できる差が出るのかは、ゲームや実行環境ごとの検証が必要です。
また、WinlatorやGameNative、ArmadaなどにFEX 2609や今回のDisk Cacheがすでに組み込まれているかどうかも確認できていません。ARM端末ならそのまま簡単に利用できる一般的なアプリというわけでもないため、実際に試す場合はFEX公式の導入方法や対応環境を確認する必要があります。
公式ブログの記事は9月7日付ですが、GitHub上で「FEX-2609」のリリースが公開された日時は9月8日07時49分15秒UTC、日本時間では9月8日16時49分15秒です。
リリース自体はプレリリース指定ではありませんが、Disk Cacheについては容量管理など未完成の部分が残されています。ARM環境でPCゲームを動かしているユーザーにとっては、今後の改善や実機での検証結果が気になる新機能となりそうです。















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